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悪徳は芳しき香りに満ちて
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【十重】
管理室のモニタの全てが、恐らくは数十分も前から無意味な映像を垂れ流し続けていたことに気付くと、
(ふむ。どうやら、仕込んだテープも不発のようですね。この上は……)
八咫 鏡
はすぐにも、思考を現実的なものへと切り替え、マイクへ向かって告げた。
「警備員各位へ、全館の封鎖を再確認。窓の一枚まで調べ上げなさい。並行して、全作品のすり替えチェックを」
サキリ・デイジーカッター
や
桜栄 あずさ
、それにあの
矢萩 咲
までも。その引き際のタイミングは鮮やかに過ぎ、不自然なものだった。
彼らは既に、目的を遂げつつあるのかもしれない。しかし、外では間もなく警察も展開し始めるだろうし、身軽な泥棒たちが身一つでの逃走を図るのならそれも可能だろうが、『子猫を抱く女』の100号キャンバスは持ち歩くのに不向きな大きさで、額装を外して丸めたとしてもかなりのサイズだ……もっとも彼らはそのように、あえて絵を傷つけるような真似はしないだろうが。
いわば敵への奇妙な信頼はさておくとしても、いずれにしろそんなものを持って警察の警戒網を駆け抜けようものなら、すぐにも見咎められて足が付くだろう。
(……さて)
八咫はこの場にあっての、最善を模索する。何が正しく、何をすべきか?
正義の体現者たる自分が、今、この場で成すべきことは……一体、何か?
「や、やられました……! 盗まれました! ありません、『子猫を抱く女』が!」
駆け込んできた警備員のひとりを一瞥し、その言葉を耳にしつつも、八咫は微動だにしなかった。
「……状況は?」
「偽物です! 奴ら、贋作を持ち込んですり替えていたんです。それも、ひとつじゃありません……絵を抱えて、まだ館内を逃げてる連中がいるんですが、囮かもしれません。俺たちは、どれを追えばいいのか……!」
「なるほど、分かりました。こちらで対処します、ご苦労さま……ああ、ところで。ひとつ、あなたにお聞きしたいことがあるのですが」
「? 何です?」
いかなる時にあっても、八咫が警戒を解くことは無い。部下である彼らを前にしても……元より八咫は、常にその可能性を疑い、注視してきた。だからこその、慧眼であったろう。
「
鴻上 彰尋
。という名の泥棒を、知っていますか? 何でも、変装の達人なのだとか。内通者は警戒していたつもりでしたが、ずいぶんと引っ掻き回してくれたようですね」
「!! な……何、を……」
びくりと肩を震わせた警備員の男、その首元へ、八咫は素早く手を伸ばし。
腕を振り上げ一気に、剥ぎ取った。顔を。
「…………! これは」
しかし。
「惜しかったな。半分正解、てところだ」
剥ぎ取られたマスクの下から現れたのは、鴻上……では無かった。瞬時に腰の後ろへ配したホルスターからリボルバーを抜き放ち、八咫へと突き付けた男は、
「……やってくれますね。手配書を見ましたよ、あなたは……
夜海霧 楓
」
「ご名答。俺は偽物、鴻上の作った贋作さ」
鴻上の変装、と見せかけ裏をかいたその狙いは確かに、警備体制を内部から撹乱、翻弄することに成功していた。夜海霧はぴたり、銃口を定めたままに問う。
「さーて、問題だ。時間内に当てなきゃ俺らの勝ち、だが利口なあんたなら……すぐに答えが出ると思うぜ。さあ、『本当の鴻上』は、今どこで、何をしてると思う?」
八咫は真っ直ぐにその瞳を覗き込み、そして、笑った。
慌ただしさを増す館内を、ゆっくりと、悠々と歩く男がいる。彼は100号のキャンバスを収めた大きな額を抱えていて、小走りにやってきて呼び止めた二人の警備員たちへと、にこやかに会釈をした。
「おや、お疲れ様です。今夜は何だか、騒がしいですね?」
「ああ、遅くまでご苦労さん。それが、館内に泥棒が侵入したって話でね」
「なんとまあ、そりゃまた、穏やかじゃないですね」
「……その絵は? 悪いが、あらためさせてもらうよ」
「これですか? ええ、先ほど修繕が終わったばかりでしてね、保管庫へ戻しに行くところです。見ますか? 良い絵ですよ」
訝しげな警備員を前に、美術館のスタッフであるらしい男はいそいそと、楽しそうにそれを掲げて見せる。サイズは『子猫を抱く女』と同じながら、そこに描かれているのは似ても似つかない、ぼんやりとした印象の風景画だった。
「貸与期間が終了したので、明日には所有者の方へお返しすることになっているんです。作業が間に合って良かったですよ……いやしかし、あなた方は運が良い! この絵を、こんなにも間近で見られるだなんてね。美術館に務める者の特権、役得ですよ。さあどうぞ、じっくりとご覧になってください。これはかの有名な17世紀のオランダ人画家の手による傑作で……」
ぺらぺらと、聞いてもいない知識を披露し始めた男に、警備員たちは揃って顔をしかめ、
「ああ、いや。悪いが忙しいんだ、講釈はまた今度ゆっくりと……」
「行っていいぞ。お疲れさん」
「おや、そうですか? 素晴らしい絵なのに、もったいないことで……それでは、失礼させていただきますよ」
再び小走りに、去っていく二つの背中を見送り。鴻上は、微笑む。
夜海霧との入れ替わりは、
桧垣 千里
を除く仲間たちにすら知らせていない、とっておきの秘策だった。彼らはずっと、夜海霧のことを鴻上と思っていたことだろう……おかげで彼はこのまま大手を振って、この絵を保管庫へ持ち込むことができる。絵は誰の手にも触れられないまま、彼が取りに戻る時まで、そこに安置されるだろう。
(成果は上々……とはいえ、このままあっさりと終わってしまうのは少々、味気ない)
加えて鴻上には、仕上げと呼ぶべき最後の仕事があった。いや……仕事と呼ぶには、それはあまりに趣味的で、彼の悪癖とも言えたかもしれない。
鴻上は取り出した携帯で通話を依頼主へと繋ぐと、すれ違う警備員へ変わらずにこやかな笑みを返しながらに、言った。
「やあ、桜栄さん。ちょっと面白いことを思いついてね……いや何、このまま終わってもいいのかな? って思ってね。あんたも、脅されて、愛車をおシャカにされた仕返しくらいはしたくない? なぁに、ちょっとした、軽いイタズラをね……」
卯木 衛
の小柄な体格は彼の持つ武器のひとつであり、その驚異的な身体能力、強靭な脚力とも相まって、迫る警備員たちを苦も無く避けて見せた。
「そーら、こっちこっち! 捕まえてみなよーっ」
ひょいひょいとそこら中を飛び跳ね、次々に伸びてくる腕をかいくぐり、囲みを突破してみせる様は、すばしこいウサギの類を思わせた……もっとも、その小柄さには男としてコンプレックスのひとつも抱かずにいられない彼にとっては、不本意なことではあったかもしれないが。
傍らには、
雪月
。今や警備員の身に纏う制服は脱ぎ去り、身軽な軽装となって、
「…………」
言葉も無く。両の手に携えた、特徴的な形状の『釵』で振り下ろされる警棒をさばき、目にも止まらぬスピードで反転、足払いを放ち目の前の一人を転倒させると身体を跳ね上げ、くるくると宙を舞って卯木の隣へと着地する。
「やるなぁー、雪月くん! カッコイイぜっ」
「……別に。大したことないわ」
二人は転身し、再び走り出す。卯木は大きな額……『子猫を抱く女』を引きずるようにして持っており、少なくとも警備員たちには必死の逃走を装いながら、美術館を駆け抜ける。
「あーっ、ようやく出くわしたんだよー泥棒さん!」
「うわ、挟み撃ち!?」
曲がり角を抜けた先で、やけに明るい声が正面から届き、二人はにわかに足を止めた。
「ほら千歳飴くん、泥棒さんだよー! 絵も持ってるし、捕まえなきゃ!」
「おお。不審人物」
立ちはだかったのは新聞記者、
三ヶ島 葵
に、警備員の
千歳飴 楓子
……と言っても、その顔は変わらずどうにもやる気に乏しく、だるそうではあったが。
「悪いが、泥棒は見逃すわけにはいかない。何故なら、楓子がクビになってしまうからだ。クビになったら、楓子は給料が貰えないのだよ」
「な、なんかやりづらい警備員だなぁ……! どうする、雪月くん?」
「…………」
卯木の言葉に、黙したまま釵を油断なく構えた雪月。無表情ながらに鋭い瞳に見据えられ、千歳飴は両手を上げ、
「おっと。暴力はやめていただきたい。自慢じゃないが、楓子は弱い。そこでどうだろう、ここはひとつ、話し合いで解決してみてはどうだろうか? 楓子としてはお金をもらえればそれでいいので、適当な金額を提示してもらえれば、この場は目をつぶらないことも無い」
「ちょっと千歳飴くん、警備員から買収を持ちかけてどうす……」
電光石火、と呼ぶにふさわしい、雪月の蹴りだった。背後から追手が駆け込んでくる中へ、ぱん、と小気味の良い音が響いたかと思うと、千歳飴はあっさりと床へ倒れ込んだ。
「……無念。楓子は無力だった……」
「よ、弱すぎるよ千歳飴くん……!」
「が、このままでは楓子は、給料がもらえない」
「せめて、抵抗のひとつもしておかなければ」
それは千歳飴の意地か、あるいは金への執着だったのかもしれない。あるいは、単なる八つ当たりか……ともかく意識を失う直前、彼女はゆらゆらと頼りなく腕を振り上げ、握り込んだ何かを侵入者へと投げつけた。
「危ないっ、雪月くん!」
「っ!」
とっさに雪月をかばった卯木へ、最後の力を振り絞り千歳飴が投げたのは、何枚かの硬貨。彼女は自身の持つ特徴的なろっこんを発動させ、卯木の身体へとぶつかった瞬間にそれらを蜂蜜へと変えると、がくりと顔を伏せ昏倒した。
「な……なんだこりゃー!? ベタベタする!」
「……衛、逃げないと」
「くっそー、ここまでか! 覚えてろー!」
雪月が蜂蜜でベタつく彼の手を引きながら、ポケットに忍ばせていた煙幕花火を床へと叩き付けると、激しく噴き上がった白煙が、瞬く間にあたりを包み込んでいく。
三ヶ島は直前にカメラを構えシャッターを切り、二人の姿を捉えることには成功したものの、煙が晴れたところに人影は無く……そこには『子猫を抱く女』が、床へとその身を静かに横たえていた。
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3人まで
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コメディ
推理・サスペンス
バトル
定員
20人
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20人
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シナリオガイド公開日
2016年03月02日
参加申し込みの期限
2016年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月09日 11時00分
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