【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-

【６回表】

試合も終盤に差し掛かり、各チームの選手が交代します。

黒猫チーム
打順(ポジション)
1 龍目豪 (右翼)
2 回転院環 (一塁)
3 桃原空音 (左翼)
4 山路源太郎 (捕手)
5 御剣刀 (三塁)
6 新庄武蔵 (二塁)
7 邪衣士 (遊撃)
8 天馬ひびき (投手)
9 柏田貴弘 (中堅)

ポジション(打順)
投手獅子尾優華 (８)
捕手志波武道 (４)
一塁伊藤佳奈 (３)
二塁青物といき (５)
三塁藤堂月乃 (２)
遊撃神薙焔 (７)
左翼浅沼柳司 (６)
中堅七音侑 (１)
右翼秋風透 (９)

「よっしゃ、あと２回ブワーといくで！」
「「「「おーっ！」」」」

源太郎の掛け声に観客席が大いに盛り上がる。

「よろしく頼むで」
「交代早々四番からとはね」

武道がマスクの下で笑う。それはもう、楽しくて仕方がない。

「野球ってなかなか楽しいもんなんだな」
「当たり前やで！野球に限らんと、みんなでなんかするゆうんは楽しいもんや」
「……そうだな」

優華が投げたボールを外野まで運ぶと源太郎は二塁で止まる。
武道に向き直ったその表情は、真剣というよりも楽しんでいるように見えた。

「……山路先輩いい笑顔だな」

バッターボックスに入った刀も、同じような感想をもらす。
全打席は柳司のファインプレーでホームランを阻止された刀だったが、次は手堅く左中間にヒットを落とした。
現在ノーアウト二、三塁。
続いて武蔵がバットを構える。

「こいよ、打ってやる……どんな球がこようともな……！」

言葉通り、かなり際どい位置に入った変化球をレフト前にはじく。
しかし柳司が思いのほか浅く守っていたせいで、源太郎はホームにつっこまず三塁に留まった。
黒猫チーム、ノーアウト満塁のチャンスに打席に入ったのは士。
おいて行けと言われたので今回熊の皮は観客席に干されている。

「うわあ……ここで俺に回ってくるか……」

バットを握りプレッシャーと闘っていた士の肩を叩いた人物がいた。

「……八神？」

士の声には答えず、修は高らかに告げた。

「選手交代。代打、俺！」

２回以降監督業務に励んでいた修が満を持して士からバットを受け取る。

「すまない、いいところで出番をとってしまって」
「いや、正直プレッシャーが半端なかったからありがたい。よろしく頼むぞ、監督」
「ああ、任せてくれ」

こうして士は自分の熊の皮の元へ帰り、バッターボックスには修が立った。

「代打俺を本当にやるやつがいたとはね」
「どこかで出るつもりだったんです。よろしくお願いします」

武道に応えてバットを構える。
１球目。様子見に放たれた少し高めのストレート。

「高めのストレートは長距離を出しやすい」

修がバットを投げる。
打ち返されたボールは、球場の全員が見守る中センタースタンドの中へ消えていった。

「満塁ホームラン！！！」

黒猫チーム観客席から今まで以上に大きな歓声が上がる。
まりもは愛用のシンセサイザーをかき鳴らし、メガホンを叩きながらの大絶叫である。
塁に出ていた３人と修が戻り、チーム全員がぐちゃぐちゃになって盛り上がる。
環から猫のぬいぐるみをプレゼントされた修は、

「俺の足でもホームランなら問題無い」

そう言って少し照れたように笑った。