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寝子島高校
眠れない夜に <冬>
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(うをー、さみー)
吹き寄せる風の冷たさに、
御剣 刀
は顔を顰めた。腕に座らせる格好で抱いた人形、ルヴィアの小さな体の前に反対側の手をかざす。繊細な造りの人形が出来る限り風に当たらないように気を付けながら、人気のない参道商店街を黒い眸で見回す。
(うん、)
夜明け前の暗い路を辿る。
(当たり前だけど人の気配がない!)
いつもとは雰囲気の違う通り慣れた道に、けれど心が躍った。
(寒すぎて動物の気配もない!)
通りを見回し、
(暗いから鳥の気配もない!)
星と月ばかりが賑やかに煌く、午前五時だというのにまだまだ深夜じみた夜闇ばかりが占める空を仰ぎ、
(ここまで来ると清々しいな!)
凍える風ばかりが走り抜ける暗い商店街で、刀はひとり、楽し気に頷く。
シャッターの下りた古本屋、灯りのない喫茶店、固く閉ざされた硝子扉の奥の闇に静かに並ぶ食堂の椅子とテーブル。いつも誰かしらが歩いたり店番をしていたり声が聞こえたりする道に、今は誰もいない。誰の声も聞こえない。
人通りのない夜の街を、怖いとは思えなかった。むしろ、いつも当たり前にある風景の別の顔を見た気がして、男子高校生たる刀の胸は冒険心に湧き踊る。
(この時間だと……)
誰も居ない街を元気いっぱいに進みつつ、考える。どこに行けば、この時間にしか見られないものがあるだろう。
商店街の一角にある町マップの看板を見上げる。街灯に照らし出された古びた地図は、何だか宝物の地図のようにも見えた。
(魚市場が動いているか)
中に入るのは難しいだろうけれど、ちょっと覗くくらいなら漁師たちの邪魔にはならないだろう。
森閑とした参道商店街を抜け、始発には少しだけ早い寝子島駅から寝子島街道に出る。車の通らぬ街道を渡り、漁師街の路地に入る。
(ルヴィアを潮風に当てるのは拙いけど)
まるで生きているかのような人形の艶やかな黒髪にそっと触れる。路地に流れ込む潮風から護るように懐深くに抱きしめる。
「ルヴィアに魚市場の様子を見せてやりたいんだ」
焔の色して見える人形の瞳を覗き込む。硝子のような瞳に感情は僅かも読み取れないけれど、それでも、彼女の心に己の言葉も心も届いていると刀は信じる。だから、人形に向けて微笑む。
「ちょっとだけな」
漁港に至る道を辿る。冬の早朝の海へと細く伸びる堤防へと視線伸ばせば、波を蹴立てて港から出て行く漁船と帰って来る漁船の灯りが見えた。
「漁船が動いてる!」
少年らしい歓声をあげ、刀はまだまだ暗い海に楽しげなまなざしを向ける。
早朝の闇に煌々と光を放つ魚市場の駐車場から、後部に水槽を乗せた軽トラックが出てくる。脇を過ぎる車が揺れた途端、水槽から海水の飛沫が跳ねた。慌てて飛びのいて、刀は水槽に放り込まれたたくさんの魚に気付く。鱗も目もぴっかぴかの、新鮮な魚。
「魚すげー!」
思わず目を輝かせて振り返れば、軽トラは市場にほど近い、海鮮丼屋に停まろうとしていた。運転席から出て来た白長靴に白エプロン姿の食堂の主らしい男と眼が合って、刀は反射的に礼儀正しくお辞儀する。
(あの魚で作った海鮮丼は絶対に美味い!)
食いしん坊アンテナが発動するままに、今度食べに来ようと決める。決めた途端、腕の中のルヴィアが羨ましそうに見ている気がした。
「いや、ルヴィアは食べられないだろう?」
夜に慣れた眼には眩しいほどの光に溢れた市場を背伸びして覗き込む。広い床やトロ箱と呼ばれる木箱に積まれた何百匹もの魚をルヴィアとふたりで覗いてから、刀は魚市場を離れた。これ以上の潮風はルヴィアの身に障る。
「お土産買ってきます」
小さく言い聞かせながら次に向かうのは、いつだったか深夜に立ち寄ったことのあるコンビニ。夜の潮風に凍えた身体を暖房の空気で溶かしながら、明るい店内をうろつく。
「お、新刊」
書棚に並ぶ週刊誌を癖のように手に取ろうとして、ルヴィアの視線に手を引っ込める。また?、と無言の突っ込みを受けた気がした。
「今日は読みません、ハイ」
ゴメンナサイと謝って、何も持たずにレジに向かう。レジ前で注文したのは、熱々の肉まんとホット珈琲。
買い物袋を手に外に出て、
「さみー!」
思わず口に出してしまうほどの北風の見舞われた。ルヴィアを腕に庇い、首をすくめる。凍える頬とかじかむ指に音を上げ、レジ袋から珈琲の紙カップを取り出す。カップで指先を温め、珈琲を飲んで寒さを誤魔化しながら寝子ヶ浜海浜公園に続く道を歩き始める。ここまで来れば、折角だから日の出まで見ておきたかった。
肉まんを齧り、あったかい息を吐き出し、誰ともすれ違わない道を行く。
(もう少し買ってくれば良かったか? でもこんな時間だしな)
最近のコンビニ肉まんは美味いよな、と真剣に考える脇を車が走りすぎた。見遣る視界の端、闇の色をぼんやりと薄め始める水平線が見えた。
そろそろ、島が起き始める。
見晴らしのいい公園のベンチに席を定め、ルヴィアを膝に乗せて日の出を待つ。あの事件以来、彼女は一言も話さない。指先のひとつも動かさない。――それでも。
(ルヴィアが少しでも楽しめてたらいいな)
祈るように、刀は思う。
(夜が明けたら、寝子島神社だな)
境内に行けば、いつも通りに剣術の稽古の相棒が待っている。
いつも通りにふたりで稽古をして、いつも通りに学校に行こう。フツウの一日を、今日も始めよう。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
眠れない夜と朝の間の一幕、お届けにあがりました。
夜更け真っただ中な時間、
まだまだ暗い、でももう夜とも言えないような、でもやっぱり深夜なような時間、
そんな時間に目を覚ましてうっかり外を出歩いちゃったりしますと何かが起こりそうな気持ち、しませんか。
……私はそういう時間にうっかり起きてもすぐ寝てしまう方なのでなんにもないのですが。
みなさまの素敵なアクションで、そんな時間の出来事を色々描くことが出来まして、とても楽しかったです。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
読んでいただきまして、ご参加くださいまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
ありがとうございました。
……あと、すみません、今回は個別コメントまでは手が回らず、お届けすることができませんでした。
もしも楽しみにしてくださってましたら、本当にごめんなさい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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