this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
冬のイチゴの甘い思い出。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
ジャムやお菓子が一通り出来上がったのは、
御剣 刀
でなくともそろそろ小腹が空いてくる頃合いだった。何しろ、ずっとあちこちから漂ってくる甘い匂いに包まれていたのだから、なおさらだ。
もっとも、空腹に耐えかねるという程でもないのは時々、甘さを確かめるために味見をしていたからで。おかげでジャムの仕上がりはなかなかだ、と満足そうな刀である。
灰汁もきちんとすくったし、最後に入れたレモン汁のおかげで、ぐっと色鮮やかになって味も整った。あとは実際の仕上がりを楽しみにするばかりだと、
御巫 時子
は微笑みながら、出来たジャムを煮沸消毒した瓶に入れていく。
中身がちゃんと判るように、瓶には『フユイチゴジャム』と書いたシールを貼った。ちなみにこの瓶は、高明さんに相談したら『ケーキの材料が入ってた瓶で良ければ、まだ取ってあるからあげるよ』と譲ってくれたもの。
その瓶を、
リスティーナ・フェレル
も感慨深く見つめる。――祖母とリスティーナが作ったジャムを食べて、美味しいと褒めてくれた祖父や母の、父の笑顔を思い出して少し、寂しくなる。
彼女がまだ幼くて、父の故郷にいた頃に作った、祖母が愛情を込めて庭で育てた果実のジャム。多忙な両親は家を空ける事が多く、この時間がとても楽しみで。
祖母と一緒に鍋にかけ、コトコトと煮詰めるうちに美味しそうなジャムへと変わって行く様子に、幼心にわくわくしたものだ。少し味見をしたジャムはあの頃のように美味しくて、だからついあの頃のように、故郷の祖父母や父にも食べさせてあげたくなってしまう。
ちょっとしんみりとしていたリスティーナの耳に、ふいに落ち着いた年配の、だが明るい女性の声が響いた。
「あら、とってもいい匂いね。皆さん、お疲れ様」
そう言って厨房にひょっこりと顔を覗かせた、伊都子さんがぐるりと見回してにっこり笑った。それから、お茶を淹れたのだけれどひと休みしてはいかが? と誘ってくれる。
それに、後片付けなどをしていたメンバーが口々に「頂きます」「……ありがとう」と応え、頭を下げた。そうして手早く厨房を片付けて、お店のイートインスペースの方に移動する。
幾つかテーブルをくっつけて、上には伊都子さんが人数分の暖かなお茶を用意して。真ん中に並べたのはもちろん、たった今作ったばかりのフユイチゴのスイーツ達だ。
同じような作り方をした、同じような見た目の、けれどもそれそれに工夫が凝らされた、幾つものフユイチゴのジャム。フユイチゴの赤い実が宝石のように輝くよく冷えた美味しそうなプリンに、しっとりと焼き上がったマーブルとプレーンのロールケーキが1台ずつ。
うわぁ、と誰からともなく感嘆の声が漏れた。どれもこれも美味しそうだし、しかもその材料が自分達で摘んだフユイチゴとなれば、その感動もひとしおだ。
早速、少しずつ取り分けて口に含んでみれば、フユイチゴの甘さと酸っぱさが同時に口の中に広がった。
「うん、美味い!」
小皿に1人分ずつ取り分けられた、フユイチゴのジャムの乗ったクッキーをさくりと頬張った、刀が絶賛の声を上げる。あっという間に口の中を空にして、これも上手い、こっちも、と食べる顔はいかにも幸せそうだ。
これだけ美味しそうに食べて貰えたなら本望だと、歓声が上がるたびに暖かな笑いが零れた。時子もそれを微笑んで眺めながら、伊都子さんが淹れてくれた紅茶に、出来立てのフユイチゴジャムを溶かして飲んでみる。
ふわりと口中に広がる香りは甘く、けれども春のイチゴのそれとはやはり違う。この味わいも鳥さん達に聞かせてあげようと、思いながら時子は同じテーブルの並びに座る、高明さんを振り返った。
「また今度、新作ケーキも頂きに来ますね」
「ありがとう。楽しみにしているよ」
「私も楽しみです。……あの、そういえば、バレンタインのお菓子教室をされる予定はありますか?」
そうして、思い切って気になっていた事を尋ねてみれば、高明さんからは「面白そうだね」と微笑みが返った。どうかな奥さん、と傍らの伊都子さんに尋ねている様子を見れば、悪くはない感触だ。
そんな話がひと段落したのを、見計らってリスティーナは夫婦の傍に歩み寄った。ぺこり、頭を下げる。
「今日は、本当にありがとうございました」
そうして笑顔で1日のお礼と、楽しかった事を伝えて、今度お客として来る事を約束した。それに笑顔で応えてくれる老夫婦は、一見すれば故郷の祖父母と同い年か、もう少し上か。
そう思い、大事にジャムの瓶を抱き締めた。きっと、フユイチゴでジャムを作ったと祖母に話したら驚いて、それから喜んでくれる事だろう。
そんな、穏やかな時間の過ぎる『somnium』でのティーパーティーは遠慮して、出来上がったジャムの瓶を手に一足早く帰路に着いた
大天使 天吏
はだが、どうしようと少し思案する眼差しになった。正直な所を言えば、こうしてジャムを作ったはいいけれども、実は小食なので食べきれるか不安なのである。
しかし、折角山の恵みを頂いて造ったジャムを捨てるなんて、とても許せるはずもない。けれども一体どうすれば、と色々と考えあぐねた天吏は、ふと思い立って少し寄り道し、パンを買って帰る事にした。
これに塗って少しづつ食べてみれば、天吏でもなんとか食べ切れるかもしれない。そうしてその時でたクズを鳥にあげれば、自分達が採ってしまったフユイチゴの代わりになるだろうか。
(……愚かな人間の誤魔化し方だけど……)
そんな事を考えて、微かな自嘲を口の端に浮かべる。だがこれも人間らしい振る舞いの1つだろうかと、考えながら帰路につき。
その頃星ヶ丘の某所では、ついに完成したケーキを前に
呉井 陽太
が歓声を上げていた。
「おー、美味しそうなケーキだー♪」
「どうぞ、呉井先輩」
はにかみながら
白草 朱乃
が置いたケーキの皿は、なるほどいかにも美味しそう。うん、と朱乃自身も満足そうに、出来上がったケーキを見つめた。
陽太の実家に足を踏み入れた当初は、陽太の母に緊張しながら挨拶をしたり、ここが呉井先輩の育った……とソワソワしたものだ。けれども台所に案内をしてもらって、ケーキを作り始めたらそんな事は、どこかに吹き飛んでしまった。
材料をイメージのままに混ぜ、心惹かれたものを隠し味に入れ。適当な時間だけ焼いて、イメージの赴くままフユイチゴとクリームでデコレーションした『力作』。
その、作り方はともかく見た目はとても美味しそうなケーキを、陽太は「早速いただきまーっす!」と大喜びで口に入れ。――瞬間、世界が止まる。
(……。………はっ!?)
一瞬。恐らくはほんの一瞬、だが確かに今、気が遠くなった。あらゆる現実を知覚する事を、陽太の本能が拒んだ。
いったい何が起こったのだろう、とぎこちなくケーキを見て、それから朱乃を見て。恐る恐る、尋ねてみる。
「朱乃ちゃん、味見は……」
「味見ですか? 一番最初に呉井先輩に食べてもらいたかったから……」
切実な響きを帯びた陽太の疑問に、朱乃はそんな答えを返した。そうして少し不安そうな眼差しで「……美味しくないです?」と尋ねた彼女に、慌てて陽太はぶんぶん首を振る。
腹の底に力を入れて、顔面の全筋肉を叱咤し、精一杯の笑顔を浮かべた。
「あ、大丈夫だよ、美味しいよぅ! 作ってくれてありがとー♪」
「良かったです……!」
幸い朱乃はそれを疑った様子はなく、ほっとしたような笑顔になった。それに、ほっと陽太も胸を撫で下ろし、今度は心からの笑顔になる。
そうして、せっかく朱乃が作ってくれたケーキを残さず完食しようと必死に、だがそれと気付かせないように陽太は食べ続け。朱乃は時々紅茶を飲みながら、そんな陽太を嬉しそうに見つめる。
――こんな風に冬の日は、それぞれに過ぎて行くのだった。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
蓮華・水無月
ファンレターはマスターページから!
いつもお世話になっております、または初めまして、蓮華・水無月(水無月 深凪)です。
この度はご参加頂きまして、本当にありがとうございました。
お誘い合わせの上でご参加下さいました皆様、何となくお越しくださいました皆様、冬の山でのフユイチゴにまつわるお話はいかがでしたでしょうか。
さすがにリアルの季節がすっかり春から初夏に移りつつあるこの頃、現物を探すのは難しく、皆様のアクションに『水無月も食べてみたい……』と思いながら執筆しておりました。
次の冬は狙ってみようと思います。
まだまだ先の事ですが。
お届けさせて頂きましたリアクションが、皆様に僅かなりとも楽しんで頂ける物であれば、心から嬉しく思います。
またのご縁がございましたら、どうぞ宜しくお願いいたします(深々と
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
冬のイチゴの甘い思い出。
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年04月19日
参加申し込みの期限
2016年04月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年04月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!