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眠れない夜に <冬>
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四時半に一度目、四時三十五分に二度目。四時四十分、三度目に暗闇に鳴り響いたスマートフォンの目覚ましスヌーズ機能をオフにして、
千歳飴 楓子
は温かな毛布の中から転がり落ちるように抜け出した。
「うう……」
ゾンビのように呻き、ゾンビのように冷たい床を匍匐前進する。その間も片手に握ったスマホだけは離さない。
「ねむ……」
どれだけ眠かろうと起きねばならぬ理由が楓子にはある。
昨日の晩、ゲームマネーが尽きた。
課金しなければ午前五時に更新されるスマホゲームのガチャが回せない。
今回は星七つを最高レアリティとするゲーム内アイテムのうち、十回連続して回せば星六つのアイテムが確定している。出来る限り早くアイテムを手に入れ、有利なアイテムを入手して後、ガチャアイテムが有利となるイベントに参加しなければならない。そうしなければ獲得ポイントランキングの上位に食い込めない。
「眠い……」
呪いのように唸りながら、眠い目を擦る。寒い室内を這いずり、寝間着の上に分厚いコートを羽織る。ロングの内側だけを水色に染めた黒髪の頭からコートのフードを被れば、身支度は完了。
正直なところ、こんな寒い日に外出はしたくないが、
(ゲームのためだ)
仕方がない。それはどうしても譲れない。
スマホと財布と手をポケットに突っ込み、シーサイドタウンの家を出る。
「……寒」
まだ夜中と言っても可笑しくない真っ暗な道を少し歩けば、最寄りのコンビニがある。人気のないコンビニで今回のガチャ資金とするゲームマネーを買えば、目的は達成。
レジでお金を払いながら、眠たい目でぼうっと外を眺める。
コンビニの中は暖かいけれど、外は空気が凍り付くほどに澄んでいた。ちらりと見上げた空を星が埋めていた。
(このまま帰るのももったいか)
「失礼。温かい紅茶とハニードーナツも貰えるか」
レジに立つ店員に追加の注文を頼み、紙袋に入れて貰う。
こんなに空気の澄んだ早朝は、折角だから海辺まで散歩してみても悪くない。
買った品物入りの袋を手にコンビニを出て、出た途端にあまりの寒さにやっぱり帰って布団に包まりながらゲームの更新を待つかと一瞬思いつつ、海への道を辿る。
夜風に混ざる潮の香を嗅ぐ。耳に嵌めた大小さまざまなピアスの一部が潮風にちりちりと小さく鳴る。
ポケットからスマホを取り出し、画面を点けて時間を確認する。更新時間までもう少し。
砂浜を臨む緩やかな石段の一番上に腰を下ろし、左右に広がる段の右手に紙袋を置く。紙カップ入りの紅茶を取り出し、蓋についた飲み口から一口啜って、不満げに唇を尖らせた。無言で蓋を剥がす。
周囲に誰も居ないことを確かめ、財布から取り出したのは一枚の硬貨。
(変われ)
念じつつ指で弾き、空中に投げた瞬間、銀色の硬貨は金色の蜂蜜の雫に変わった。宙を落ちて来た蜂蜜をカップで受け止め、楓子はこっそりと笑む。
元々甘い紅茶をろっこんで出した蜂蜜で更に甘くして、もう一度啜る。甘々の紅茶の甘々の湯気に思わず微笑んで、紙袋から、こちらは元々蜜の掛かった甘いドーナツを取り出す。
紅茶のカップを傍らに置き、ドーナツを片手、もう片手にスマホを取り出す。更新時間まであとちょっと。
(……うん)
齧ったドーナツを紙ナフキンに包んで紙袋の上に置けば、知らず小さな笑みが零れた。
目の前には夜明けを待ちながら星を輝かせる夜空と波音絶え間ない海、傍らには甘くて温かい紅茶と甘いドーナツ。
(とても良い気分だ)
今日なら、星六つどころか七つの最高レアリティのカードさえ引ける気がした。
冬の潮風とオリオン座、さざめく波と白銀の月。
どこか寂しいような懐かしいような風に吹かれ、楓子は静かにその時を待つ。
楓子の気分をぶち破ったのは、その時を知らせるにはけたたましいアラームの鳴動と、
「ってチビー! そんな強く引っ張らないでよー!」
幼い少女の悲鳴と共、肩に突撃して来たでかい毛玉。
「うおおっ」
女子高生にしてはあまりにも可愛げのない悲鳴を上げ、楓子は毛玉の太い前脚に押されて砂まみれの石段に転がる。
「人を襲っちゃダメー!」
少女の声を聞きながら、でっかい犬のでっかい肉球にたしたしと肩を叩かれ、冷たい鼻づらを押し付けられ、わふわふと興奮した熱い息を吐きかけられ、
「こ、こら、やめたまえ、やめるんだっ……」
楓子は息も絶え絶えにゴールデンレトリバーらしい犬の顎を両手で押し上げた。
「チビ! ダメ、チビ!」
「チビ……」
懸命にリードを引っ張る少女の必死の声を聞きつつ、楓子は思わず目を丸くする。
「これが、チビだと……?」
「チビ、待て! 伏せ!」
主の一人たる少女の凛々しい命令を受けて、でっかいチビは不思議そうに首を傾げた。いけませんでしたか、と自分の背後で息を切らせて怖い顔をする主を振り返り、ふさふさの毛に覆われた首を捻りつつその場に大人しく伏せる。
「ごめんなさい! おねーさん大丈夫!?」
悪いことをしたとは微塵も思っていない顔の愛犬は捨て置き、少女は虐げられた乙女のポーズで座り込む楓子の前に膝をつく。
「怪我してない!?」
十にも満ちていなさそうな幼女に甲斐甲斐しく背中を擦られ、手を取られ、楓子は犬に襲われて見開きっぱなしだった瞳をぱちぱちとしばたたいた。
「あ、ああ、大丈夫だ、問題ない」
「ほんと?」
「本当だとも」
「良かった!」
小さな体を包む暖かそうなポンチョコートと華奢な首に巻いたふかふかのマフラーをふわふわと冬風に揺らし、色素の薄い雪雲色の髪を元気に跳ねさせ、少女は溌剌とした笑顔を見せる。
「暖かいな」
自分の手を包む手袋越しにも少女自身の熱を感じて、楓子は思わず口にする。
「えへへ、あったかい? ちゃんと着たから寒さなんてへっちゃらだ!」
チビが襲い掛かったにも関わらず、怒らずに微笑んでくれる年上のお姉さんに嬉しくなって、
東条 あんず
は傍らに大人しく伏せるチビのもふもふの腹に身体を寄せる。
「ねーねー、こうするともっとあったかいよ!」
慣れた様子で少女の椅子と化す犬を楓子は見下ろす。見下ろしていて、ふと気づいた。ポケットの中、アラームがずっと鳴り続けている。震えるスマホを取り出し、アラームをスヌーズ機能ごとオフにする。
「なあに?」
「ああ、いや、……ちょっと失礼」
ほとんど反射でスマホ画面にゲームアプリを立ち上げ、ゲームマネーカードを片手に手早く課金操作をする。
「見たい見たい! ここ座っておねーさん!」
あったかチビ椅子の端に身を寄せ、座る隙間を空ける少女を見もせず、重度のスマホゲーム中毒者は言われるままにチビの腹に背を預けて座る。
「うわ、格好いいなー!」
こども特有の遠慮のなさなのか、ぐいぐいと顔を近づけスマホ画面を覗き込んできては少年じみた言葉を漏らす少女に戸惑いながら、楓子は犬の襲撃にも関わらず足元に無事に残っていたドーナツの紙袋を片手に取る。
紙ナフキンに包んでいたドーナツを膝に乗せ、紙袋からもう一つ、ドーナツを取り出す。
「食べるか?」
「いいの? ありが……」
受け取ろうとした手を止め、少女は苺色の瞳を難しげに顰めた。
「知らない人からお菓子貰ったらダメなの~……」
呻くように言ってから、パッと顔を輝かせる。目まぐるしく変わる少女の表情の変化について行けず、楓子はドーナツを差し出したまま固まる。
「あのね、うち、
東条 あんず
! おねーさんは?」
「
千歳飴 楓子
だ」
「楓子おねーさん、ありがと!」
これで知らない人ではないとばかり無邪気に笑うあんずにドーナツを手渡し、楓子はゲーム画面を操作して決戦場であるガチャ画面へと移動する。画面には仰々しい扉のイラストが一枚。扉をタップすることで、新しいユニットキャラが手に入る。
次のイベントに挑んでランキング上位に食い込むためには、ここでの運が肝心要、正に運命の分かれ道。
(鎮まれ楓子の物欲センサー!)
力が籠るあまり震える指先を拳にする。重課金の末に何十回とガチャを回しても、こればかりは毎回緊張する。そして得てして欲が湧いた時ほど最高レアリティのカードは引けない。
「チビの散歩はうちのお仕事なんだよ。でも、うち、いつもより早く起きちゃって、どうしようかなって思ったんだけど、せっかくだしちょっと遠くまでお散歩いこうかなって!」
ドーナツを頬張りながら、あんずは人見知りもせずに喋る。
「それで、どうせならチビと海を見に行こうって。この時間なら朝日とか見れるかもだしね! 海までダッシュで来たんだよ!」
ゆるゆると夜の闇が引き、藍から蒼へと移り行きながら、それでもまだまだたくさんの星が煌き続ける空をあんずは眺める。
「朝の海はいつもと違っていいね。早起きは三文の徳……? って聞いたことあるけど本当だ!」
チビのもふもふの腹に半ば埋まり、あんずは無邪気に笑う。
己の葛藤など知る由もない幼女を見遣り、楓子は尚も懊悩する。頭の中は欲しい星七つキャラカードのイラストばかり。こんな調子では大外れの大爆死は必至。
「おねーさん?」
「……あんず氏」
煩悶のあまり、楓子はあんずの手を取る。小さな手袋を恭しく外し、小さな指先を導いて画面の中の扉をタップさせる。
「なに? なになに?」
きょとんとするあんずと大真面目な楓子の視線の先、画面の中の扉が開く。その中で待ち受けていたのは――
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年06月02日
参加申し込みの期限
2016年06月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年06月09日 11時00分
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