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MFS! ~あるいは全ての表現者に捧ぐ、夜半過ぎのTVショウ
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『可憐! 胡乱路秘子デビューライブ!』(5)
さああ。さああと。静かな雨の音が、世界を雫の帳に覆い隠していきます。
滑らかにきらめいていた赤いドレスは雨を含んで重たく絡みつき、桃色の髪はしとど濡れて顔へ張り付き、ぱしゃり、ぱしゃりと足取りは沈んで。
滲んだ視界の向こう。虚ろに見つめた秘子の視線の先、バス停のベンチに、彼女は静かに腰かけていました。
「……
あの時
とは逆ね。胡乱路さん」
矢萩 咲
はそう言って、微笑みます。
旧市街に降る雨を、こんなにも心穏やかに眺めていられるようになると、いつかの咲は思いも寄りませんでした。まだ、胸にざわつく思いが全くないとは言えません……けれど、目の前でしょぼくれている彼女のためなら、それにも目をつぶることはできました。
友だち。そうありたいと、願うなら。
「……んふふ。そうですね。あの時は矢萩さんのほうが、ぐっしょりと濡れていて」
「うん。そして……胡乱路さんに救われた。あの時胡乱路さんが言ってくれた言葉が、今の咲を支えてくれていると言ってもいい……覚えてる?」
咲は決して、忘れることはないでしょう。まぶたの裏に閃く稲光。叩き付けるような豪雨。ちかちかと真っ白に、フラッシュバックする過去……無知な自分を手ひどく弄んだ、あの男の顔。
真っ白な病室。軋む心。胸にぽっかりと開いた、喪失感。
思い返すたび、この場所で雨に降られるたびに自分を失くした咲を、あの時救い上げたのは確かに、彼女だったのです。
「だからこそ……咲は」
報いたい。そう強く、思うからこそ。
「咲は、胡乱路さんを止めるよ。たとえ君に嫌われようとも」
真っすぐに見つめて、きっぱりと。夢を叶えようとしている彼女へ、
「今日のステージは、中止してほしい」
「……矢萩さんも。そのように、仰るんですね」
もちろんのこと、彼女の表情をこんな風に、いたずらに暗くかげらせたいわけではありません。応援したい。おめでとう、と素直に心から伝えたい。けれど咲には、決意がありました。
目を逸らさずに、
「咲は、胡乱路さんの全てを知っているわけじゃない……けど、分かる。貴女は夢を叶えるため、そのためにこそ、これまでずっと努力してきた。『MFS!』のストーリーテラーとして知名度を上げて、歌手になるための下準備をしてきた。違う?」
「ええ……ええ。そうです。そのために、わたくしは」
「でも、ね」
勢い込んで語ろうとする、余裕の無い笑みの秘子を制して、
「そんな風に夢を叶えても……それは、本当の君じゃない。『
胡乱路 秘子
』の皮をかぶった、ナニカだ」
咲も、秘子自身も、とうに知ってしまいました。今夜のデビューが、彼女らに何をもたらすのかを。島へ、どのような変容を招くのかを。
咲は、許容できません。故郷たるこの島のフツウの崩壊も、目の前の彼女が一時の成功と引き換えに、茫洋とした何かへ変わってしまうことも。
「だからこそ、咲は止めるんだ。胡乱路さん……いいえ。『
にいで ひめこ
』さん」
「!! どうして、わたしの……その、名前を……」
す、と差し出した、手のひら。あの時とは逆、今度は咲から、彼女へ。
秘子は濡れそぼったまま、困った笑い顔のまま、視線は彼女の顔とその手のひらの間を、行ったり来たり。
「咲と、フツウの学生に戻りましょう? そこから一緒に、夢を叶える続きをしましょう?」
「で……でも。矢萩さん、わたしには……ね? きっともう、これが、最後のチャンスなんです……だってわたし、そんなに才能なんて無くて、だから」
咲はゆるりと、首を振って。どこか素に戻ってしまったような秘子へ、
「最後のチャンス? 大丈夫。だって……君が教えてくれたのよ」
さああ。さああと。耳朶を打つ静かな音へ、耳を澄ませて。
「『雨というのは、いつかはやがて、上がるもの』」
あの時の言葉を、彼女へと還しました。
秘子はしばし、迷いに迷っていました。誘われ、手を伸ばしてはためらい。咲の笑顔に表情を緩めては、再び笑顔は困ったように歪んで。
「雨も、どんな困難だって、あきらめなければいつかは晴れる。夢だって、きっと叶うわよ。だから……咲たちと、友だちとして……一緒に過ごしましょう……? ね? ひめこさん……」
いつしか咲の目元は、かすかに涙濡れて。伝えたいのはそれほどに、強い想いでした。
天秤は、どちらに振れてもおかしくは無かったはず。これまでにかけられた多くの言葉、多くの想いが秘子を揺らし、彼女は迷いの檻に囚われているように見えました。
救いへ手を伸ばし……夢へ、引き戻され。
咲の想いへ、震える手を伸ばし。
やがて。引いた手を胸の上で、きゅ、と握り込み。
「……胡乱路、さん?」
「矢萩さん。あなたにも夢があったなら……それを、あきらめることはできますか?」
ぱしゃ。後ずさり、秘子はバス停のひさしが作る仮初の安堵から、再び雨の中へと。
「もう、すぐそこなんです。手の届くところにあるんです。わたしの……わたくしの、夢が」
「胡乱路さん、何を……」
困ったように微笑みながら。咲の伸ばした手をじっと見つめて、後ろ髪を惹かれるように惑いながらも、自らを遠ざけます。
秘子は、雨の遮るカーテンの向こうへと。
「雨寺さんや黒依さんが、困難を前に、夢をあきらめるでしょうか? 夢宮さんが、仲村渠さんや獅子島さんが、夢を阻まれ、簡単にあきらめてしまうでしょうか?」
「っ、ダメだ、胡乱路さん……!」
咲は飛び出し、雨に滲んで輪郭を曖昧にさせていく彼女を捕まえようと、手を伸ばして。
それでも、彼女は。
「わたくしも、そうありたい。憧れの、あの方たちのように……強く、折れず……夢を追いかけて……」
だから、ごめんなさい。ごめんなさい。そう、しきりにつぶやきながら。
「……胡乱路さん!!」
消えていきました。さああ。さああと、降りしきる雨の中へ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
81人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月23日
参加申し込みの期限
2016年07月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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