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(普段しないことが良い)
昼休憩の教室で、
鵙海 甫
は眼鏡の奥の明るい栗色の瞳を難し気に細める。手にしたスマートフォンの画面を眺めては首を捻り、タップして次のページを凝視しては唇を引き結ぶ。
(何かしてあげたい)
ちらりと見遣るのは、同じ教室の少し離れた席で弁当箱を広げている
千堂 結
の華奢な背中。
小さな頭が動く度、背を覆う色素の薄い茶色の髪がさらさらと軽く揺れる。ふと俯けた拍子に白いうなじが髪の隙から覗いて、甫は思わずぎこちなく瞳を伏せた。こちらの凝視に気付いてか、結が不思議そうに背後を見遣る。窓から流れ込む冬陽に、結の瞳が柔らかな金色を帯びて見えて、――甫は知らず、再び結を見つめてしまっていたことに思い至った。
交わった視線の先、結が戸惑ったように一瞬目を伏せる。甫が慌てて何かを言おうとした瞬間、伏せられた蜂蜜色の瞳が真っ直ぐに甫を見て、淡く、微笑んだ。
「千堂」
大人しい少女の、けれど鮮やかな笑みに勇気を得て、甫は椅子から立ち上がる。迷わぬ足取りで結の傍に立つ。
「もうすぐ誕生日だよな」
何気ない風に訊けば、結は今そのことに気付いたように目を丸くした。
「そういえば、誕生日か……」
全然意識してなかった、と恥ずかしそうに笑う結に、甫はスマホ画面を差し出す。ブラウザで開いたホームページは、寝子温泉のとある温泉宿のもの。
「寝子温泉とかどうだ」
考えに考えて、思いついたのが寝子温泉だった。
(行ったことない、千堂も多分)
水着での混浴が出来て、貸し切りも可能。まだ恋人同士とまではいかないものの、しばしばデートをする仲になれた今ならこういうところへ誘ってもいい、気がする。
「わ、いいの……?」
「俺のときはしっかりお祝いしてもらったし!」
言い訳じみて口にし、スマホ画面を見つめる結の様子を窺う。
「どうかな?」
「勿論、行きたい!」
勢い込んで頷いて、結は思わず照れて笑う。ふわりと熱持つ頬を両手で擦り、弾み始める胸をその手で押さえる。
今までは、祝ってもらえたのは家族にだけだった。両親の都合で転校を繰り返して来たせいもあって、
(全然友達いなかったし)
自分で思ってうっかり自分を傷つけて、結はきゅっと唇を結ぶ。
「千堂?」
こちらの表情の変化に気付いて、ひょいと顔を覗き込んできてくれる甫に、結は慌てて首を横に振った。ますます熱を持つ頬とますます早く打ち始める胸の鼓動にちょっと途方に暮れる。
(わー、甫くんと温泉だって……!)
誕生日に温泉なんて、考えるだに贅沢な気分だった。
(でも、誕生日くらい良いよね)
家族ででも温泉に行く機会はあまりなかった。寝子島温泉に行くのも、今回が初めて。しかも、今回は甫と一緒。
(嬉しい、……嬉しい!)
そこまでで、結は不意に気付いた。
「でも、平日だよ」
悩む結の耳元に、甫は悪戯っぽい笑みの唇を近づけ、とびきりの秘密を打ち明けるようにこっそり囁きかける。
「平日でも学校休んじゃえ」
湯煙が木枯らしに流れる。露店風呂をぐるり囲う椿の一輪が風に落ち、くるり、温かな水面に躍る。
脱衣所から遅れて出て来る結を見ないふりして、
「うわー、温けー!」
甫ははしゃぎ気味に顎まで岩風呂に浸かる。
(水着姿を側で見るのって二回目だっけ)
横目に盗み見た結の水着姿にも、貸し切り露天温泉にふたりきりという状況にも恐ろしく照れて、けれど照れていることを隠したい年頃な甫はハイテンションではしゃぎにはしゃいで見せる。
「千堂も、ほら」
「う、うん」
「そこ、寒いだろ」
椿の葉を鳴らす北風が寄せる洗い場で、それでも頬をふわりと上気させたままの結を殊更明るく呼び寄せる。口元を指先で隠し、結は微笑みながら頷いた。思い切った様子で岩風呂の縁に近づき、膝をつく。木桶に汲んだお湯をそっと水着の肩から浴び、裸足の爪先を湯につける。
「わー……」
緊張にか少し強張っていた頬がお湯の温かさに緩む。遠慮がちにお湯に身体を沈め、甫とは少し距離を置いた位置に座る。
「ごくらくー……きもちいー……」
「な、気持ちいいよな!」
「このまま寝ちゃいそう……」
傍らに甫の声を聞きながら、結は全身を温かいお湯に包まれうっかり目を閉じそうになる。
(お風呂で寝るのは失神状態と同じってどこかで聞いたことある、けど……)
お湯につかっていれば、心と身体の疲れが溶けて流れていきそうな気がする。このままずっと浸かっていたいけれど、
(のぼせないようにしないと……)
青空に昇る湯気のふわふわと漂い始めた心は、
「わ、きゃっ?!」
唐突に隣から掛けられた大量のお湯の飛沫に引き戻された。目を開いて隣を見れば、手で水鉄砲を作った甫が悪戯小僧の顔で笑っている。
「へへっ、ボヤっとしてるから!」
「もう、やったなー!」
甫の笑顔につられて笑い、両手ですくったお湯をお返しとばかり掛ける。ふたりきりの露天温泉でお互いにお湯を掛けあいじゃれあいながら、結と甫は明るい笑い声を冬空に響かせた。
「それ、どうやるの?」
気付けば互いに近づき合って座っていた結から水鉄砲のやり方を問われ、甫は両手を組み合わせてみせる。水鉄砲のかたちにした手を半分お湯につけ、ピュ、と勢いよく飛沫を跳ねさせると、結は心底楽しそうに目を輝かせた。
「こう?」
甫の手元を真剣に覗き込んでいたかと思うと、おもむろに両手を組み合わせる。甫に向けて撃ちだした水鉄砲は、けれど四方に水を撒くだけに終わった。難しい顔で首を捻る結の手に、甫は手を重ねる。
「そうじゃねえよ、こうだって」
コツを教えてやろうと取った結の手の小ささに、思いがけないほどの熱さと柔らかさに、甫の動きが止まる。
間近に見た結の肌の白さに、水着からすらりと伸びて湯に透ける腿やまろい肩や柔らかそうな胸元に、
(……っ、……)
やばい、と思う。
結の肌に触れた瞬間、今まで抑えていた緊張もドキドキも、全部顔を出してしまった。
黙りこくってしまった甫を見、掴まれたままの手を見、結はどうしようもなく照れた。照れて照れて、どうしようもなくなって、思わず甫の手を解く。
「気持ちよかったー!」
わざとらしいくらいに明るい声で、大きく伸びをする。
「温泉は偉大だね。ぽかぽかー」
どこか思い詰めたよう瞳をしている甫に、ぱしゃり、小さくお湯を掛ける。目を瞬かせる甫に、今出来る限りの笑顔を見せる。
「すっごく良い誕生日になった! 楽しかった! ありがとう、甫くん……あのね、」
感謝の意を告げた勢いで、
「あのね、甫くん」
好き、と口走りそうになった。焦って唇を両手で抑える。
(一体何を言おうと)
「……千堂、俺さ」
濡れた黒髪から雫を垂らし、甫が真剣な顔をする。結が一度開いた距離を再び詰め、剥き出しの肩と肩が触れる間近に近づく。
(何だろう)
近づきながら、甫は困惑する。
(何を言いたいんだ俺)
答えは決まっている。
(好きだ)
そう言いたかった。抱きしめて唇を重ねたかった。
それなのに、気持ちがごちゃ混ぜになって言葉にならない。
混ぜこぜになった気持ちがぐるぐると頭を巡り、
「……あ」
鼻血になって零れた。
「わ、大変大変っ」
「うわ、わわっ」
鼻血を垂らした甫よりも慌てる結につられ、甫は掌で華を抑えて湯舟を飛び出す。
ふたりの告白は、もう少し先のことになりそうだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月14日
参加申し込みの期限
2016年11月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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