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眠れない夜に <冬>
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カーテンの下、月影が揺れている。
水面のように揺らぐ冷たい光を眺めていて、目が覚めていることに思い至った。黒い眸を巡らせ、枕元の目覚まし時計を確かめる。
(……さすがに早い)
午前三時を示す針に、
鴻上 彰尋
は開いた瞼をもう一度閉ざして二度寝を決める。それにこんな時間に起き出して家の中でごそごそすれば、苦労して寝かしつけた双子の弟妹が目を覚ましてしまうかもしれない。
(でも、)
妙な時間に目が開いたせいで、
(眠れる気がしないかな)
仕事で疲れて別室で眠っているだろう兄や母を起こしてもいけない。
そもそもこんな時間に起きてしまったのは、早寝をさせようと弟妹と一緒に布団に横になって、うっかり一緒に眠ってしまったのが原因だ。
子供の寝息は、どうしてああも睡魔を誘うのだろう。
両隣で健やかな寝息を立てる双子を交互に見遣り、そっと吐息まじりの笑みを零す。
よく眠っている。少し動いたくらいでは起きそうにない。
布団の中からそろりと腕を伸ばし、目覚まし時計のタイマーを止める。布団から脱出している弟の身体に布団を被せ、そっと静かに部屋を出る。
誰も起こさぬように身支度を調え、玄関から外へ踏み出す。音を立てないように鍵を閉め、冷たい鍵を掌に握り込んでやっと、外出の成功に対する安堵の息が零れた。
(どこへいこうか)
玄関ポーチから一歩出た途端、凍り付いた空気が身体を包む。身震いしつつ空を見上げれば、まるで震えるように煌く数え切れない星々が見えた。
(寒いけれど)
張り詰めた冬の空気は、空の果てまでも澄んでいる気がした。
さざめく星空を頭上に、シーサイドタウンの道を辿り始める。道の向こう、月影を漂わせながら黒く横たわる海が見えた。
歩を進める毎に潮騒と海の香が近くなる。寝子ヶ浜海岸に至る深夜の道は静かで、まるで綺麗な星空を独り占めしているようにも思えた。
(小さい時はとても怖かったはずなのに)
歩きながら、思う。
暗闇に取り残されて泣いていた小さな自分を思う。あの頃は、夜が怖かった。暗闇にひとり取り残されることがとても怖かった。
父も母も兄も、誰ひとり、自分を助けてくれない気がして泣くばかりだった。
幼い頃の自分は、俯いた視界を埋める暗闇の中、差し伸ばされる温かな掌を待つだけだった。
一人で暗い中でも平気でいられるようになったのはいつの頃だっただろう。こうしてひとりで歩いて行けるようになったのはいつからだっただろう。
あの頃は恐ろしかった夜空を仰いで、天啓のように気付いた。
(こんな綺麗な星空)
誰に許されずとも、空を仰ぐことは自由だと知ったからなのかもしれない。
そんなことも気付けずにいたあの頃は多分、夜の闇がただ恐ろしかった。周囲にある闇が全てだった。
(上を見上げれば、こんなにも綺麗だったのに)
「綺麗……」
星月の清かな光溢れる闇にぽつり、知らない声が零れて落ちた。静寂の闇に声を追って辿り着いたのは、眩しい光放つ自動販売機の前。
コートにマフラー姿の女性がひとり、ココアの缶で手袋の両手を温めながら星空を眺めている。
こちらの視線に気づいてか、女性が優しい若草色の瞳を瞬かせた。自販機の光の中から目を凝らして、街灯の光も届かぬ位置の彰尋を見つけ、女性は柔らかな笑みを浮かべる。
「こんばんは」
二十歳前後に見える年上の女性に和やかな挨拶を向けられ、彰尋はほんの僅か臆したように黒い眼を瞠った。それでも、それは一瞬の間だけ。
「今晩は。星、確かに綺麗ですね」
一抹の戸惑いもなかったかのように卒なく微笑み、大人びた挨拶を返してくれる高校生ほどの少年に、二十五歳の
東堂 若菜
はもう一度笑みを向ける。
寝子島総合病院に研修医として勤務し始めて一年弱。学ばなければならないことが山のようにあるため、幼い頃からの日課としている就寝前の勉強はまだまだ続けなくてはならない。
勉強することは嫌いではない。けれど、今日は疲労のせいか本の内容があまり頭に入って来なかった。気付けば深夜二時で、今日はもう寝てしまおうかと机を離れるも、
(やっぱり眠れそうにないな)
シーサイドタウンの家からほど近い寝子ヶ浜海岸まで散歩に出ようと決めたさっきと同じことを思い、若菜は苦笑いの唇をマフラーに埋めて誤魔化す。
(こんな時間なのに)
勉強机を離れても、自宅の居間の机に『散歩に行ってきます』と律儀なメモを残し同居の兄妹を起こさぬようそっと外に出ても、星空をゆっくり眺めて歩いても、いつまで経っても目は冴えたまま。
(……たまには、いいよね)
旧市街の実家で父母と暮らしていた頃は、剣道師範の父が真夜中の散歩など許さなかっただろう。
「星を見に?」
見仰ぐのは久し振りな気がする星空をおっとりと眺め、若菜は少年に話しかける。兄妹と一緒に星座版を手に山へ星を見に行ったのは、彼よりももっと幼い子供の頃だった。
「そう、……ですね。この星空なら、きっと冬の海も綺麗だ」
澄んだ夜空を仰ぐ女性の視線を追いつつ、彰尋は小さく頷いた。
「でも、海岸の前にコンビニかな」
女性が手袋の手を温めるココアの缶をちらりと見る。星と海をゆっくり眺める前に、近くのコンビニで温かい食べ物と飲み物を用意した方がいいかもしれない。
真夜中の散歩は妙に腹が減るのは何故だろう。
楽しげな笑みを零す女性に照れ臭げに笑み返し、それじゃ失礼しますと頭をひとつ下げる。たおやかなお辞儀を返してくれる女性から離れ、彰尋は海岸沿いの道路で眩しい光を放つコンビニへと足を向けた。
星明りに慣れた瞳を店内の電灯に顰めながら、扉を引き開ける。来店チャイムの音と共、ふわりとした暖房の空気が身体を包んだ。
冷え切った頬を撫でる空気の温かさに小さな息を吐き、視線をもたげて、レジ前で肉まんとミニペットボトル入りの熱いお茶を買う同学年ほどの少年の横顔が眼に入った。
緋色に透ける茶色の髪の隙間に覗く耳朶に空色のピアス、片手にはヴァイオリンケース、
(芸術科かな)
店を出ようとする少年のために道を譲りつつ、小さく思う。
「ありがとう」
「ああ、いや」
擦れ違いざま、不愛想な黒い眸を僅かに和らげ、素っ気ないながらも礼を言う少年に、彰尋は微かに笑み返す。
彼も海へ向かうのだろうかと、ふと思った。
レジ前で先客と似たような品物を購入し、店を出る。温かな店内から外に出た途端に押し寄せる寒い風に反射的に首をすくめ、海へと歩き始める。
(そういえば)
冬の海へと向かいながら、思い出すのは秋の海。空も海も空気も淡い水色した穏やかな早朝の海岸で出会った、彼女。
真夜中の海を臨む、砂浜に至る緩やかな石段の半ばまで降りる。
あの日初めて出会った彼女の柔らかな笑顔は、今もまだ瞼に焼き付いて離れない。
(いつかまた偶然に出会って、)
月星の光を湛え、砂浜に寄せては返す波を眺める。冬風に巻き上げられて跳ね上がる飛沫が、潮騒に合わせ月の銀色して煌き踊る。
(こんな綺麗な景色を一緒に見れたら良いな)
思って、照れた。ボトルの蓋をねじ開け、まだ熱いコーヒーを緩みがちな口に流し込む。
(大それた望みだけど)
そう思ってしまうほどには、彼女はまだ遠い。
白い息を吐き出す。星空に舞う潮風を追いかけ、瞳を上げる。
(でも、いつか――)
願うように、祈るように、星空を仰ぐ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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