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琥珀の瞳に白銀色した睫毛の影を落とし、
ノア・ベルナールド
は叔父の店の扉を開く。
軽やかなベルの音に誘われるように顔を上げれば、視界いっぱいを埋めて、店内に飾られたぬいぐるみや衣服。叔父のハンドメイドであるそのどれもこれもが、恐ろしく丁寧で手が込んでいる。
「おかえり」
店の奥から不愛想な声が聞こえた。
「ただいま」
応じつつ視線を伸ばせば、色鮮やかな世界に埋もれるようにして、叔父であり家主である
酢酸 朔良
が居る。いつもは叔父がスカウトした叔父好みらしい元客の少女が叔父の作成したやたら凝った制服を纏ってレジに立っているものの、どうやら今日は休みらしい。
布や綿や色とりどりの糸が満載の小さな作業机で作っていた小さなテディベアの首にリボンを巻こうとしていた手を止め、朔良は若草色の瞳を眠そうに瞬かせた。
「もうそんな時間か」
「アンタ俺が来る前はどうやって生活してたの?」
昼食も摂らずに裁縫仕事に没頭していたに違いない叔父を一睨みして、ノアは羽織ったコートの中の中学校制服の襟を緩めた。
散らかり放題の作業机の横の壁に貼られたカレンダーをちらり、見遣る。今日を示す日付は、二月八日。
(俺の誕生日)
けれどそれを叔父には言ってはいない。言ってはいけない。
(だってサクラは他人だから)
ノアの生母はノアが三歳の時に病死した。
フランス人の父はその後、前妻と同じ日本人女性と再婚し、――半年前、今度は父と養母が二人揃って交通事故で他界した。
朔良は、養母の弟にあたる。
(血がつながってない他人)
――置いてもらえるだけでありがたいと思いなさい
両親の葬儀の折、ノアが朔良の元で世話になると知った色んな人々に散々言われた。
(だから)
誕生日を祝えなど、自分のわがままに過ぎない。
(それに、お祝いして欲しいなんて子供っぽいしね!)
今日十三歳になったばかりの少年は心の中でおどけてみせた。無表情で針を使う叔父を見遣り、ああでも、とこっそり肩をすくめる。
(ちょっとゼータクくらいはしてもいいよね)
今日のご飯はオムライスとハンバーグにしようと決めて、
「ホント俺がいないとダメなんだから」
仕事に没頭すると食事も睡眠も放り出す叔父に言い捨てた。
「夕飯時にはちゃんと帰って来てよね」
言い置いて去る甥の華奢な背をそっと見送り、愛想無しな叔父はそっと息を吐く。
(やっぱり、何も言わないんだな……)
隠すように抱きかかえ、足にノアの名を刺繍していたテディベアの頭を緩く叩く。
(中学生ってまだ祝ってもらいたい頃じゃないのか?)
少なくとも、先日店を訪れた女子高生は中学生の弟への誕生日プレゼントを探していると言っていた。
切欠はそれだった。女子高生の話を聞くともなしに聞いていて、ふと、姉に誕生日を祝ってもらった昔のことを思い出した。
思い出してしまえば懐かしくなって、姉が亡くなってからは触れてもいなかった姉からの手紙の整理に取り掛かった。そうして、見つけた。
――二月八日。この日は新しい家族の誕生日を祝いました
姉の文字で書かれた、姉からの手紙。
姉が生きていた頃は、きっと毎年祝ってもらっていたのだろうと思うと、堪らなかった。
(なんか用意してやるか、って)
出来上がったばかりのテディベアを両手に掲げ、つぶらな瞳とにらめっこをする。一緒に暮らし始めて半年程、甥っ子との距離も付き合い方も、まだ掴めていない。
(……まだ祝ってもらいたい、だろ。たぶん)
食卓にはオムライスとハンバーグが並んでいた。
いつになく豪華な、そうしておそらくは甥の好物らしい食べ物を前に、朔良はほんの僅かの間立ち尽くした。
「どうしたの」
「……今日誕生日なんだろ?」
自分だけで自分の誕生日をささやかに祝おうとしていた、十三歳の少年を見つめる。胸を突かれたように琥珀の瞳を瞠るノアに向け、用意していたテディベアと近所のケーキ屋で買ってきたケーキ入りの箱を差し出す。
「え、何……?」
「あー……なんだ」
白銀の睫毛を上下させるばかりの甥の細い胸に熊の縫いぐるみを、無表情なまま押し付ける。
「だから、お祝い」
「だって、俺何も」
押し付けられた縫いぐるみを見下ろし、ノアは恐る恐る手を伸ばす。ふかふかに柔らかなテディベアを抱え込み、肌触りのいい頭に顔を埋める。
頬が熱かった。
「俺何も言ってない」
「そうだな」
「言ってないのに、こんな」
「でも、誕生日なんだろ?」
微かに声を震わせる甥にぶっきぼうに応じつつ、
(……貰ってくれた、な)
そのことに叔父は安堵する。ただそれは一切顔には表さず、あとは無言で椅子に掛けた。
人付き合いが不器用で、放っておけば食事すら忘れるほどに仕事中毒な叔父から貰った、叔父手作りのテディベアをノアは抱きしめる。柔らかな縫いぐるみの足の裏、丁寧に刺繍された自分の名を見つけて、ノアは込み上げる感情が笑みなのか涙なのか分からず顔を歪めた。
「お祝い、してくれるなんて」
(家族みたいじゃん)
最後の言葉は声にはならなかった。瞼を熱くするものが涙であると気付いて、慌ててテディベアの背中に顔を押し付けて隠す。
(パパン、ママン)
父と母が生きていた頃にも、こうして誕生日を祝ってもらった。生まれて来てくれてありがとう、と。おめでとう、と言ってもらえた。
「あのさ、あの、サクラ」
「なんだ」
「その……メルシー」
懸命に礼を口にしても、返事は無かった。涙を拭った瞳を上げて、ノアは普段冷徹なまでに無表情な血の繋がらぬ叔父の若草の目元が、ほんの僅か、和らいでいるのを見た気がした。
つられて微笑みかけて、少年は照れた。照れたのを隠して、テディベアを食卓の端に座らせる。ケーキの箱を開いて、
「っていうか、なんでカットケーキなの」
中にひとつきり入っていたカットケーキを見るなり、頬を膨らませる。
「二人で食べられないじゃん」
「え、あ、……そう、か。そうだな」
眠たそうな目を瞬かせる、仕事は出来る癖に生活面ではどうにも抜けていることの多い叔父に、ノアはちょっぴりわざとらしく息を吐いて見せた。
台所から持ってきたナイフを使い、そうっとそうっと、器用にカットケーキを半分にして皿に取り分ける。片方を叔父に差し出し、
「……来年はちゃんとホールにしてよね」
呟けば、朔良は大きく頷いてくれた。
「そうする」
来年の約束に何気なく応じた瞬間、甥の肩から力が抜けたことに、叔父は気付いただろうか。
「サクラ」
来年の約束が許されるなら、とノアは祈りに近く思う。
(もうちょっとだけ甘えてみてもいいのかな)
この不器用で優しい叔父に。
血の繋がらぬ己を黙って受け入れてくれた叔父に。
(って言っても甘えるような年じゃないんだけど!)
もう十三歳だ、とノアは両の拳を握る。
(でも、)
でも、今日だけ。
「サクラ、今日だけ最初みたいに一緒に寝てもいい?」
「……別にいいけど」
何の感情も表には出さず平然と答える朔良の脳裏、過るのはノアが初めてこの家に来た日の夜のこと。
(ベッドが無かったんだよな)
父と義母を一度に喪った少年と共、姉を喪った朔良は同じベッドで身を寄せ合うようにして眠った。
あの日のように共に眠りたいと言うノアを朔良は見遣る。
(普段気丈に振る舞ってるけど、やっぱ寂しいのか……?)
朔良の視線には気付かず、ノアは誕生日の食事を前に喜々として手を合わせる。
「じゃ、いただきまーす!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月14日
参加申し込みの期限
2016年11月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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