マリンパラダイスの黄金週間｜リアクション

マリンパラダイスの黄金週間

【マリンパラダイスの黄金週間】

マリンパラダイスのゲート近くで、紅双葉はどことなくそわそわした様子で立っていた。
（へ、変じゃない、よね？）
と自分の服装を何度も見直す。白のチュニックにジーンズという、落ち着いた清楚な出で立ち。
先輩につりあうように、と姉から大人っぽい服を借りてきたのだ。
その姿を見つけて駆け寄ってきたのは、件の先輩である桐野正也。
「おはようございます、きりのん先輩」
「おう、おはよ双葉ちゃん。今日は来てくれてありがとな」
「いえ、私の方こそ誘ってもらってありがとうございますー」
「この間、誘ってもらったのに行けなかったからな。そのお詫びだよ。んじゃ、行こうか」
「はい！」
ゲートへと向かう二人。その前には、時期柄当然とも言える人だかり。
「さっすがゴールデンウィーク、すごく混んでるな……。双葉ちゃん、はぐれないようになー」
すっ、正也が双葉と手を繋ぐ。
「へ、あ、は、はいっ！」
正也自身無意識の行動に、双葉はろくに反応もできないまま、頬に少し朱がさした。

淡い緑色のブラウスとスカートに身を包み、薄野五月はクラスメイトの友人たちを待っていた。
昨夜は楽しみで寝られるか不安だったが、実際のところぐっすりと眠れて今日を楽しむ準備はばっちりだ。
「チャオー！」
横からの元気な声に振り向くと、御薗井Ｅセレッソが元気いっぱいに両手をぶんぶんと振っている。
「こんにちはー。……あっ、彩葉さん」
セレッソに挨拶する五月の視界に、高梨彩葉の姿が映った。春色のフリルワンピースの上から、横にラインの入った上着を羽織っている。春らしさに溢れた出で立ちだ。
「こんにちはー」
「彩葉チャンもチャオ！」
「こんちはー。二人はもう来てたんだね。華菜子ちゃんは？」
ひらひらと手を振り、二人と合流する彩葉。話題は自然と、今日来るはずのもう一人についてのことに。
「見てないですね……。でも、待ち合わせの時間までまだありますし、もうすぐ来るんじゃないでしょうか」
「そうだね、遅れるなら連絡くれるだろうし」
そんな風に、噂をすればなんとやら。
「あ、華菜子チャン来たノ！」
セレッソが「ココにいるノー！」と、両手を大きく振り出した。つられて二人が視線を動かした先には、当然というべきか畑中華菜子が居た三人が揃っているのに気づいたからか、少し慌てた様子だ。
「ごめん、待たせちゃったアルカ？」
「いえ、私たちも今来たところです」
「よかったアルヨー。昨日楽しみでなかなか寝付けなくてアル」
ほっと胸を撫で下ろす華菜子。そんな彼女に、目を輝かせたセレッソが言う。
「華菜子チャンの今日の服、とっても素敵ナノ！」
その隣で、うんうんと彩葉も頷く。
「華菜子ちゃん、よく似合ってるねー」
「ありがとアル。水の色をイメージしてみたアルヨ！」
胸を張る華菜子。今日、彼女が着ているのは青色のチャイナドレス。彼女自身も言っているように、水をイメージさせる色合いが目に鮮やかだ。
そんなやり取りに、五月の口元に微笑みが浮かぶ。
「それじゃあ、全員揃ったことですし」
「マリパラへ行こうナノー！」
セレッソが元気よく振り上げた握りこぶしに、三人が「おー！」と続く。
これから過ごす楽しい一日に思いを馳せながら、四人は館内へと入っていった。

（えへへ……やっぱり緊張しちゃうのです）
添木牡丹は、緊張と幸福感が入り混じった心持ちで待ち合わせ場所へと向かっていた。
初めての、正式なデート。一張羅の和服で気合を入れた彼女の姿は、華やかかつ清楚な雰囲気に溢れていた。
「戌井くーん、おはようござますぅー」
前方に小柄な背中を見つけ、声をかける牡丹。すると背中の主――戌井創はくるりと振り返り、元気な笑顔を浮かべて走り寄ってくる。
「牡丹先輩、おはよー！　着物すっごくきれいだねー」
「きれいだなんて……照れちゃいますぅ」
飾らないド直球の褒め言葉に、少し熱くなった頬を両手で隠すようにする牡丹。しかし、表情で幸福感ダダ漏れなのでそこだけ隠す意味はあまりなさそうでもある。しばらく、そんな幸福感溢れるやりとりが続いていたが、今日の主目的を思い出してハッと我に返る。
「そうだ戌井君、今日はどうしますか？」
「イルカとかエイも楽しそうだけど、僕はペンギンさんと遊んでみたいなー」
「じゃあ、ペンギンふれあいコーナーへ行くのです！」
「うん、行こう先輩！」
はやる気持ちをおさえつつ、二人はゲートをくぐっていった。

このページにイラストを設定する

マリンパラダイスの黄金週間

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧