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憐みを請うて煩く喚き立てる首を躊躇なく断つ。
暗い路地に横たわる汚らわしい堕天使の姿は霧と消えた。存在さえ許されぬように、彼らは死体さえ残さず滅する。
十字の大剣にこびりついた血さえ細かな黒霧となり闇に溶ける様を温度のない眼差しに見届け、少年は榛色の瞳を感情の欠片もなく瞬かせた。
コートのポケットから携帯電話を取り出す。所属している『機関』へ堕天使討伐報告を手早くメール画面に打ち込む。
送信ボタンを押して後、受信メールも確かめる。
(『エクソシスト』が悪魔一体討伐)
何の感慨さえ瞳に宿さず、携帯電話を閉じる。片手に提げていた十字の大剣を一振りすることで小さな十字架のかたちに戻す。
(『機関』の仕事はこれでいい)
不定期に悪魔なり堕天使なりを滅しておけば、『機関』は易々と騙すことが出来る。
『機関』構成員である
獅子目 悠月
は、天使だ。
ただし、それを知る者は本人以外に居ない。
(後は、この付近に感じた反逆の気配を探さなくては)
『穴』を落ちて以降、天上には戻れていない。それでも、九夜山の廃教会で祈れば、天上の父の声を聞くことが出来た。
厳格なる父が告げたは、悪魔蔓延る魔都のようなホテルの一角にて、今宵天使が堕するとの予言。
天上と地上と、遥か遠く隔たってしまったとは言え、悠月にとって父の言葉は絶対で、その言葉に疑う余地はない。
過去には、父の言いつけを破り、神の御為ではなく自由などというもののために讃美歌を歌っていた。
今となって思えば、あの頃の己は如何にも愚劣だった。
父が、堕天寸前の愚かな己を調教してくださった。
今はもう、歌など歌わぬ。例え天上に帰ること叶わなかろうとも、堕天使討伐の血筋に定められた通り、堕天使を滅することだけが己の運命。
「悠月……?」
天使から堕そうとしている愚者を探し出し殺すために先に進もうとしていた足が、背後から名を呼ばれ止まる。
「お前、悠月だよな」
振り向けば、酷く疲弊した顔の昔の友人が立っていた。
「来島」
路地の向こう側に立つ天使を表す名を口にして、気づいた。
廃教会に聞いた父の声の通りに、天使であったはずの昔の友人の気配が穢らわしい欲に染まろうとしている。貪欲に愛を求める堕天に成り果てようとしている。
「もしかして、俺のこと迎えに……?」
「ああ……反逆の気配はお前だったのか、来島」
期待込めた言葉を半ばに遮られ、反逆の汚名を着せられ、アカリは友人の無機質な瞳を見つめる。
「……どうしたんだよ、お前」
「迎えに来たわけじゃない、仕事だ」
「どうしてそんな、空っぽな顔してんだよ」
己の呼びかけにも眉ひとつ動かさぬ友人に、泣きたくなる。
天上に居た頃は、もっと感情が豊かだった。よく笑った。よく怒った。自信家で強情なくせに懐に入り込んだ者にはどこまでも優しく甘かった。
「悠月!」
「敬愛する主の、御父様の為に、」
友人の手に大剣じみた十字架が現れるのを、武器を手にした友人から間違えようのない殺意が放たれるのを、アカリは呆然と見つめる。
「汚れは掃除する必要があるだろう?」
友人は、かつての自信に溢れた好ましい笑顔とは別種の笑みを顔に貼りつける。
蔑みさえ覗かせる友人のその笑みに、見覚えがあった。
(……悠月の、父親……)
己を殺す武器を手に、友人が近づいてくる。
逃れる気も失せてただ佇むアカリに向け、悠月は虫を潰そうとするかの如く十字架を振り上げる。
夜闇を裂いた十字架がアカリの身を打ち砕く、その寸前。
十字架が軌道を変えた。アカリの身体の代わりに悠月が弾いたのは、己の身目掛けて投擲された小型のナイフ。
「……汚れが増えたな」
「……ああ、君か」
淡々と吐き捨てる悠月の声に重なるは、路地の空に羽ばたく黒翼の音と彰尋の声。
「二人とも知り合いだったのかな?」
「鴻上さん……」
黒翼で夜風を打ち、彰尋は悠月の背後に降り立った。
「それならそれで」
くすり、小さく笑む。
来島アカリと同じく、獅子目悠月にも目はつけていた。幾度かちょっかいを出してはその度に刃を交え、その度に堕天の誘惑に失敗していた。
(少し調理に手間取っていたからね)
料理人らしく考え、また少し笑む。
彼らが天使であるがゆえに、どちらも堕としたい相手ではあった。
(好都合だ)
アカリと同じく、悠月の事情についても少なからず調査はしている。
「彼をこんな風にしたのは、彼の父だ」
悠月の肩越し、彰尋は言葉を紡ぐ。まず狙うは少なからず動揺を示している方からだろう。
(堕天した友人を、果たして殺せるのだろうか?)
そこを知りたくもあった。
「感情を喪失させる、その手段を知っているか?」
悪魔の囁きを聞くまいと耳を塞ごうとするアカリの手を掴む。天使の背後に立ったまま、悠月が自らの父親に施された『調教』を低く告げる。
言葉にするもおぞましいほどのその方法を聞かされ、天使の瞳が悲しく歪む。それ以上聞きたくないと拒む頭を抑えつけ、続けて囁きかけようとして、
「よくもそううるさく囀る」
「……っと」
悠月の振るう十字架から逃れて身を反らした。アカリの身を盾にする格好で羽交い締めにしながら、それでもアカリの耳に悠月の父親の所業を吹き込む。
「全ては家督を継がせるため、正しい家柄を護るため。彼は犠牲にされた」
「いい機会だ、いい加減貴様に引導を渡してやる」
どこまでも事務的に淡々と告げて十字架を構える悠月を、アカリは哀しい瞳で見つめる。悠月、と名を呼び、応えがないことに、友人が己を気にもかけておらぬことに唇を震わせる。
悠月がその心身に受けた苦痛を思う。どんなに苦しかっただろう、どんなに悲しかっただろう。その心を封じてしまうほどの苦悶を与えたのが、今も天上に住む実の父親であるのならば。
「あ、……」
(ぜんぶ鴻上さんの言うとおりだとすれば)
(神様は俺を見捨てて)
「ああ、」
心が爆ぜ飛んでしまうほどに、様々の思いが渦巻く。膨らんでゆく。
(ああ、もう何も)
(考えたく、)
「ああ……」
色を失った頬を透明な涙が一筋伝う。
彰尋の腕の縛めから滑り落ち、その場に蹲るアカリ目掛け、悠月は無表情に十字架を振り下ろす。
「……あは、」
項垂れる頭を打ち砕かんとした一撃は、けれどアカリの唇から零れ落ちた場違いに明るい笑い声に僅かに動揺を示して逸れた。
くずおれた膝を掠めて地面を破壊するアーティファクトに興味も示さず、
「あははは」
アカリは狂ったように笑う。
その背に隠していた純白の翼がふわりと現れ、優しい風を起こす。夜風を撫でるその翼が、夜の色を吸い込むように黒に染まって行く。
「なんだ、こっちの方がずーっと楽じゃん」
頬伝う涙を掌で拭い、アカリは背に負うていた天上の重圧をはねのけるような軽い仕草で立ち上がった。楽し気に黒い翼を羽ばたかせ、その場でくるりと踵で一回転する。
「ありがと、鴻上さん」
堕天したばかりの少年は少女じみた顔で小悪魔のように微笑む。
「これから俺は、俺のために生きるんだ」
軽々とした足取りで悠月に近づく。もう何も、怖くなかった。だってこれからは悩むことなく、大好きな両親と一緒に居られる。
(ずーっと、ここで)
「ほら、お前もこっちに来いよ」
「触わるな、汚らわしい」
伸ばした手を鋭く払いのけられて、それでもアカリは怯まなかった。
「昔みたいに、自由に歌おう」
武器である十字架を掴む悠月の手に手を触れさせる。
「全部捨てて、楽になろうぜ?」
もう片手で友人の首に抱きつく。たとえ刺されようとももう二度と離すまいと、きつくきつく、友人を抱きしめる。
「悠月」
耳元にどこまでも優しく呼ばれ、悠月は毒を吐き尽すような吐息を零した。
「アカリ、……アカリ」
友人の名を呼ぶ。
呼んだ瞬間、心を封じる父の縛めが解けて消えた。
その手から十字架模した大剣が離れて落ちる。自由になった両手で、悠月はアカリの背をきつく抱きしめ返す。
「おいで」
「来いよ、悠月」
因縁浅からぬ彰尋と親友であるアカリに重ねて呼ばれ、悠月は怖々と、まるで初めて息をするかのように息を吐き出す。
榛の瞳を揺らがせ、己のアーティファクトを見遣る。悠月の意志を受けてか、主の手を離れたがためか、その不思議の武器は元の小さな十字架のかたちとなっている。
アカリに、彰尋に、悠月はぎこちなく笑みかける。
己を呼び戻してくれた友人に応じる天使の背に現れた翼は、夜の色をしていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月21日
参加申し込みの期限
2016年06月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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