暗がりに瞬く。
もう一度瞬きして、目が覚めたことに気付いた。
瞼の端、見ていた夢の欠片が、悪夢だったのかそうでなかったのかも分からないほど微かに残っている。
鼻先が冷たい。
顎まで被っていた布団を頭の先まで引き上げる。
「……おはよう、ございません……」
寝ぼけ眼で呟いた振りをして、溜息をひとつ。
目が覚めている。絶望的なくらいに目が冴えてしまっている。
布団の中はこんなに温かいのに。布団から足の先だけでも出れば震えるくらい寒いに決まっているのに。
絶対出るものかと布団に包まって、何としてでももう一度眠ってやると眼を閉ざす。
冬の夜明けは遅い。そもそもまだ真夜中かもしれない。もしかしたらもう明け方に近い時間なのかもしれない。
瞼をぎゅっと閉ざす。身体をぐるり、丸める。眠るぞ眠るぞと自分に言い聞かせて、
「……おはよう、ございます……」
結局、ごそり、布団から這い出した。眠れない。こういうときはどうすればよかっただろう。
窓辺のカーテンを細く引けば、窓の外、凍える星々の空が見えた。
いつもより多く見える、夜明けに一番近くて一番暗い星空に思わず息を吐き出す。
いつだったかの眠れない夜を思い出す。あの眠れない夏の夜は、ポケットに小銭だけ入れて外に出た。近くの自販機で缶ジュースを買って海岸まで歩いて行った。
あの日の星はとても綺麗だった。
息を吐き出す。冷たい窓硝子が白く曇って、思わずくすり、笑う。
眠れないまま時計を眺めて朝を待つより、冬空を眺めて散歩してみようか。
もちろん、防寒対策はしっかりしてから。
こんにちは。
今日は、冬の早朝(深夜?)散歩のお誘いに参りました。
大分前に同じ題名のガイドを出したりしていますが、前回のものとは無関係です。
時間帯としては午前三時から午前五時あたりでしょうか。
とはいえ、そのあたりはアバウトな感じで全然大丈夫です。
澄んだ星空を見上げつつ、のんびり物思いに耽ったり、思いがけない出会いに驚いたり、割とフリーな感じでどうぞー。
アクションや行き場所によっては、誰かに出会ったり、反対にずっとひとりきりだったり。GAも、おひとりさまも歓迎です。
いくつか深夜営業なお店や場所を記しておきます。
もちろん、下記以外の場所でのお話もよろしければお聞かせください。
■『やきとり ハナ』
旧市街商店街にある古びた居酒屋です。
暖簾は下ろされ、パトランプの乗った電光看板の光は消えていますが、格子戸の向こうの電灯は煌々と点いています。
覗いてみると、カウンターに座って熱燗を啜る店の女将がひとり。
「ごめんなさいね、お看板なの」
言ってから笑います。
「でも、良かったら付き合ってくれる? 余り物ばかりだけど」
■温室cafe『Oz』
星ヶ丘の小規模植物園の一角にある温室内喫茶店です。
いつもはとっくに閉店している時間ですが、今日は入り口に小さなランプが掛けられています。
入り口には『今宵、ランプの夜』と書かれた小さな看板。
今日は深夜も営業中のようです。
中に入るとふわり、湿気と暖気と色とりどりの草花があなたを包みます。
人気は少なめ、入り口傍の小さなカフェでは熱いハーブティーが振る舞われています。
硝子張り温室内の道順を示す黄色い煉瓦道には、ところどころ様々な形したランプが置かれたり吊るされたりして、頼りないような趣あるような光が揺れています。
■その他
冬の寝子ヶ浜海岸をコンビニのコーヒーと肉まん持って眺めるとか。
九夜山に霜柱踏みに行くとか。
寝子島魚市場覗きに行ってみるとか。
早朝の寝子温泉で朝風呂とか。
朝イチの電車に無目的に揺られてみるとか。
深夜早朝の寝子島でできそうなフツウのことでしたら何でもどうぞ。
ご参加、お待ちしております。