【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-

「監督、ピッチャー代えてください」

白猫チームのベンチで優華が優に迫っていた。

「私のボールじゃ、もうだめみたいです」

今にも泣きだしそうな優華に優はぽんぽんと頭を撫でてやる。

「それは違うよー獅子尾さん」

優はにっこりと笑って見せる。

「俺たちは楽しむためにこの球技大会に参加してるんだよー？そりゃ勝てた方が良いけどさ。でも勝つために誰かが悔しい思いを引きずる必要はないんだ。
今交代したら、獅子尾さん悔しいままでしょ？もやもやしたまま試合が終わっちゃうんだよ？そんな不完全燃焼のまま終わるくらいなら、思う存分投げておいでよ」

優の言葉に優華は目尻に涙を溜める。
咄嗟に下を向いてそれを隠した。

「ありがたいことに俺たちは後攻だからさ、まだあと２回攻撃できるんだよー？」
「そうそう、俺達が点とってくるからさ」

後ろで見守っていた武道も優華の肩を叩く。

「自分のせいで負けたなんて思わないことね。だって野球はチームプレイなんだから」

エヴァが一蓮托生扇子を開く。

「そうアルよー。優華ちゃんのボールコントロールは間違いなくいいアル。あの１球ぐらいくれてやったと思えばいいアル」
「シダ打つ！だから優華ホンサオダウ任せてシダに」

華奈子とシダも励ましの言葉をかける。

「……っ、もう少しだけ、頑張らせてくださいっ」

優華の言葉に他チームメンバーも集まり、優を中心に再度円陣を組む。

「さあ、あと２回しまって行こう！」
「「「「おーっ！！」」」」

両チームとも盛り上がりにひと段落ついたところで、ランナーなしの状態から黒猫チーム、バッターボックスにはひびき。

「よっし。やっと出番だー！」

バットを振り振り上機嫌のひびき。
しかし、一度吹っ切れた優華の制球力は先ほどまでの比ではなかった。
隠し球のフォークを交えたキレのある選球。
そして武道のリードに的確に投げ込むコントロールの前に、ひびきはセーフティバントを選択するも武道と佳奈の前にあえなくアウトとなった。
そして貴弘も同じように、フォークのキレを前にして空振りの三振。
一気にツーアウトをもぎ取った。

「いい感じじゃないか、優華ちゃん」
「自分でも不思議なくらいです。……みんなのおかげ、かな」

そして豪が打席に入る。

「外から見ててもいいボールだっていうのが伝わってくるな！」

１球目、空振り。

「コントロールもいいし、球速も遅くはない！」

２球目、空振り。

「だがコースはまだまだだねっ」

３球目、ライト前に落とす。
足の速い人ならツーベースヒットになろうかという当たりだった。
しかし、

「うぉおおおさせねぇえええっ！」

全力でつっこんできた透が同じく全力で佳奈のもとに投げ込み、ファーストでアウトとなった。

「よっしゃあああチェーンジ！！」

透の雄叫びとともに、スリーアウト、チェンジ。
現在８－４で黒猫チームがリードしています。