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九夜山で猫まみれ!
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寝子島ロープウェイの始発駅。オレンジ色のマウンテンパーカーを着た
八神 修
が人待ち風情で立っていた。背には鞄を背負い、足元には猫用のキャリーバッグが置かれていた。流石に退屈してきたのか。不満げな鳴き声が上がる。
修はしゃがむと指であやした。
「タイガ、もう少し我慢してくれよ」
虎柄の飼い猫に浮かべた笑みは、すぐに消えた。沈鬱な表情は深い思考を思わせた。
微かな足音が聞こえてきた。修は瞬時に笑みを作る。顔を上げると
維都月 茉菜
が小走りでやってきた。
茉菜は白い長袖のセーターを着ていた。肩には同色のトートバッグ。赤いスカートを揺らして立ち止まる。
「もしかして私、約束の時間に遅れたのかな?」
「そんなことはないよ。俺が早く来すぎただけだ」
「あー、よかった。そうだと思ったんだよ。あ、猫も連れてきたんだねっ」
前屈みになってタイガに微笑み掛ける。
「それじゃあ、出発しようか」
「そうだねっ。ピクニックに行くよ!」
茉菜は先に動き出す。修はやんわりと声で引き止めた。
「登山道はやめて、ロープウェイを使わないか」
「せっかくのピクニックなのに?」
不思議そうに聞かれて修は言葉を選ぶように言った。
「最初から全力だと疲れるよ。それにロープウェイは山頂まで繋がっていないだろ。ピクニック気分は上で十分に味わえると思うよ」
「そうだねっ。ロープウェイで行こう!」
駅に入ると修は二人分の往復券を購入した。
「修くん、悪いよ。私の分は払うから」
「ここは俺が払うよ。次に会った時は維都月に甘えさせて貰うよ」
「次に会った時……」
茉菜の黒い瞳の中で微かな光が揺らめく。数瞬で笑顔となり、くるりと背を向けた。
「うん、わかった。約束だよっ」
停まっていたゴンドラへと向かった。
束の間の空中散歩を楽しんだ二人は展望台前駅に着いた。真っ先に茉菜が飛び出した。空を見上げて両腕を広げる。その場でくるくると回った。
「空が綺麗ーっ。今までに見たことないくらいに青いんだよっ」
「山頂はもっと広くて青い空が見えるよ」
「そうだね。きっとそうだよねっ」
底抜けに明るい。一時も笑顔を絶やさず、茉菜は跳ねるように先を歩いた。その小さな背中を修は見詰めながら付いていく。途中、自身の口角を指で押し上げた。
「……俺も笑顔だ」
修は笑って足を動かした。
最初に山頂に到達したのは茉菜であった。両腕を広げて背を逸らし、大きな伸びをした。すっきりした顔で改めて周囲に目を向ける。
「ここって、こんなに猫がいたかな?」
「どうだろう。俺もこんなに多いのは初めてだ」
辺りには数匹の猫がうろうろと落ち着きなく歩いていた。修はキャリーバッグからタイガをそっと取り上げた。走り回るかと思えば、最初に行ったのは毛繕いであった。
「ごめんよ。少し窮屈な思いをさせたね」
「私が場所を確保するねっ。人もいないみたいだし、見晴らしの良いところにしようかな」
景色を見比べて最善の場所を選び出す。茉菜はトートバッグからビニールシートを取り出し、その場で広げた。猫の肉球が模様になっていて目にした修は笑みを浮かべた。
「それとバスケット!」
「もう昼食にするのか」
「お腹が空きましたよねっ。ここまで歩いたからねっ」
ごり押しの笑顔に修は、そうだな、と苦笑気味に返した。
シートの上では二人と一匹のささやかな昼食会が催された。茉菜によって用意された紙コップには温かい紅茶が入っている。修は立ち上る湯気に鼻を近づけて、良い香りだ、と口にした。
「ありがとう。これ、私が作った物なんだけど……」
緊張した面持ちで茉菜はバスケットの蓋を開ける。整然と並んだサンドイッチを修の前に押し出した。
「良い出来じゃないか。味はどうかな」
一つを取り出し、一口で半分程を食べた。よく味わうように口を動かす。茉菜は心配そうな顔で、どうかな、と控え目な声で聞いた。
修は自然な笑みで、美味しいよ、と答えた。茉菜は全身の力が抜けたような状態で、よかった~、と声を漏らした。
「これも修くんのおかげだね。ずっと前にサンドイッチなら簡単に出来るって教えてくれたから。『置く、乗せる、挟む』って」
「そうだったな。それでも最初は形が不揃いで、寝子高の七不思議の一つに加えようかと思ったよ」
「そこまで酷くは、あったかな?」
茉菜は恥ずかしそうに笑って鼻先を掻いた。
「今は別人だ。本当にサンドイッチは美味しかったよ」
「でも、他の料理はちょっとね」
二人は笑みを交わす。修の隣ではタイガが猫用のおやつに夢中になっていた。茉菜は昔を思い出すような目で見詰めている。
「タイガも大きくなったね」
「ネコンビで捨てられていた時とは大違いだ。今日はノインを連れて来なかったんだな」
「家でお留守番だねっ。もちろん、ノインも元気だよっ」
茉菜は自身の腕を曲げて見せる。力瘤は全く見えなかった。修は儚い笑みでぽつりと口にした。
「離れていても元気でいれば、それでいい」
「修くん、ありがとう」
「いいさ。俺達は友達だからな。今度はこのサンドイッチをいただくか」
少しおどけた調子で修はサンドイッチを頬張った。それに茉菜が張り合う。不自然に膨らんだ頬の二人は同じように口に手を当てて笑った。
楽しい昼食が終わった。修は鞄から猫の玩具を取り出してシートに並べる。茉菜は目を丸くした。
「こんなに持ってきたんだねっ」
「維都月はどれを使う?」
修は猫じゃらしを模した物を手に持った。激しく揺れて近くにいたタイガが興奮した様子で前脚を繰り出した。
タイガだけではなかった。一斉に猫が鳴き始めた。二人は慌てて周囲に目をやると、猫の群れが一列に並んでいる。奥の方もぎっしりと詰まっていた。
「修くん、凄い数の猫なんだけど」
「もしかして玩具に反応して集まってきたのか」
試しに修は手にした玩具を強く振ってみた。猫は一斉に走り出す。それは波に等しい。二人は瞬く間もなく猫の大波に呑み込まれた。
茉菜は笑顔で波に翻弄された。仰向けになって猫達を抱き締める。撫でたり、愛でたり、舐められたりと大変な騒ぎとなった。
「サンドイッチを食べたあとで良かったーっ。修くんもそう思うよねっ」
返事がなかった。横目で見ると修の座っていたところに猫の山が出来ていた。息苦しさに負けて顔の部分の猫は間もなく引き剥がされた。
修は猫に集られた状態でスマートフォンを手にした。
「こんな状況は滅多にない。記念で一緒に撮らないか」
「そうだねっ」
二人は猫にまみれた状態で肩を寄せ合う。撮るよ、と修の声に合わせてレンズに目を向けた。
シャッター音が鳴った。
撮り終えた直後、茉菜は寝子島の街を眺めた。少し顔を上げた。青い海は空と繋がって見えた。
――最後に素敵な風景をありがとう。寝子島で過ごした時間、本当に楽しかったよ。
少し潤んだ目が横に流れた。修が微笑んでいる。僅かに唇が震えていた。
「どこにいても俺達はずっと友達だよ」
「そうだね。ずっと友達だよ、修くん」
どちらも別れを切り出さない。心の深いところで繋がっていて、いつかの再会を願っていた。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
今回のシナリオには濃縮マタタビエキスを山中にばら撒く役の男の人がいました。
九夜山の三カ所に撒くことで、大量に猫が集まってきて猫まみれになる。その予定でした。
ですが、参加されたPCの方々がエキスを購入していて、全ての場所で使用していました。
そこで男の人はPCが散布したあとで撒いた、という解釈でリアクションを書かせていただきました。
猫にまみれて新しい繋がりが出来た方がいました。
猫にまみれて寝子島から離れる決意をした方もいます。
寝子島はどこにも行きません。訪れる方々を待っています。
私も待っています。新しいシナリオで訪れる方々を歓迎いたします。
今回のシナリオへ参加された皆様、ありがとうございました。
新たなおもてなしを考えつつ、あとがきとさせていただきます。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月16日
参加申し込みの期限
2016年06月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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