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眠れない夜に <冬>
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ベッドからはみ出し床に触れた足が恐ろしく冷たい上に痺れている。
「……あー、」
枕元に投げ出したせいでこちらも冷え切った片手には、画面の消えたスマートフォン。ベッドに潜り込むなり意識が途切れ、妙な体勢で寝落ちたせいか、手足も肩も妙に痛い。
「クソ……」
カーテンに閉ざされた冷たい闇の中、
七緒 璃音
は低く罵声を吐いた。
弱い視力が祟ってぼんやりと滲む視界を、寝乱れた栗色の髪が遮っている。髪を片手でかき上げ、スマホを握りしめたまま固まった指を押し開ける。スマホをベッドの上に一度捨てる。
布団を蹴りのけ起き上がる。ベッドに痺れる足を投げ出して、眉間に力が籠っていることに気付いた。深い皺の寄った眉間を掌で抑えれば、鬱陶しい溜息が腹の底から引きずり出された。
いつものごとくねこったーに入り浸り、適当なつぶやきを打ち込みつつ適当な相互相手に適当な返信を返して夜更かしをして。そうして意識朦朧のままベッドに入って見た夢に、顔も見たくない両親が出て来た気がする。思い出したくもないいつかの出来事の再現を見た気がする。
夢を、はっきりとは覚えてはいない。
それでも、手足は緊張に冷えて痺れている。腹の底も胸の奥も、重い油脂がこびりついたように気持ちが悪い。
最悪な気分をどうにか振り払いたくて、とりあえず繰り返し息を吐き出す。重い手足を無理矢理持ち上げ、強引に伸びをする。
自分の体温が残るベッドの上に視線を投げ出す。寝直そうかと考えて、瞼の裏側に残る悪夢の欠片を垣間見るなり止めた。
枕元の時計が示しているのは早朝、けれどカーテンの向こう側はまだ暗い夜の闇。
(……気分転換に外の空気でも吸ってこよ)
ベッドから降りる。冷蔵庫とエアコンの低いモーター音ばかりが響く一人暮らしの部屋を横切り、バスルーム脇の洗濯籠に投げ込んでいたGパンに素足を押し込む。上着はどうしようかと一瞬だけ考えて、面倒くさくなった。いつも結い上げる髪も手櫛で梳かしただけで背中に流し、洗面台に置いた眼鏡を掛ける。部屋着の上にコートを被り、コートのポケットに財布と鍵とスマホを突っ込む。
ドアの鍵を開けて外に出た途端、知らず顔を顰めるほどに凍てついた空気が身体を包んだ。
「さっぶいわー」
腹の底に渦巻いては時折腐臭をあげる汚泥のような記憶をどう処理することも出来ず、顰めた眉を和らげることも出来ず、冬風に身をさらすようにして部屋を離れる。
(……どうするかなぁ)
目的地のあてはない。
シーサイドタウンの町を照らす街灯の眩しさから眼を背け、頭上に広がる星空を上目遣いに眺めながら、苛立ちのままに歩を進める。最寄りのコンビニが見えたところで足を緩めかけて、結局は止めずにまた歩き始めた。
もう少し、歩きたかった。苛立ちを抱えて誰かに会いたくはなかった。それが例え、コンビニの見知らぬバイトでも。
(片道三十分くらいかなー)
最寄りより少し離れたコンビニまでの道程を頭の中に確認する。歩きながら、スマホを起動してねこったーの画面を立ち上げるけれど、朝と夜の隙間のこの時間では流石にほとんど動きはない。
吐き出す息の思わぬ白さと思わぬ多さに唇を引き結ぶ。
――あなたはとっくに知ってるかと
(うるさい)
――お父さんもお母さんも、あなたのことが……
(うるさい……!)
耳に蘇る、あの時聞かされた誰かの言葉を振り切ろうと足を早める。
頬を切り裂く冷たさで流れ寄せる風に海の香を嗅いで、ふと視線を上げれば、砂浜に至る緩やかな石段とその先に広がる暗い水平線が見えた。
石段に腰掛け、仲良くドーナツを齧る女子高生と女子小学生と、二人にソファ代わりにされている大型犬も見えた。
「……っ! 星七つ……!」
「わ、やった? やったー! 三文の得? 三文の得?」
「三文どころか値千金だよ、あんず氏……!」
スマホを握りしめて快哉を叫ぶ女子高生と、訳も分からぬままつられて万歳しているらしい幼女と、飼い主につられて千切れんばかりに尻尾を振る犬とを遠目に眺め、璃音は頭を掻く。
本土の実家を離れて寝子島に来て、フツウな日々を楽しく過ごしている。だからおかげで普段は忘れられているけれど、
――だからねえ、璃音ちゃん
(黙れ)
間隙を縫うように、いつか見た光景が、あの時の誰かの言葉が、胸を刺す。
(いちいち思い出してるんじゃないわよ)
いつまで経ってもこんな傷ひとつ癒すことのできない己が馬鹿馬鹿しかった。
「チビ、おねーさんのこと気に入ったみたい! よかったら会いに来てね!」
向こうの石段で、幼児と犬が並んで立ち上がる。女子高生と幼女の早朝の邂逅はそろそろお開きらしい。
互いに手を振り合う女の子たちを海風の中に何気なく見送り、止まっていた足を道の先へと一歩進める。歩き始めれば、足取りはさっきよりも少し軽かった。
(……ん、あれ?)
家を出てすぐの苛々が、腹の奥に渦巻いていたもやもやした気持ちが、冬の夜風に吹き払われたように随分と落ち着いている。
(クリアになった感じ……)
歩きながらねこったーで見た誰かの豆知識を思い出す。
『ジョギングは頭の中を瞑想に似た状況にする』
言っていたのが誰だったのかは忘れたけれど、
(ウォーキングでも似たような効果あんのかね?)
効果のほどは定かではないけれど、それでも、起きてからずっと不機嫌に結んだままだった唇が、強張ったままだった頬が、今はほんの僅かに和らいでいる。
(……コンビニで甘いもんでも買って帰ろ)
星々の光を残しながら明け始める蒼い空へと白い息を吐き上げて、璃音は僅かに笑んだ。
夜が明ければ、寝子島での新しい一日がまた始まる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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