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パーフェクトワールドⅠ ~音楽教師は白亜の鳥籠に眠る~
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己が緑の双眸だけに映る空気の足場へと駆け上がり、外敵へと飛び蹴り一つ。
楢木 春彦
の攻撃を受けて、キリンのぬいぐるみはふらふらと宙を逃げていった。
「一昨日来やがれってな! 敵は容赦しねぇ!」
「まあ、近づいてくる生き物は殆どいないけどねぃ。勿論いいことだけど」
春彦の威勢の良さに、糸目を更に細くして粘土細工を手にした
呉井 陽太
が言う。
陽太の言葉通り、翼獣の群れへと無防備に寄ってくる生き物はごく稀だ。
今のぬいぐるみのような命知らずは例外で、他に近寄ってくるのは毛玉くらい。
その毛玉の危険性はこの場にいる全員が周知しているし、向こうから襲ってくることはないので、
「おーい、毛玉が1匹行ったから気を付けてねぃ」
という具合に全員で情報を共有すれば、先ず治療に支障をきたすことはない。
「了解です! 皆さん、うっかり触っちゃわないように注意してくださいねー!」
治療班を取り纏めている
屋敷野 梢
が、陽太の呼び掛けを受けて声を張る。
手伝い程度にしか直接治療にこそ携わっていない梢だが、彼女の責任は重大だ。
「噛傷じゃなくて切傷のようですので、傷口の除染と止血が最優先です! 圧迫止血を!」
一体誰が何のために……と胸の内に怒りを滲ませながらも、梢は冷静に指示を出す。
そして、彼女にはもう一つすべきことがあった――トリアージだ。
(命に優劣をつけるのは残酷ですが、道具も技術もないから仕方ないです)
自分にそう言い聞かせて、梢はどの個体から治療に当たってもらうかを割り振っていく。
流れた血は戻らないからこそ、今ある命を確実に助けていきたい。
そう強く願うが故に、梢はある意味では誰よりも沈着でなくてはいけない。
「ロベルト先輩、傷口を縫うこともお願いしていいですか?」
「うん、任せて」
「ありがとうございます。じゃあ、この子からよろしくお願いします。卯木君はこの子を」
てきぱきと、的確な判断で治療の優先順位を決めていく梢。
仲間たちも、力強くそれに応えていく。
「大丈夫だ、絶対助けるから」
治療の手は決して休めないままに、翼獣へと何度も声を掛けるのは
卯木 衛
だ。
自分の想いが伝わるようにと声を零しながら、汚れを水で洗い流し、止血する。
その手元には、布とイヤホンコードで簡易な持ち手を作った翠玉の葉のナイフ。
治療に使う布として衣類を提供してほしいと皆に声を掛けたのは衛で、それを惜しむ者はいなかった。
故に、多くの衣服が彼のナイフで裂かれたが、薄着になったことを気にする者もまたいない。
役割こそそれぞれに違えど、全員が目の前の命を救うのに懸命なのだ。
洗浄・止血と、手際良くすべきことを済ませていくのは
ロベルト・エメリヤノフ
。
次いで彼が手に取ったのは、
勅使河原 悠
の持ち物であるソーイングセットだ。
「ごめんね、かなり痛いと思う……だけど、僕らに皆を助けさせてほしい」
呼び掛けに、翼獣は眼差しをじぃとロベルトへと寄越した。
澄んだ瞳には、挑戦的な色が宿っている。やってやろうじゃないかとでも言わんばかりの。
「……ありがとう。じゃあ、始めるよ」
自分の胸も痛みに震えるのを感じながら、ロベルトは針を進めた。
この一針一針には、悠や、皆の想いも乗せているのだと感じながら。
「水で洗浄して止血、でいいんだよねぇ?」
あまり医療の心得のない
壬生 由貴奈
は、梢に教わった方法を頭の中に繰り返しながらの治療だ。
けれど、由貴奈の真剣さが伝わっているようで、翼獣は彼女に身を任せている。
翼獣の傷口をペットボトルの水で洗い流す由貴奈の耳に、
「切傷以外の傷は……ない、か」
近くで同じく治療に当たる衛の呟きが、ふと届いた。
手は止めないままで、由貴奈はその呟きに応じる。
「果物をすごく嫌がってたし、最初はあの爆発する赤い実を食べちゃったりしたのかとも思ったけど……そういう様子はないんだよねぇ。刃物の傷ばっかり」
メルヘンだけどデンジャーな世界だよねぇとの言葉に、黄色の眼差しを伏せる衛。
「見た目は可愛らしくても中身は……趣味良くないね」
おっとりとした響きの中に怒りを孕んだ由貴奈の声は、甘やかな色の空に溶け消えた。
一方、とりあえずの指示を出し終えた梢は、
茨城 音夢
に声を掛けていた。
一旦の役目を終えた音夢は、やっておきたいことがあるのだとスケッチブックを手に取っていたのだが、
「ボクの出番ー? いいよ、こっちは終わったしー」
と、次に己がすべきことが回ってきたのだと見て取って、新しい頁を開く。
梢は、敢えて元気に振る舞って、明るい微笑を音夢へと向けてみせた。
「ありがとうございます。先に話してあった通りですが……よろしくお願いします、ね」
わかったと、音夢の返事はごく短いもの。梢も、多くは語らなかった。
(中々くるものがありますが……でも、必要なことですから)
沢山の命を助けるという梢の覚悟は強固なものだが、胸の痛みが故に消えるというわけではない。
梢と音夢が今から行うのは――苦しんでいる個体や命の灯火が消え掛けている個体の望みを音夢のろっこん等を通して聞き、出来得る限りその想いに応えること。
具体的には、食べ物や飲み物を所望するなら与える他、
(これ以上苦しみたくないと望むなら、あの苺ミルク色の水を……)
いずれも、決して根本的な解決にはなり得ない。音夢が、ぽつと言った。
「さっきも言ったけど、この獣達はボクの美的感覚に適ってるんだよねー」
だからお願いを聞いてあげたいわけー、と、音夢は相変わらず間延びした声で音を紡ぐ。
その言葉に、梢は少し救われたような心地がした。
「そう……そうですね。私も、彼らの希望を叶えてあげたいです」
ならば、今は前を向いて。今の自分たちに、出来る限りのことを。
「それじゃ、始めるよー」
音夢が、深く傷ついた翼獣たちの望みを紙の上に描き出していく。
その望みの多くは痛みからの解放で、梢はそんな翼獣たちにあの水を飲ませて回った。
ぼんやりと眼差しを曇らせる、けれど落ち着いた面持ちの翼獣の毛並みを、そっと撫でる。
(麻酔といえば聞こえは良いですが……でも、辛さはないようです)
苦しみ続けるよりはこの方が負担は少ないだろうと、梢は胸の痛みを無理矢理に押し込めた。と、その時。
「ねえ、ちょっと」
音夢が、あまり感情の乗らない声に僅か困惑の色を乗せて梢を呼んだ。
今しがた音夢が描き上げたのは、苦しげな呼吸が痛々しい母翼獣の望みだ。
頁いっぱいに広がるのは、瞳を輝かせてこちら側を見つめる翼獣の子供の姿。
「っ……」
思わず、梢も声を詰まらせた。
絵の中と変わらぬ姿をした子供の翼獣は、先ほどから必死になって母親の顔を舐めている。
「……安心してください、お母さん。この子は大丈夫です、元気ですよ」
呼び掛けに、母翼獣は振り絞るようにして喉を鳴らした。
梢の言葉を理解して、この知らせを心から喜んでいるように。
麻酔代わりの水は、飲ませなかった。
(あの舌の温度を少しでも感じていられるように……なんて、傲慢かもしれませんが)
音夢が見守る中で、母翼獣の顔に、祈りを込めるようにしてそっと触れる梢。
「絶対に治療はします。だから、生きてて下さいね」
優しく声を掛けて、梢は立ち上がる。
後ろ髪を引かれる思いだったが、このままずっとここに留まっているわけにはいかない。
(まだまだ、苦しんでる子は沢山いるんですから……)
密かにきゅっと口元を引き結んだ梢の耳に、声が届いた。
「あの……まだ遠くてよくわからないのですが、こちらに近づいてきている人がいます……!」
「え? もしかしてもれいびですか?」
そんな問いが梢の口をついたのは、声を掛けてきたのが悠だったからだ。
他の人のろっこんを見ることができる悠は、念のためにともれいびによるろっこんを用いた攻撃に備えて、春彦や陽太たちと共に警戒に当たっていた。
そんな悠なのだが、梢の問いに少し困ったような顔になる。
「もれいびはもれいびなんですが……少なくともろっこんによる攻撃の心配はない、と思います……」
「攻撃特化のろっこん使いじゃないってことー?」
「はい……花弁が、傷を癒すビジョンがぼんやりとですが見えました……」
音夢の問いに応じて、「それと……」と益々眉を下げる悠。
「翼獣と一緒に、行動しているみたいなんです……!」
「ええっ!?」
悠の言葉に、梢は目を大きく見開いた。
この群れの外に他の翼獣がいたことも、その翼獣と行動を共にしている人間がいることも予想外だが、
「多分ですけど……悪い知らせではなさそうでしょうか?」
という梢の推測は外れることなく、やがて『翼獣助け隊』に合流したのは
椿 美咲紀
だ。
「わ、この子たちのお友達がいっぱいなのです!」
なんて、目を丸くする美咲紀は、助けた翼獣にここまで案内されたとのこと。
美咲紀と共にやってきた二頭の翼獣は、仲間との再会を喜んでいる様子だった。
「何かから逃げるうちに群れとはぐれて、怪我が原因で合流できなくなっていた……という感じですかね」
細かな事情まではわかりかねるが、癒し手である美咲紀の合流は素直に有り難い。
当の美咲紀も、深く傷ついた翼獣の姿に真剣な面持ちになってやる気十分だ。
「生きている個体は目につく限り治すのです! 怪我の酷い子から私のところに回してくださいなのですよ!」
簡単に状況の説明を受けて、美咲紀は力強くそう宣言した。
美咲紀の能力を考慮して、特に状態の芳しくない個体から治療を進めてもらうよう指示する梢。
先刻の母翼獣の姿が頭を過ぎったが、心苦しいが順番は最後になるだろうかと梢は唇を噛んだ。
美咲紀の舞いは、一頭ずつ時間を掛けてではあるが、死に近かった翼獣たちの深い傷をも着実に癒していく。
「大丈夫? まだどこか痛い所ある?」
その消耗こそ激しいが、美咲紀は倒れるまで舞い続けるのを止めないつもりだ。
治療班の頑張りも実を結び、状況はかなり落ち着いてきた。
辺りを見回して、後少しだと梢が口元を引き締めた、その時だ。
――ミュー、ミュー。
先ほどの子翼獣が、突然切なげに鳴き始めた。
胸を掠める嫌な予感に息を飲んで、梢は翼獣の母子の方を振り返る。
しゃがみ込んだ美咲紀が、その目に涙を浮かべていた。
「や、屋敷野さん。この子、息してないのです……助けたいのに、間に合わなかった……」
長く舞い続けているせいで苦しげな呼吸を漏らしつつも、切に訴える美咲紀。
目の前が真っ暗になるのを感じながらも、梢は震える声で告げる。
「弔いを……しましょう。椿さんのお陰で、危うかった沢山の命を救うことができました……」
だからどうか泣かないでくださいと、その言葉が音になって零れることは叶わなかった。
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20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年03月21日
参加申し込みの期限
2016年03月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月28日 11時00分
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