文房具戦争、勃発！？｜リアクション

文房具戦争、勃発！？

●●●タケノコチーム！　推参！●●●

　タケノコチームには男女合わせて7名が集まった。
　剣道部と学園支援部に属している瞬速の剣士、御剣刀。
　剣術極めるために数多くの事件に関わってきた彼が手にしたのはしっかりとした作りの傘だ。

「味噌汁は日本人のソウルフードだよ。今は筍の気分なんで筍陣営にいる」

　傘をカタナに見立てて感触を確かめる刀。フツウであれば奇異な目で見られるが、そんな人はいない。
　この世界の理屈を皆、理解している証拠である。
　ふと遠くを見る刀の目線の先には寝子島高校。最初に目指す拠点になるだろうと思いを巡らせる。

「……うちはどっちでもいいけど、意外性で言えばタケノコかなぁ。こずえちゃんはどっちが好きー？」
「壬生先輩がタケノコなら私もタケノコですよー。今回はなんと言っても、戦争ですから！」

　けだるげな表情を浮かべるのは自他ともに認めるサボリ魔、壬生由貴奈。
　その由貴奈が話しかけているのは寝子島高校生徒会副会長の屋敷野梢だ。
　普段は自然との共存を目指す生物部部長だが、戦争という言葉に反応している。
　この空間では遠慮は無用というのが気に入ったのかも知れない。

「ね、タケノコ食べる？」
「…では。いただきますわ」

　棒状になっているタケノコを女子からもらい受け、ほんの少しずつ食べるのは三宅葉月。
　授業が集中できなくてノートに心の赴くままに色鉛筆を走らせていたら、いつの間にかこの世界に。
　ひとではあるが、神魂が影響している、というのがぼんやりと理解できる。
　それが理解できる『ひと』は多くはないが、存在する。彼女もその一人だったのだろう。

　傘を操った少女に護衛のようにつく、消しゴムアーマーに身を包む2人の男子生徒。
　4人でタケノコスティックを食し、来る戦闘開始の合図を待つ。

「しっかし、かたなんが味方でよかったー。遭遇したらまず逃げる候補の1人だったからねぇ」
「ですよねー、いくら文房具で武装したからって、御剣君の能力は厄介ですからー」

　由貴奈と梢に水を向けられた刀は仕込み傘の感触を掴み終えたようで、そちらを顔を向ける。
　刀にとってもそれは同じだったようで、苦笑にも似た笑顔を作る。

「壬生先輩は予測ができないし、屋敷野の能力も相性がいいとは言えないから俺にとっても良いことだ」
「皆さんは、お知り合いですの？」

　タケノコスティックを食べ終えた葉月が親し気に話す三人に興味を持ったようで、話しかけてきた。
　緩いウェーヴのかかった緑がかった黒髪を揺らし、小首をかしげる姿は可憐であると言われることも多い。

「そうなんですよー、いろんなイベントで一緒になったりしてて」
「イベント、な。三宅はこういう不思議な事に巻き込まれたことはないのか？」
「無いわけではないわ。あいにく不思議な力もないけれど、ね」

　ふんわりと事実をぼかして伝える梢。その意図を汲んだ刀も同じようにぼかす。
　葉月の返し方も手馴れており、暗に自分にはろっこんを持っていないことを伝える。
　しかし、この空間ではろっこんは有効な手段ではあるが、絶対ではない。

　なるほど、と納得したような顔の刀が中心となって各々の作戦、文房具の共有をしていった。
　情報は戦略において重要なものである、と考える友人が、今は敵だからなのかも知れない。

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