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2月の★ハッピーバースデー
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傾き始めた二月の陽の光が窓から優しく流れ込む部屋の床には赤いランドセルがふたつ、仲良く並んでいる。
片方のランドセルからは犬の、もう片方からは黒猫のリコーダーケースがそれぞれ顔を覗かせている。
「明日はミリアの誕生日だ!」
苺色した瞳を笑みでいっぱいにして、
東条 あんず
はその場で元気に跳ねた。跳ねるたび、色素の薄い銀灰色の髪が細い肩の上で揺れて舞う。
「ミリアが欲しいものは調査済み……」
漆黒のスカートの裾を床に広げ、緋色の長い髪を陽の光に鮮やかに透かせながら、
楠木 ゆきの
は黒い瞳を静かに瞬かせる。
「本……」
自分の部屋の本棚を埋める色んな本を見遣りながら、ゆきのは端正な顔立ちを僅かも動かさずに囁く。
ふたりの幼馴染、
渡辺 美里愛
の誕生日は明日、二月十七日。前日の今日は、ふたりで美里愛への誕生日プレゼントを作ろうと少し前から計画をしていた。
「どんな本がいいかな?」
ゆきのの視線を追い、あんずがゆきのの本棚を眺める。今にも本棚に近寄って、丁寧に並んだ背表紙を引きだしそうな雰囲気を幼馴染の横顔に読み取り、
「あんず、勝手に本棚さわらないで」
ゆきのはほんのちょっぴり尖った声をあげた。
いわゆる『フツウ』の本の後ろ側、巧妙に隠して、綺麗なお兄さんとお兄さんが仲良くしたり喧嘩したりまた仲良くしたりする漫画本がある。あの本はあんまり周りには言えない趣味の本だということを、ゆきのは最近悟った。
(ごめん、あんず)
見られたくない本を隠しているとは言え、うっかり知らずに出してしまった自分の尖った言葉を後悔して俯くゆきのの傍ら、あんずはひょいとしゃがみこむ。
「だめ?」
「……だめ」
きらきらしたあんずの瞳に見つめられて、だからこそゆきのはきっぱりと決意して断った。やっぱりあの本はあんずに見せてはいけない、気がする。
「それよりも、……どんな本に、する?」
「絵本! うち、絵本がいい!」
拳を固めて力説するあんずの言葉に、ゆきのはしばらく考える。
「オリジナルストーリーの絵本……なら、喜んでくれる、……はず?」
「おりじなる?」
「絵本、……つくる……」
「一緒に絵本作るの?」
「二人で描くの……」
わあっ、と賛同を全身で表して飛び跳ねるあんずに少し待っててと告げ、ゆきのは本棚の隅からスケッチブックを一冊と七十二色入りの色鉛筆を取り出す。
「どんなの描く? どうやって描く?」
「……一ページずつ、かわりばんこ……?」
本棚の奥に隠した紙表紙の薄い本にも、そういう形式の本があった。確か、
「……リレー形式」
「りれー? いいな、なんかカッコいい!」
苺色の目を輝かせるあんずに無表情に頷き返す。先に書いてと色鉛筆を渡され、ゆきのは頷いた。床にスケッチブックと色鉛筆を広げる。
「大体の本は……最初のページは、なにもかいてない、から……」
最初のページには何も書き込まない。時々とても綺麗な紙が挟まっていたりする薄い本もあるけれど、そこまでできる時間はあんまりない。だって暗くなる前にお話をひとつ、書き上げなくては。
「一ページ飛ばして……ここから、ね……」
わくわくした瞳で覗き込んでくるあんずの視線を感じながら、ゆきのは一番初めのページを描き始める。
『むかしむかし、キレイな王子さま二人がなかよく一つの国をおさめて幸せにくらしていました。』
家にある本みたいに一ページを幾つかの枠で分けてみよう。ひとつめの枠には手を繋いで並んで立つふたりの王子さま。二つめの枠には、大きくて真白で青い尖がり屋根のたくさんあるきれいなお城。
「……薔薇が咲いてるの」
たくさんたくさん。
お城の周りにも、それから王子さまの周りにも、たくさんの赤い薔薇を描き込んで、一ページめはできあがり。
「……じゃああんずの番ね」
「うん!」
ゆきのから赤い色鉛筆を受け取るなり、
『だけどかいじゅうがきておしろはどっかーん!』
あんずは大きくて赤くて強い怪獣を力強い線で描き始めた。
勢い余って床にまではみ出してしまった色鉛筆の線を甲斐甲斐しく消しゴムで消してやりながら、ゆきのが思わず絶句する。
「え……か、怪獣……」
『って爆発したぞ!』
薔薇の絡んだお城は元気いっぱいな怪獣によって華々しく爆破された。
「……う……」
「絵本にはかいじゅう! かいじゅう出したいぞ!」
言葉に出来ない不満を漏らすゆきのに向け、あんずはこれが世界のお約束だとばかりに力説する。
「かいじゅうは強いから街もめちゃくちゃにしちゃうんだ!」
「っ、……」
「次はゆきのの番だ!」
「う……」
かいじゅうのせいでめちゃくちゃになった街の真ん中、ふたりの王子さまは固く手を握り合う。
『なんという悲劇。しかし王子さま二人は愛の力でがんばって国をたてなおしました。』
次の枠には再び建て直したきれいなお城。薔薇ももう一度植え直そう。
「愛の巣……奪っちゃダメ……」
次、とゆきのはあんずを見据える。
「あんず……今度こそ、ちゃんとかいて……」
「えー! うちちゃんと書いてるぞ!」
次のページ、あんずはでっかいUFOを描く。UFOがすることと言えばただひとつ。
『次はうちゅうじんが来て王子さま二人をさらっちゃったぞ!』
ページからはみ出しそうなUFOからの怪しい光に包まれて、王子さまはあわれ宇宙船の囚われ人。
「やっぱりハッピーエンドにはピンチがつきものだもんな!」
ほら! とアブダクションされた王子さまたちのページを突き付られ、ゆきのは再度絶句する。
「……」
「どんなのが来てもどっかーんってしてやる!」
「……もういい……負けない……」
床にうずくまって両手をつき、うちひしがれながらもゆきのは誓う。
「必ず王子二人を幸せにする……」
ふたりの王子とゆきのの苦難はここから始まった。
からくも宇宙船を脱出した王子二人、しかしそこは元の愛の巣などではなかった! 元の場所に戻る手段を懸命に探す二人を襲う宇宙かいじゅう! ついでに宇宙人!
敵の手を逃れ逃れ、二人が辿り着いたのは崖の上。迫りくる敵から逃れ得ないと知ったふたりはアクション漫画そのまま、手に手を取って崖の下の星の海へと飛び降りる。
飛び降りた先はでっかい鯨が舞い踊る海の底だったり、でっかい花が口を開けて襲い掛かって来るディストピアだったり、でっかいロボットが合体して暴れ回っていたり、――あんずが作る様々なピンチをなんやかんやで切り抜け、
「……か、勝った……」
髪を乱し息を乱し、ゆきのは王子さま二人が夕陽を浴びて熱く見つめ合う最後のページを描き込む。
「……なんとかハッピーエンド……」
「よーしできたぞ!」
化け猫を描いたり地面に大穴を開けてみたり、ゆきのと壮絶な闘いを繰り広げたその癖、変わらず元気いっぱいなあんずは歓声をあげた。
「明日ミリアにプレゼントするぞー!」
「……ミリア喜んでくれる、かな……」
乱れた髪と息を整えつつ、ゆきのは完成原稿を見下ろす。苦労はしたけれど、出来栄えはいい。
「明日学校が終わったら一緒に中学校の前で、でまち……? しような!」
床に散らばった色鉛筆を集めて片付けながら言うあんずに、ゆきのはこくりと頷く。
「うん、明日が、楽しみ……」
「ミリアねー、今日お誕生日なのー!」
言いながら、
渡辺 美里愛
は靴箱の辺りに立つ友人のひとりに手を振る。
誕生日の今日は、平日だけれど家で父がケーキを作ってくれる。母も毎年、この日ばかりは好きなもので食卓を埋めてくれる。
「だからはやくおうち帰るんだー!」
手を振り返してくれる友人と別れて学校の玄関を出、スキップまじりの足取りで校門まで来たところで、
「……あれ?」
美里愛は首を傾げた。
校門の端っこ、帰宅する中学生たちの群れに紛れそうな赤いランドセルがふたつ。片方のランドセルからは黒猫の、もう片方からは犬のリコーダーケースがそれぞれ仲良く顔を出している。
「アンちゃんとユキちゃんだー!」
幼馴染の小学生たちを見つけた嬉しさに、美里愛は思わず歓声をあげて駆け寄る。
「ここ中学校だよー?どうしたのー?」
「……遅い」
「まちくたびれたぞー!」
揃って見上げて来ては不平を零す四歳年下の幼馴染ふたりに、美里愛は透き通るような碧い瞳を瞬かせた。
「えー、ミリアお勉強してたんだよー! しょうがないよー!」
それに、二人が待っているなんて知らなかった。でもどうして待っていたのだろう。
「あ、ミリアになんか用事なのー?」
銀色の長い髪を制服の肩に揺らし、美里愛はふたりに問う。
あんずとゆきのは息を合わせるように顔を見合わせて頷き合い、ふたり揃って美里愛を見上げた。
「……お誕生日、おめでとう……」
「ハッピーバースデー、ミリア!」
口々に誕生日を祝われて、美里愛は目をぱちぱちさせた。それから顔中で笑う。
「二人ともありがとー! そーなのー、ミリアおねーさんになったんだよー!」
今日で十四歳になる少女は、お姉さんぶって九歳のふたりの手を取る。
握られた手を握り返し、あんずが力いっぱいに引く。
「よし、じゃあ、駄菓子屋で駄菓子パーティだ! いっぱい食べちゃうぞー!」
「あんず、待って」
美里愛の返事も待たずに駆け出そうとするあんずを、ゆきのが冷静に引き留めた。駄菓子屋と聞くや否や並んで駆け出そうしていた美里愛にそっと尋ねる。
「……ミリア、時間、大丈夫?」
「いいのいいの、やったー、行く行くー!」
ユキちゃんも、と美里愛に手を引かれるまま、ゆきのも駆け出す。目指すは旧市街の一角にある小さな駄菓子屋。
猫又川に架かる橋を渡ってすぐにある駄菓子屋に着くなり、三人のうち一番年上なはずの美里愛が一番はしゃいで駄菓子を手に取りだした。
「えっとねー、ミリアねー、これとこれとー、あとこれもー!」
綿菓子に一粒チョコ、きなこ棒に風船ガム。
「えへへー、毎日ちょっとずつ食べるんだー!」
「うちは今日ぜんぶ食べるのー!」
「……カタナ男子コラボ商品、ここにもあった」
買った駄菓子をそれぞれ手に、三人は店の前に置かれたベンチに腰掛ける。早速駄菓子の袋を開ける美里愛に、ゆきのがリボンで飾ったスケッチブックを差し出す。
「これ、誕生日プレゼントだぞ!」
あんずがどこか誇らしげな顔で宣言する。
「なになにー?」
「……絵本」
「ふたりで作ったんだ!」
わー、と美里愛は碧い瞳を輝かせる。
「すごーい!」
二人からの手作りの本は、世界に一冊しかない美里愛だけの本。
「えへへー、ありがとー!」
自分だけの絵本を胸に抱え、美里愛は甘い飴を口に含んだときよりもずっとずっと嬉しい笑みを浮かべる。
「パパとママにもらった本と一緒に、大事に読むね!」
幼馴染のおねえさんの心からの笑顔に、小学生ふたりはおねえさんと同じに嬉しい顔を見合わせ、笑いあう。
「……あ、もうこんな時間!」
店の奥で鳴った鳩時計の音に、美里愛は弾かれるように立ち上がった。
「パパとママがおうちで待ってるから帰らなきゃ!」
「うちも帰ろー!」
「……ゆきのも……」
祝われた美里愛も、祝ったあんずとゆきのも、冬の夕陽の中で手を振りあう。
「ばいばーい、二人とも今日はありがとー!」
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月14日
参加申し込みの期限
2016年11月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月21日 11時00分
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