【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-｜リアクション

【球技大会】本気の野球（白猫組サイド） -後半-

【６回裏】

「おっし、優華の分も点取ってきたるわ」

ベンチに戻ってきた優華に一声かけてバッターボックスに向かったのは柳司。
黒猫チームのリリーフピッチャーはひびきである。背番号は18。１はひびき、８ははやぶさの意味を成す。今回はやぶさは観客席でまりもの隣にちょこんと座っていた。

「女子のピッチャーってかっこええな」
「わしらのマネージャに惚れたらあかんで！」

そんなやり取りを交えつつ、１球目が放たれる。
オーバースローから投げ込まれるボールは、おおよそ女子だと油断していては反応できないであろうパワーとスピードを持っていた。
２球目、落差の激しい変化球に空振り。

「速球投手に球種がないなんていつから錯覚してた？」

自慢げに鼻を鳴らしながらの３球目。
低い位置に入ったボールを救い上げるように外野まで運んだ。
柳司は大きな冒険はせず、一塁で止まる。
続いて焔が打席に立った。
そして前の打席と同じくバントの構え。
プッシュバントを警戒してか、内野は前すぎない位置で構える。

「よっと」

ひびきのボールをマウンドの前に転がすと、すかさず一塁へダッシュ。
ひびきが拾って環に渡す間に柳司は二塁へと進んでいた。
送りバント成功。ワンアウト二塁。
続いて優華がバッターボックスに入ると、１球目を叩きセカンドの頭を越えるヒット。
柳司は三塁へ。豪が環に送球するも、ぎりぎりで優華もセーフ。
得点のチャンスで打席には蕎麦人が入った。

「うわーはえー」

間延びした声を出しながら１球目、２球目を見送る。
そして３球目。
外に逃げるスライダーを真芯で捉えると、そのままセンターの頭を越えてフェンスぎりぎりのところに落下した。

「うはっ、やった。飛んだなー」

へらりと笑うと二塁まで一気に駆け抜ける。
柳司がホームイン。続いて優華も走り抜けようと三塁を蹴った。

「遠投は得意っ！」

ボールを拾った貴弘が中継の士に向かって全力投球。
士も流れに乗ったままキャッチからホームへ送球した。
源太郎がボールをキャッチし、サードの刀と優華を挟む。

「あ、ちょっ」

最後は刀にタッチされて、優華はアウトとなった。
白猫チーム１点追加。現在、８－５。ツーアウト二塁。
打席には侑が入った。

「もうゴロなんてうたないに！」

気合を入れて振ったボールはファースト横をすり抜けてファール。
２球目を空振ると、３球目を叩いてレフト前に転がした。

「うにっ！きたにー！」

上機嫌で走り出すが、侑は気づいていなかった。
現在レフトの守備についている空音の集中力を。

(ぱんつとんできたぱんつ。こいぱんつ、私が受け止めてやるよぉ！)

飛んだ方向へ反応しゴロを意地のワンバウンドで捕球。
二塁に走り出そうとしていた侑はあわてて足を止めた。

「あ、危なかったに……目が怖いんだに」

「チョーイオーイ！！！」

侑が胸をなで下ろしている間に、シダがバットを振るう。
打球はセンター前に落ちた。
蕎麦人がホームに帰り、１点追加。

「集中！」

前打席と同じように脇構えの態勢でバットを握るのは佳奈。
深く息を吐くと、ひびきの動きに集中した。
“ボールが止まって見える”
とまでは言い過ぎかもしれないが、佳奈の目には自分の振り切ったバットとボールがスローモーションで再生されているような感覚に襲われた。

「たあっ！」

弾き飛ばしたボールはライト前に。
浅い位置で待機していた豪がファーストに投げて、スリーアウト。

現在８－６で黒猫チームがリードしています。