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カオスワールド・プレイ
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「兄さま、……」
腕に抱えたマーオが息も絶え絶えに呻く。
「マーオは死なないさ」
腹に複数空いた散弾銃の穴から大量の血が流れ出続けている。
マーオが夜になると猫集めに出ることは知っていた。大した危険もあるまいと目を離していた隙に、愛しいマーオは『機関』に傷つけられた。
マーオの危機を感じ取り、一瞬でマーオの元に空間跳躍し、一瞬で瀕死のマーオを拾い上げ、星ヶ丘の邸へと戻ったものの、
(忌々しい)
マーオを傷つけた『機関』の女には、惨劇の幻を垣間見せるしかできなかった。もう少し時間があれば、一捻りに殺してしまえたものを。
「兄さまァ」
「大丈夫だ」
喘ぐマーオの頭を胸に抱きしめる。最早ひとの姿を象ることも出来ぬほどに弱ったマーオの耳は元々のワーキャット形に戻ってしまっている。力なく垂れた尻尾に、彼は痛々しげな眼差しを向ける。
「ああ、シュウさま、マーオさま」
邸のエントランスに控えていた使用人たちが血相を変えて飛んでくる。
「お労しい、お労しい」
「シュウさま、マーオさま」
声を揃えて右往左往する使用人たちを、シュウは見遣る。
ひとでありながら悪魔の一族に、数年前に寝子島に堕ちて来て以来島に根を張る八神の両親に、ひいてはその息子である
八神 修
に忠誠を尽くす彼らは、シュウにとっては羊と同じかそれ以下の存在。
その羊の一頭を招き、胸に掌を押し当てる。恍惚の表情を見せて瞼を閉ざす羊の身から取り出すのは、淡く光放つ命。
魂を抜き取られて倒れ伏す羊には目もくれず、シュウは手にした命をマーオの傷ついた身体に押し込んだ。薄い光の膜がマーオを包み込む。腹に受けた傷が跡形もなく消え失せる。
腕に抱えたマーオが健やかな寝息を立て始めて、シュウはどこまでも優しく微笑んだ。マーオを寝室へ運ぶために立ち上がりつつ、無関心な一瞥を命奪った羊の骸へと投げる。
「それは番犬達にやろう」
人肉の味を憶えた番犬達が犬舎で狂喜する様子が瞼に浮かび、思わず笑む。
「久しぶりのご馳走だ、さぞ美味かろう」
主の爽やかな笑みを見、羊たる使用人たちは嬉しげに頷いた。
マーオを寝室のベッドに寝かせ、シュウはレースのカーテン越しに流れ込む朝陽に目を細める。
今日も、一日が始まる。
毎日の日課である飼い犬とのランニングを済ませる。何も知らぬ近所の住人と明るく爽やかに挨拶を交わし、邸に戻る。汗を流して寝室に入れば、マーオはまだ寝ていた。無邪気な寝顔を見下ろし、栗色の柔らかな髪を撫でる。髪に、頬に、優しいキスを降らせる。
下級悪魔であるマーオが空の『穴』から堕ちて来たのはしばらく前のこと。無垢なまでに何も知らず、寝子島中の猫を自分のものにしようとしてはひとに見つかり、腕力で引き下がらせようとしては失敗し、結局八つ裂きにして無節操に食い散らかす野良猫のようなマーオを気紛れに拾い、邸に住まわせた。
後木 真央
という名を与え、表向きには養女として己の妹として八神家に迎え入れたのも、己の妻という地位を与えたのも、最初はただの気紛れに過ぎなかった。
可愛らしい欠伸を零し、鮮やかな翠の瞳が瞬く。
「……おはようございますなのだ、シュウ兄さま」
小鳥が啄むようなシュウのキスに目を覚まし、マーオは掌で瞼を擦って起き上がる。寝ている間はうっかりと元の姿に戻ってしまうところもまた、初々しく可愛らしかった。
猫じみた姿の真央にペロンと頬を舐めてキスのお返しをされ、シュウは小さく笑った。
「おはよう、マーオ」
「今日も学校なのだ?」
「ああ」
人にも天使にも敵が存在する以上、フツウの人として暮らすことが平穏な生活には必須条件。
だからシュウもマーオも、人としての姿を取り、フツウの高校生として寝子島高校に通っている。
欠伸を繰り返すマーオとともに朝食を採り、運転手付きの車に乗り込む。
「シュウ兄さま。車で登校するならマーオはも少し寝たかったのだ」
滑るように走る車の中でのマーオの定位置は、シュウの膝の上。
「……うにゃぁ」
勝手に定位置としたシュウの膝枕で丸くなっているうちに、校門前に車は横づけされる。
人の姿で、まるきり猫のしぐさで起き上がり、自動で開く車の扉から外へと飛び出すマーオの背中を眩し気に眺めつつ、シュウも続く。星ヶ丘の邸の生活に最初のうちは戸惑った顔をしていたマーオも、最近はその豪華さを享受することにようやく慣れて来た様子。
「おはようございます、八神さん」
待ち受けていたように揃って頭を下げる生徒たちへ鷹揚に挨拶を返し、校舎に向かう。
「おはよーなのだ!」
マーオの元気な声が響いている。高校のテストで採った点数の低さにしょんぼりと肩を落とす姿も時折見るものの、高校生活には随分馴染んだ。
(――さて)
羊のように穏やかに微笑む友人たちを侍らせ、シュウは教室に向かう。
今日もつつがなく、羊たちと過ごそう。
黄昏に染まる新聞部の部室で、シュウは僕とした部員の少女の頬に指を伸ばす。
椅子に掛け、僕の雌羊が提出してきた書類に目を通したまま、視線も遣らずに雌羊の頬に触れる。立ち尽くす少女の身がびくりと震えた。悪魔に生命力を吸い取られながら、その代価として人の身に余る快楽を与えられ、少女はとろけそうな表情をする。
「……うん」
書類に詰め込まれているのは、新聞部員たちや彼らの作る情報網から得た天使や悪魔や機関の情報。
「いつも通り、天使と『機関』に互いの情報の提供を」
倒れない程度に生命力を吸われ、恍惚とした表情のままの雌羊に命じる。
『機関』担当は善良な市民の善意として。
天使担当は天使信仰信者として。
(双方潰し合ってくれ)
静かな笑みを浮かべるシュウの前、別の羊が進み出る。差し上げられるその手には、情報提供の謝礼として渡された金一封。
札を数えて仕舞いながら、一枚を抜いてご褒美として羊に遣る。たったそれだけで、羊の顔は喜びに輝いた。
敵と直接接触する羊たちに危険は多い。『機関』の一部の構成員は対象の心を読み取るアーティファクトを操る者すら居ると聞く。
とは言え、操作の手がシュウに及ぶことは無い。
羊たちは己が疑われ次第自害する。そうするように精神に暗示を掛けている。
(マオにも人を使う事を覚えて欲しいけどな)
グラウンドで陸上部としての活動に励むマーオを離れた部室から悪魔の力で『視る』。昨晩の一件があってからこの方、マーオには常に意識の一片を向けている。
――ふわもこは全てこのマーオのものなのだ
――邪魔するニンゲンは全員ブッコロなのだ
(可愛いマーオ)
その可愛いマーオの前、黄昏色の着物纏うた少女が立っている。マーオに何事か話しかけ、人気のない校舎裏へと誘い込む少女の手には、『異界者』さえ殺め得る力帯びた匕首型のアーティファクト。
(『機関』……?)
己の情報網には掛からなかった『機関』構成員の姿に眉を顰めるなり、躊躇なくシュウは立ち上がった。不思議そうに己を見つめる羊たちに、
「行け」
絶対零度の声音で命じる。
鞄から包丁やナイフを取り出し、無言で次々に部室を出て行く羊たちの背を見据えながら、シュウは部室を出る。空間跳躍でマーオの元に向かうことも考えたが、己の考えを読み取ったかのようにマーオが呟いた。
――見ていてほしいのだ、兄さま
愛しいマーオの望みを聞き届け、シュウはそれでも羊たちと共にマーオの元へと急ぐ。
命も顧みず敵に刃を振るう彼らは、僅かなりマーオの役に立つだろうか。
(それにしても)
足早にマーオのもとに向かうシュウの口元に暗い笑みが滲む。
(人間が殺しあうのは愚かで心地よいものだ)
別の悪魔の視線を受けているとも知らず、『機関』の少女は校舎裏にマーオと対峙する。
名でも呼ばれたのか、マーオの姿がひとのものから悪魔のそれへと変化した。裂けた口元から透明な涎垂らし、夕暮れの光をその鋭い爪に反射させ、マーオが跳躍する。
応じて少女が着物の袖を揺らし振るう匕首を片手の爪で受け止め、マーオはもう片手の爪で少女の細い胴を狙う。
内臓に見舞うはずだった死の一撃は、少女が身を翻し爪を撥ね退けることで避けられた。
シュウより一足早く到着した羊たちが、人ならぬ唸り声を上げて少女に飛びかかる。悪魔に操られたひとの襲撃を受けて、けれど少女は動じもせず、淡々と羊たちを屠ろうとする。
羊たちの数に手こずる少女に向け、マーオが再びの跳躍を見せた。
羊とマーオが、少女が交錯する。
シュウがその場に行き着いたのは、その瞬間。
「マーオ!」
「兄、さま」
羊を掠めて投擲された匕首に貫かれた胴を見下ろし、羊ごと貫いた『機関』の少女の胸を見遣り、
「褒めて欲しいのだ、シュウ兄さま……」
マーオは血を吐きながら笑った。
「……よくも」
後ろに倒れ込むマーオの身体を抱きしめ、シュウは『機関』の少女を睨み据える。次の刹那、シュウの背に闇色の翼が広がった。
翼を羽ばたかせることすらなく、空へと舞い上がる。
空より敵を見下ろす。一睨みするだけで、死んだ羊たちごと少女の立つ空間を球状の結界に囲み込み、世界から切り離す。悪魔の力で瞬時に創り上げた異空間へと敵を放逐し、――
次の瞬間には、その新世界を破砕し消滅させる。
『機関』の少女を呑み込んだ異界が夕ごと砕けて爆ぜる。
異界の欠片が光の破片となり、数多の虹を煌かせながら降り注ぐ。
「シュウ兄さま」
「マーオ」
傷にも関わらず快哉を叫ぶマーオの頭を撫で、シュウは闇の翼を羽ばたかせる。
この世界は、今日も穏やかで平和だ。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
混沌世界での一幕、お届けにあがりました。
天使も悪魔もひとも、みなさまとても良いアクションでした。
こう、なんだかみなさまちょっぴり色っぽいなあと思ってみたり。
みなさまを混沌世界のみなさまらしく描けておりましたらと願うばかりです。
とても楽しく書かせていただきました。ありがとうございます!
少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
……あと、あんまり楽しかったので、同じ世界でのガイドをまたそのうち出させていただくかもしれません。
ご縁がありましたら、その時はまたどうぞよろしくお願いいたします。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月21日
参加申し込みの期限
2016年06月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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