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ここ数年、
紅林 千尋
にとっての二月十七日は、
深護 黎生
に会う日となっている。
「毎年すまないな」
「いえ」
自宅であるマンションのドアを開けて迎えてくれた黎生を見上げ、千尋は首を横に振った。
百八十八センチの均整の取れた体躯、涼やかな黒の瞳に艶やかな黒髪、優しげな唇から放たれる深みのある声。
「チョコは好きだし、黎生さんにはお世話になったので」
室内に招き入れてくれる黎生の背を眺めつつ、千尋は己の平凡な容姿と高校受験の際に家庭教師をしてくれた大学生の容姿を比べてちらりと息を吐く。
そのスマートな容姿と硬派な優しさも相まって、黎生は家庭教師をしてくれていた頃もよくもてた。バレンタインデーには大量のチョコを抱え、有り難いような困ったような顔をしていた。
――助けてもらえないか
大真面目な顔でチョコの消費の手伝いを頼まれて以来、千尋は毎年、黎生が女の子たちから貰ったチョコレートを引き取りに来ている。とはいえ、毎年この時期になると届く黎生からのメールを実はこっそりと楽しみにもしていた。何と言っても毎年段ボール一箱分にもなるチョコレートの山。
(イケメンってずるいなあ)
そうは思うものの、一年に一度のチョコの大量供給は学生の身には有り難い。だからこそ毎年ホイホイと元家庭教師の自宅へお邪魔させてもらっている。
「こっちだ」
黎生が示した部屋の一角を埋めて、チョコ満載な段ボール箱が数箱。
「……え?」
「今年は事務所に届いた物も多くて」
いつもと同じ、喜色半分困惑半分な顔をしている黎生と積み重ねられた段ボール箱を交互に眺め、千尋は半歩後退る。
(うわー……)
正直ちょっと引いた。
「えぇ……?」
確かに黎生は本土にある芸能事務所グループが寝子島に新たに設けた芸能事務所兼音楽出版社『nth prizm』にモデルとして所属している。今年は確か、モデル活動だけでなく乙女ゲームの声優としてデビューもした。声優活動を始めるに当たり、ゲームの主題歌も歌った。舞台出演もした。その辺りのことは、オタクであることをオープンにしている千尋も少し聞いている。
聞いてはいたものの、その活動の結果がこのチョコレートの山に繋がるとは思ってもいなかった。
「これ、賞味期限中に食べきれますかね……?」
「いつも通り、全部一口分は食べるからな」
せっかくくれたのに食べないのは失礼だからね、と至極真面目に言ってのける黎生を千尋は見つめ、
(これがイケメンのイケメンたる所以か)
心底思う。
「千尋も、好きなのを持っていっていいぞ」
「はーい」
自分が今年貰ったチョコレート云々からは大きく目を逸らし、オープンオタクな少年は殊更元気よく返事をする。ここは開き直るのが一番自分にダメージが少ない。
「遠慮せず貰ってきますね」
段ボール箱の前に正座し、手作りっぽいものとそうでないものを選り分けにかかる。
「あ、酒が入っているのはやめとけ」
「っと、そうですね」
黎生のアドバイスに素直に頷き、『お酒』マークの入っている品物も『貰えない』方に置く。
「……しかし」
千尋の手伝いをして酒入りのチョコとそうでないチョコを選り分けてやりながら、黎生はふと首を捻った。
「なんでみんな誕生日プレゼントにチョコレート菓子をくれるんだろうな?」
言った途端、千尋の手が止まる。黎生の整った横顔を丸くした目で見つめ、俯き、それから遠くを見つめる瞳で正面の壁を向く。
(バレンタインのチョコ、普通に誕生日プレゼントだと思ってたんだ……)
確かに黎生の誕生日は二月十四日のバレンタインデー当日。
そうは言っても、
(そうは言っても……)
「なんだその、チベットスナギツネのような何かいいたげな目は」
女子の想いに疎いイケメンについて思い悩むうち、そのイケメンが心底不思議そうに顔を覗き込んできた。
(チベスナ……)
一時期話題になった乾いた瞳が特徴な何とも言えない顔をした狐が思い浮かんで、
「俺そんな珍獣じゃないんですけど!?」
千尋はむくれた。
「話は変わるが千尋、」
むくれる千尋の手に酒入りでも手作りでもないチョコレートの包みを乗せ、黎生はさして気にもせずに話題を変える。
「夏のネコミケの時は友達と一緒だったようだが……」
「あ、ああ、あの時」
ネコミケ会場の企業ブースで思いがけず顔を合わせた時のことを思い出し、千尋はちょっぴり顔を赤らめる。
「あの時は、……」
あの時うっかり口走ってしまった言葉を謝ろうとするより前、
「友達できたんだな」
元家庭教師は安心したような笑顔で友達の少ない千尋の心を抉った。
「お、俺にだって友達ぐらいできますよ!」
今度は憤慨したような顔をする元教え子の膝に、黎生はまたチョコレートを乗せる。持参した袋にチョコレートを躊躇わずに詰める千尋を横目、黎生はふと立ち上がった。
「そうだ」
「趣味のあうやつがなかなかいないだけで……!」
「この間ボイスと主題歌で参加させてもらったゲームが来てたんだ」
「オタクは友達見つけるのが難しいんです、でも見つかったら一生の友達……」
「発売日はまだだが、いるか?」
「……あ? え? ゲーム?」
唇を尖らせてぼやいていた千尋がパッと顔をあげた。くるくると表情を変える年下の少年に、黎生は思わず笑みを零す。
「いいんですか!? いえーい!」
「今日手伝ってもらった礼だ」
リビングのテーブルに無造作に置いていた箱から新品のケースを取り出す。初回限定特典つきの分厚いケースの中には、ドラマCDとキャラのブロマイド、ミニフィギュアまでが揃っている。
「『聖王のサクセサー』……」
黎生の声優デビュー作『終焉のアストライア』は乙女ゲームだった。
「今度は普通のRPGなんですね!?」
黎生から受け取った両手に抱えるほどのケースをためつすがめつ眺めるうち、千尋の顔に今日いちばんの笑顔が浮かんだ。
「わー、絵もきれいだし楽しそうだあ……」
「喜んでもらえてよかったよ」
黎生は何でもないように微笑み、傍らに座してチョコレートの選り分けを再開する。
こちらの趣味を把握したプレゼントをさり気なく渡してくれる黎生に、千尋はイケメンがイケメンたる所以を再度見た気がした。
「……そうだ」
チョコレートで一杯になりつつある袋に貰ったゲームも大切に入れて、千尋はようやく思い出す。
「忘れてたんですけど、俺からも誕生日プレゼント持ってきましたよ」
「そうか。わざわざありがとう」
流れるように嬉しそうな微笑みを浮かべる生来のイケメンをほんの一瞬チベスナ顔で見て後、千尋は気を取り直す。
「これです!」
得意顔で取り出し掲げるは、本物と見紛うばかりに生々しい秋刀魚のかたちしたナニカ。
「これ、ボールペンで、ほんとは売れ残りだったんですけど……」
「っておい、これを使えと?」
「いやその、お金なくて……」
オタク活動はお金がかかる。従姉が店長を務めるアンティークセレクトショップでどれだけバイトに励んでも、バイト代はほとんど残らずゲームやグッズに溶けて消える。
「で、でも! 無駄にリアルなガラスのクリオネよりはいいかなって! バッカルコーン! って!」
クリオネが触手を広げるように両手を天井に差し伸べて、はは、と力なく笑う千尋を見遣り、受け取った秋刀魚型ボールペンを見遣り、
「なんだか手が生臭くなりそうだが……」
黎生は小さく呟いた。とは言え、それでもやはり、誕生日を祝ってもらえるのは嬉しい。
「気持ちは受け取ったよ、ありがとう」
「うわー、イケメンだー、イケメンがいるー」
兄のような友達のような不思議な関係の黎生と遠慮のない会話を交わしながら、千尋はくずおれるようにまた笑った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月14日
参加申し込みの期限
2016年11月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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