マリンパラダイスの黄金週間｜リアクション

マリンパラダイスの黄金週間

【わくわくランチタイム】

お腹が空くまでたっぷりペンギンと遊んだ戌井創と添木牡丹は、屋外スペースのベンチでランチタイム。
お互いのお弁当を、分け合いっこだ。
「二人で食べられるように、サンドイッチたくさん作ってきたんだー」
創の手元のお弁当箱には、定番のハム、ツナ、タマゴ、それから生クリームにイチゴやバターレーズン、チーズとベーコンのホットサンド等など、言葉通りたくさんのサンドイッチ。
「えへへ……私は戌井君が好きなおにぎりとタコさんウィンナーにだし巻き玉子、スティック野菜を用意しました！」
牡丹のお弁当も、負けず劣らずだ。ちなみに、おにぎりの具は鮭。明太子、昆布の三種類。
「「いただきまーす」」
「先輩、おにぎりもらっていーい？」
「勿論ですよぉ。私もサンドイッチもらってもいいですか？」
「うん！　どーぞどーぞ！」
さっそく、わけあいっこ。二人共、自然と笑みがこぼれる。
「先輩のおにぎり、とってもおいしいよ」
「戌井君のお弁当も、とても美味しいですぅ」」
（真心の味がするのです）
牡丹の胸に、あたたかいものがすぅっと広がっていく。
お互いへの真心は、きっと最高の調味料。

「凪ちゃん、そろそろお昼にしようかの」
そう言って、夏神零はテーブルに重箱を置く。
中身は魚中心の和食。使われている食材は三十品ほどで、健康にもしっかり配慮してある。
「私も……」
その反対側に、魂行凪が小さな包みを一つ置いた。
「お弁当……作った……」
魂行凪、生まれて初めての手作りお弁当である。
「おお、そうでござったか。凪ちゃんもお弁当を……」
凪はこくこくと頷き、
「食べさせあいっこ……しよ」
「そうでござるな。拙者も凪ちゃんのお弁当、食べてみたいでござるよ」
「ん……」
とかれた包みから姿を現したのは、小さな二段のお弁当箱。
一段目には小ぶりなおにぎり。
二段目には、玉子焼にウィンナー、それからうさぎの形にカットされたりんご。
無難かつオーソドックスなラインナップ。
しかし、初めてのお弁当としては十分だろう。
凪は玉子焼を一つとり、
「あ～ん……」
零も重箱からおかずをひとつって、
「あーんでござるよ」
はじめての食べさせあいっこは、幸せの味がした。

ペンギンと戯れ続けていた野中野子に、夢宮瑠奈が声をかける。
「のこちゃん、そろそろお弁当食べない？」
「あれ、もうそんな時間か？」
腕時計を確認してみると、もう正午を過ぎてそれなりに経つ。
確かに、そろそろお昼御飯を済ませてしまったほうがいいかもしれない。
ペンギンと別れるのは名残惜しくもあるが、なんなら後でまた来ればいい。
「じゃあそうだな、お弁当食べるか」
そうしてペンギンふれあいコーナーを出た二人は、手近なところにあったベンチでお弁当を食べることに。
「交換できるようにね、玉子焼きとか唐揚げとか入れてきたんだ」
なるほど確かに、瑠奈のお弁当のおかずはどれも交換しやすそうなものばかり。
「俺も、一応交換できそうなおかずは入れてきたぜ」
そう言う野子のお弁当は、イルカを模したマリパラ仕様のキャラクター弁当だ。
「わぁ、かわいいね。のこちゃんって、こういうの得意なんだね」
「ま、まあな」
ちょっと照れくさそうにする野子。
こういう地味な事が得意でもなあと思うこともあるが、それでもやっぱり褒められると悪い気はしない。
「そ、それじゃ食べようぜ」
「うん。いただきまーす」
「いただきまーす！」
さあ、楽しいお弁当タイムの始まりだ。