【突撃！ 寝高インタビュー！（生徒編その１）】

　朝のＨＲが始まる前の時間、東と西門で配られた新聞は教室に向かう生徒達の間で話題となる。
　表紙を開くと同時に、まず目に飛び込むのは各生徒、そして先生方へも行ったインタビュー記事であった。
「おぉ、俺のも載ってるな！」
　インタビューを受けた一人、不破 灸はそうした教室へ向かう生徒達の中で自分の記事に目を通しながら顔をにやけさせる。
　灸がインタビューを受けた理由は、先ごろ廃部となっていた伝統ある応援団を団員全員で復活させた事にあった。
　多くの生徒の目に留まるであろうこの新聞であれば、応援団が復活した事を生徒へと広く伝える事が出来、尚且つ少しでも宣伝になれば、と言った目的があったのだ。
「黒崎センセもインタビューで一言くれたしな、その期待に答えられないようじゃ、男が廃るってもんだ！」
　インタビューの中には、自分が答えたものとあわせ、黒崎 俊介が応援団の為として答えたものも載っていた。
　それを読み、灸は沸き立つ衝動を抑える事なく、朝の校庭で一人声を上げ応援団をアピールしていく――

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突撃！ 寝高インタビュー！【応援団副団長に質問】

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　――まずは紹介からお願いします。

　不破：押忍！　応援団副団長の不破 灸だ。
　　　　本日は団長が多忙のため、この俺がインタビューにお答えすんぜ。

　――応援団が再建されたようで、まずはおめでとうございます。

　不破：おう。ありがとうだぜ。
　　　　まぁ、俺だけの力じゃないけどな。団員全員の力あってこそだ。

　――一度廃部という形になってしまったようですが、その辺りをお聞かせいただけますか？

　不破：どうやら、９０年代に消滅しちまったらしい。
　　　　残念だが、硬派が流行らねえ時代だったみてえだ。

　――応援団を復活させた切っ掛けは？

　不破：それがよお、実に不思議な話しなんだ。
　　　　ある日、俺のママチャリのカゴに、このノートが入ってたんだわ。

　――随分と古いノートですね。

　不破：だろ？ どうやら、昔の応援団員が書いた、団の記録みてえなんだ。
　　　　汚れちまって読める部分は少ねえけど、熱い魂みたなものを感じてな。
　　　　その勢いで、応援団を復活させたってわけよ。

　――公認化までの道のりで、苦労したことは？
　
　不破：トントン拍子に進んだんで、苦労したって記憶はねえな。
　　　　それよりも、楽しい思い出しか浮かんでこねえ。
　　　　制服とか団旗に太鼓、みんなで話し合って決めたんだ。
　　　　顧問のセンセだって、みんなで考えて黒崎センセにお願いしたんだぜ。
　　　　センセの挨拶には、たまげたねえ。

　――そういえば、黒崎教頭から言伝を預かっていますので、こちらを。

　不破：おぉ、すまねぇな。何々……
　　　　『これからも応援団を一緒に盛り上げていこう。
　　　　　不破君はインタビューで余計な事を言ったらダメだよ』か。
　　　　なるほど、こりゃ俺にもっと頑張れって事だな！ 任せといてくださいや、センセ！

　――それでは最後に、今後の抱負を一つお願いします。

　不破：押忍！　応援団は寝高を全力で応援すんぜ。
　　　　そこんとこ、シクヨロ！

インタビュー回答者：不破 灸
記事担当：八神 修・夏神 零

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【突撃！ 寝高インタビュー！（生徒編その２）】

　登校した生徒達が少しずつ教室へと入っていく中、普堂 しおりも新聞を片手に教室に入り席へと座る。
「私のは……あ、載ってる載ってる！」
　インタビュー記事に目を通し、しおりは自分が答えた時の記事を見つける。
「偶然受けたインタビューだったけど、ちゃんとまとめられてるね。さすが、新聞部って所かな」
　うんうんと頷きながら、しおりはその記事へと目を通す。
「でも、最後の部分までしっかり書かなくても……ま、いっか。ちゃんと勉強はしたって書いてるし」
　書いておいて欲しい、とは確かに言ったが、まさかそこまでしっかりと書き込まれるとはしおりも思っては見なかった。
　とは言え、載ってしまったのならしょうがない。それはしおり本人のマイペースな部分でしっかりと流されていた。
　そんな中、教室内の生徒達も同様に記事へと目を通しており、インタビューを受けた時の様子等など、それらを聞く為に一部生徒がしおりの席に集まって来ていた――

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突撃！ 寝高インタビュー！【桜花女子寮の思い出】

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　――まずは紹介からお願いしますね。

　普堂：普通科、一年三組普堂 しおりです。桜花女子寮に住んでます～♪

　――寮でやりたい事、と言った事はありますか？

　普堂：えっと、お餅パーティーとか、みんなでお菓子作りとかやってたみたいです！
　　　　あ、ここだけの話、男子寮の調理場使えないらしいよ？ 大変だよね～。
　　　　調理実習の練習する時なんて、困るんじゃないかな～。

　　　　そうそう、家庭科といえば、白沢先生の高校時代の写真、あれ可愛いよね～。
　　　　勿論今も素敵だけど。優しくて信頼でき――あ、寮の話？ うんうん、ちゃんと喋るって。

　――では、寮での思い出を幾つか聞かせていただけますか？

　普堂：寮母のトシコさんが桜餅を作ってくれたの、美味しかった！
　　　　旦那様のトシゾーさんと仲良しで、この前もね～差入れする時一緒に行ったんだ。
　　　　世界が二人を引き離しても貴方に会いに行く、的なアレらしいけど。
　　　　……今度は話それてないよね？ あ、大丈夫？ ならよかった。

　　　　そういえば、合同避難訓練もやったっけ。
　　　　爆発事故があったし、こういうの大事だよね。
　　　　下着泥棒や変質者が出たとか、色々物騒だもんねー。

　――ありがとうございます。他に猫の話を聞きましたが、そちらは？

　普堂：寮の周りをうろつく猫がいるんだよ。テオって名前。自分で言って――あぁ、そうじゃなくて！
　　　　そう、ニャンダムRの主人公に似てたからね！ ほら、あれも主人公そんな名前だったはずだし！
　　　　でも、あれ面白いよねー。
　　　　先輩から聞いたんだけど、実は大佐の――あ、それはいい？ じゃあまた今度聞いてくれれば何でも答えるよ。

　――では最後に、この場で誰かにお伝えしたい事やこれからの学校生活で何かあれば一言をお願いします。

　普堂：この記事先生も読むんだっけ？
　　　　じゃあ、女子寮の食堂で勉強会しました！ フツウに頑張りました～！ って、書いといてね♪

　　　　そんな感じで、おおフリーダム♪な日々を楽しく過ごしています！
　　　　桜花寮の皆、これからもよろしくね！

インタビュー回答者：普堂 しおり
記事担当：浅山 小淋・桜井 ラッセル

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【広告欄：部活編その１】

　生徒達のインタビューが記事に載せられていく中、紙面の下側には幾つかの広告も載せられている。
　紙面のページ毎に載せられた広告は、店舗情報から学校らしく部員の募集や部活の紹介など、多種多様の記事として配置されていた。
　そんな広告の中で、二つの部活が並ぶように記載されており、広告主である八十八旗 信彦と屋敷野 梢は、一年教室前の廊下で自分達の広告へと目を通していた。
「キノコのとこも出したんだな。ま、俺の方には敵わないがな！」
　ふふんと、思いっきり偉そうな態度を取りながら、信彦は梢に自分が出した広告を見せる。
「そうですね、すごいですねー」
　腹黒さというか、特に気にもしてないというか、梢の返答は信彦が期待するよりも小さい。
　普段から見せ付けられているこの自信満々の態度は、幼馴染である梢にとっても慣れたものであり、どちらかといえば適当に流しているといったほうが早いが。
「ほらほら、見てみろよ、コレ！ カッコよくない、俺！ これなら素敵なレディー達にも十分宣伝になると思うだろ？」
　そんな梢に、信彦は自分がコスプレした際に取った写真が載せられた広告を見せ付けていく。
「はいはい、わかりましたよー。見ますってばー」
　渋々ながら、梢もしょうがないとその広告に目を通していく。

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【コスプレ部メンバー大募集ッ！】

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　いつもの自分を変えたい、そんな願望を持った事はないかい？
　そう、正にこの記事を読んでいるそこの君！ 特にレディー達！
　部室にあるありものの衣装でなりきって写真とってみたり、自分で一から衣装作ってみたり、写真とったりイベントに参加したり……
　そんな活動で普段の自分とは違う一面を発見出来る、それこそがコスプレ部だ！

この一枚も、部員の皆で作った衣装の一つだ。どう、そそられるだろ？

　興味を持った生徒の皆、見学、体験入部、冷やかしももちろん大歓迎！
　美味しいお茶とお菓子を用意して、部室で待ってるよ。

広告コミュニティ：コスプレ部
広告主：八十八旗 信彦

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　さらりと目を通し、梢は信彦のコスプレを目にする。
　確かに素材はいい。素材は。
　だが、性格自体がちゃらんぽらんな信彦を前に、梢はしっかりとため息をつく。
「ため息！？ どういう事！」
「スゴイデスネー。ひこにゃんスゴイデスネー」
　ほとんど棒読みで梢がそんな言葉を信彦へと返す。
「はは、だろ？ で、キノコの方は……なにこれ、この蝶って何か意味があるのか？」
　信彦が指を指す先には、梢が新聞に載せた手書きによるスケッチで描かれた一羽の蝶がプリントされている。
　アサギマダラ――それはこの小さな体を使い、渡り鳥と同じように遠くを目指し飛ぶ蝶であった。
「ひこにゃんは知らなくて当然でしょうけどねー」
　知る者であれば知っているであろうこの蝶に対し、梢は信彦への説明の為に口を開く。
「この蝶みたいに、みんなで海をわたって目指す所にたどり着こうっていう事を籠めてるんですよー。どうです、深イーでしょー？」
「……ふーん、なるほどな」
　感心したように、信彦は梢の言葉に頷きを返す。
　そして、そのまま生物部の募集広告へと目を通していた。

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【生き物と触れ合える生物部、一度来てみませんか？】

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　こんにちわ！
　今年復活を果たした生物部ですが、無事公認されました。
　公認化に伴う作業などのごたごたも終わり、ようやく落ち着いた所で、6月より本格始動します。

　そ・こ・で！
　新生生物部員、第一期生になりたい人を募集します。

　生物に詳しくはないけど、可愛い動物が好きな女子力高めの人
　毒草をこよなく愛するマッドな人
　部活に入りそびれたかわいそうなお友達
　他の部活に入ってて、忙しくて中々来られない人
　人体模型に変なポーズをとらせて美学を追求したい人

　どんな人でも大丈夫、明るく楽しい職場です。
　活動時間も自由、活動内容もその人次第。

　訪問やらお試し入部も、大歓迎です！
　今はまだ迷ってる人も、いつでもいいから是非足を運んでみて下さい。

　また、生物関係でお困りの事があれば是非ご相談下さい。
　可能な限り、お手伝いします！

　【ご連絡はこちらまで】
　　TEL:○○○-×××-○○××
　　MAIL:○○○@×××
　　部長：屋敷野 梢

広告コミュニティ：生物部
広告主：屋敷野 梢

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