【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-

【５回裏】

「すまない……力が足りなかった……」
『ごめんね』
「だいじょうぶだよ、林檎ちゃん！」

戻ってきた林檎にひびきが声をかける。
リリーフとして肩慣らしを負えたようだ。

「あと２回で絶対点入れて見せるからね」

白猫チームの打者は再び月乃から。

「まずは塁に出ること。しっかり見てバットに当てるのよ」

自分に言い聞かせながらバットを振る。
当たったボールはファースト横のファールゾーンへ打ち上げる。

「んふふーたまちゃん頑張っちゃう！例えそれが無駄でも……無駄……ハァンッ！」

自ら呟いた“無駄”という言葉に感極まって身をよじる。
と、同時に落下してきたボールが環のグローブに収まった。

「……無駄じゃなくなっちゃった」

そんな環を見ながら空里花がバッターボックスへ。
クールな表情から感情は読み取れないが、おそらく「変な奴だな」といったところだろう。

「次は叩き込んでやるからな」

空里花の宣言通り、というわけにはいかなかったが、レフトフェンスに当たる大きな当たりで一気に二塁まで駆け抜ける。

「代走を頼むぜ」
「任せニャ！」

空里花の代走にといきが入り、リードを取りながら真帆の様子を伺う。
真帆は二塁を警戒しながらも次のバッター、四番の轟に集中した。

「もう一発入れてやるよ」
「真帆さん(さっきは初球のストレートを狙われた……じゃあ変化球で攻めてみましょう)」
「(五郎八先輩からのサイン……)はいっ」

コントロールを意識して外角低めにスライダーを入れる。
轟は手を出さない。
２球目。同じくスライダーを今度は内角ぎりぎりへ。
轟がスイングするが、タイミングがずれて空振り。
そして３球目。

「……ストレートは得意だけど変化球は苦手なのね。野球の経験はない。ただ、持っているパワーと真帆さんの球速が合わさってさっきのホームランにつながったようね」

五郎八の瞳がマスクの奥できらめく。
轟は聞こえているのかいないのか、意識しないように真帆に集中していた。

「さっきから変化球には手を出していないのは、怖いからかしら？どこに変化するか予想できないからもしかしたらボールになるかもしれない、なんて期待してる？」

真帆が投球フォームを取る。

「じゃあ次も変化球ね。豪快な性格のあなたには合わないかもしれないけど」
「っ！」

真帆の放った変化球。気のせいだろうか、ボール自体がぶれて見えた。
そのボールをバットに当てて真上に打ち上げる。
それを五郎八がキャッチ。

「残念でした」

真帆の隠し球、ナックルボールの活躍だった。
続いて打席に立った真美の結果は前打席と同じ殺人級のライナーボール。
受け止めたカンタは観客席に戻った後、投手のアイシング用の氷でずっと手を冷やしていたそうだ。

「……乱闘はボーナスステージなのよね？」

今回そのボーナスステージはなさそうです。

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