【思い出の記録（遠足編その１）】

　インタビュー記事が終わり、次に新聞の紙面を飾るのは、生徒達がこれまでに作った思い出の記事となっていた。
「おぉっと、僕のが一番初めのようだね」
　思い出の記事の一ページ目を飾るのは、以前、生徒達が校外学習で各地を訪れた遠足での話題である。
　記事を読む伊賀 解理もまた、こちらの話題を記事とし、新聞部と思い出記録部へと提出していた。
「スカイツリーかぁ……また行けるかな」
　天望回廊から眺めた景色は、解理にとっても忘れがたい思い出である。
　もし生徒の中の誰かがスカイツリーに行く事になった際に、少しでも情報があったほうがいい、と言った思いもあり、解理はこの記事を書いていたのだ。
「ま、今度はもう少しゆっくりしたい所だけどね」
　そんな一言を口にし、解理は始まる授業を前に新聞を閉じていく。

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校外学習～東京スカイツリーについて～

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　僕、伊賀 解理は、校外学習の際に学友を誘って日本が世界に誇る巨大建造物である東京スカイツリーへと趣いた。

　長蛇の列を成していたが運良く入場できたので、『天望シャトル』に乗り込み、３５０メートル上空の天望デッキへ一気に上昇。
　まぁ、速すぎて景色はあんまり見れなかったから、ここで期待するのはちょっと待ったほうがいいと思う。

　天望デッキに到着後は、もちろんその場所だけでも十分に堪能できるが、ちょっぴり財布の紐を緩めて天望回廊へと向かう事もオススメしたい。
　そこから見える町並みは、もはや精巧なミニチュアそのもの。一件の価値は間違いなくあると、僕は思うね。

　さらにオススメは、スカイツリーで訪れることができる最高到達点『ソラカラポイント』
　柱には南西と方角が記され、その下にスカイツリーのマスコットキャラの吹き出しに『４５１．２ｍ』と記されており、その先は緩やかな下り坂になっている。

　ソラカラポイントの柱とは反対側の壁だけ、窪んで奥行きのある設計になっており、窪みから外を見れば普通に見るよりちょっと違う雰囲気で楽しめ、うっすらとだが富士山も見る事ができた。
　残念ながら寝子島を確認できなかったが、そこは物理的距離でどうしようもないので諦めてもらうしかない。
　チャレンジャーなうちの生徒なら、色んな手を使って頑張ってみるのも手だと思うがな！

　というわけで、日本最高峰の建造物について少しでも楽しめれば幸いであると思いつつ締めたいと思う。
　機会があれば是非行くことをおすすめしたい。

記事提出者：伊賀 解理

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【思い出の記録（遠足編その２）】

　解理と同じように、遠足の話題を記事としていた高尾 日菜もまた、自分の記事へと目を通していく。
「三人で仲見世を周ったんだよね。着物も着れたし、楽しかったなぁ」
　記事に掲載されている写真は、日菜と、そして親友である梢と葛城 璃人と共に揃って歩いている光景である。
　見目麗しく着飾った着物と、花より団子なこの一枚は、日菜にとっても大事な、とても大事な思い出であったのだ。
「でも、りぃちゃんの着物姿、やっぱり違和感がないよね……可愛いからいいのかも、だけど」
　やや苦笑気味に、想い人である璃人の着物姿を日菜は見る。
　仲良く歩く三人の姿を、そして色あせない思い出をゆっくりと再度思い浮かべながら。

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校外学習～仲見世三人娘？～

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　4月某日。晴れ。
　早朝のシーサイド駅前には、期待に胸を膨らませる生徒で溢れ返っていた。
　生徒の手には遠足のしおり。
　ねこでんは大勢の生徒を乗せて島の外へ出発した。

　彼女たちの行き先は、東京の浅草。
　下町の情緒を思う存分楽しむため、彼女たちは初めに着物レンタルショップへと足を運んでいた。
　各々が思い思いの着物を選び、着物姿での浅草散策を楽しんだ。

　次に向かったのは浅草寺の仲見世通り。
　和の小物店でちりめんを使った可愛らしい手鏡をお揃いで購入してご満悦の様子。
　あまーい抹茶のソフトクリーム、出来たてきび団子、焼きたての煎餅…。仲見世通りで売り出している食べ物はどれも美味しそう。

　「（おせんべいボリボリボリボリ）」「うーん、次はどこ行こう…」「ふむふむ、どこも楽しそうですねー♪」

　途中、こんな事もあったけれど。

　【トイレでの一幕】
　「おいィ？　こっち男子トイレだろォ？」
　「な、なんですかっ？　りぃは間違ってませんよ！
　　お兄さんこそ、今女子トイレから出て来たでしょーっ」
　「女子なんだから当たり前だろーが！」
　「えっ」
　「えっ」

　…なーんてことはさておいて、途中友人とも合流し、引き続き浅草散策を満喫。
　三人とも、とても充実した一日を過ごせたようだ。
　
　全部全部、楽しい思い出。
　これからも、私と、そして大事な親友達と共に、この高校生活を過ごして行きたいと思う。

記事提出者：高尾 日菜

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【広告欄：店舗情報その１】

　遠足の記事の最後に付けられた広告には、主に店舗情報が載せられている。
　旅のついでに、寝子島にも色々な店がある事を知ってもらいたい、という新聞部と思い出記録部の構成により、こうした形をとっていたのだ。
「ヴァン シダの お店だ！」
　体育科１年の教室では、この中の一つとして広告を提供したシダ 美穂戸が数人の生徒に囲まれる形で、色々な質問に答えていた。
　――ベトナム雑貨店　チュックマイマン。
　異国情緒溢れるこの店に対しての。
「色々 ある。一度 来てみると いいぞ！」
　片言ではあるが、シダは元気よく質問に答え、生徒達もまたチュックマイマンへの想像を掻き立てられていく。
　その生徒達に、シダは案内をする事を伝え、教室内の一角では楽しげな声が上がっていた。

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異国の香り～寝子島の中のベトナム、感じてほしい生ベトナム～

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　シーサイドタウンにある、ベトナム雑貨店 チュックマイマン。
　かわいい雑貨に、食材、缶詰やフルーツ、衣料品に家具まで、ベトナムにあるなんでも屋さん。
　そんなベトナムから、チョキンと切り取られて、ポンと寝子島にやって来た。

　ベトナムってどんな国でしょう？　
　暑そう？ メコン川？ 戦争？ 甘いコーヒー？ 氷を入れて飲む水っぽいビール？
　たしかに、それもベトナム。そして、それだけじゃないベトナム。
　足取り軽く、気軽に遊びに行ってごらん。

「シンチャオ」

　ほら、笑顔が眩しいアオザイ少女が迎えてくれますよ。

　※特記事項　蹴られないように注意すること。

　◇アオザイ少女の言葉
　シンチャオ シダだよ。
　サービスで ベトナムコーヒー いれるぞ。
　うんと甘い ミルキーな甘さ きっと 癖になる。
　大人には ビアホイ出す。
　コン シダは 飲まない いい子だから。
　けど 酔拳のマネ うまいぞ 見てろ バッ シュバッ な？
　じゃない 思い出した 火曜 金曜は 裏で ベトナム格闘技。
　ボビナムの道場 やってる 生徒 募集中だ。
　ん 最後に？　店の名前「Chúc may mắn」
　ベトナム語で 幸運を祈るって 意味だ。
　みんなに チュックマイマン。

広告店舗：ベトナム雑貨店　チュックマイマン
広告主：シダ 美穂戸

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【広告欄：店舗情報その２】

　シダの広告が載せられている隣には、また別の店舗の情報が載せられている。
　普通科三年の教室内では、新聞を広げ、青龍寺 琴理が自分が提供した広告へと目を通していた。
「写真、ちゃんと載せていただいてますね」
　琴理が提供した店舗広告は、自身がアルバイトとして働いているシマリス書店の紹介である。
　同じ書店で働く浜西 冬子と共に、広告記事の内容を相談し、琴理の手で書き上げた記事は、店舗内の情報を含め、イベントなどの情報も載せられていた。
「生徒の皆さんにも、読んでいただいて、足を運んでいただきたいですね」
　学校終了後に冬子にもこの記事を見せよう。
　そんな思いと共に、目を通した新聞を丁寧に畳み、琴理は鞄へとしまっていく。

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シーサイドタウンの大書店【シマリス書店】

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　私がアルバイトをしている、シーサイドタウンの大きな書店です。
　地下一階から８階まであり、数多くの書籍を完備しています。

　営業時間は10：00～21：00まで。
　現在、アルバイトも募集中です。
　高校生の方も採用しておりますので、よろしければお待ちしております。

　様々なジャンルの書籍を取り扱っていますが、特に芸術、参考書、理工学書が充実しています。
　その為、寝子高の生徒の利用も多く、働きやすい環境、そして気軽に訪れていただけると嬉しいです。

　店舗内では、サイン会や有志によるカルチャースクールも開催されます。
　先日は押し花教室を開催し、数多くのお客様で賑わっておられました。
　こうした催しは定期的に行っておりますので、よろしければ足を運んでみてください。

　それでは、皆様のご来店を心よりお待ちしております。

広告店舗：シマリス書店
広告主：青龍寺 琴理

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