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悪徳は芳しき香りに満ちて
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【取引】
警察は迅速であったにも関わらず、その到着は半歩ほど遅かったと見て良いだろう。
八咫 鏡
に手抜かりは無かったとしても、それだけ侵入者らの手並みは見事なものだった。
(もちろん称賛はしませんが、ね)
絵を、拾い上げる。『子猫を抱く女』を。大きな額を手近な壁に立てかけ、しげしげと眺める。
「どうも連中、ここで諦めて、絵を置いて逃げたようですなァ」
金色のレリーフがあしらわれた手帳を見せながら、警察官の一人が歩み寄り、同じように絵を眺めて言った。
「大掛かりで、計画的な犯行だ。セキュリティを突破して盗み出し、贋作を幾つも用意して撹乱、混乱に乗じて逃走を図る……ま、少々詰めが甘かったようですがね。おたくの警備員の優秀さを見落としていたようですよ、お手柄ですな」
「……優秀?」
横柄な警官があごで示した先では、頬に白いガーゼを張り付け、床にへたり込んだ
千歳飴 楓子
が、ゆるゆるとこちらへ手を振っている。処置は大げさながら、怪我と呼ぶほどもない程度の被害だそうだ。八咫は額に手を当て、力なく首を振った。
「で、こいつですが……本物ですか? 本物に見えるが、私ゃ芸術は門外漢でね」
鼻先を近づけ、まじまじとそれを見つめる警官の後ろで、八咫は深く、深く嘆息する。
見れば分かる。八咫とて専門外であり、絵画の真贋など見分けが付こうはずも無いが、それでも侵入者の手並みを考慮するなら、確信することができた。これは、『偽物』。贋作だ。
「……ええ。もちろん、『本物』ですよ、これは」
「そいつは何より。それでは本官はこれより、泥棒どもの足取りを追いますので」
去っていく警官の背を見送ってから、もう一度『子猫を抱く女』、その贋作へと目をやり……窓の外、遠くの空を見つめて。
(まったく……正義というやつは)
眼下では、100号の大きなキャンバスをトラックへと積み込む、作業着を着込んだ二人の男の姿が見える。確か、貸与期間が終了した絵を所有者の元へと返送する、という予定があったはずだ。配送を依頼したのはいつも使っている馴染みの美術品専門の輸送会社で、二人の男はその職員だろう。美術館においては別段、不自然な光景ではない。
八咫は目を細め、つまらなさそうにその光景を見下ろし、しばし眺めてから。やがてぷいと視線を外して踵を返すと、千歳飴を無理矢理に立ち上がらせ、館内の被害状況のチェックへと向かった。
かくして彼らは、街外れのとある廃材置き場……すなわち取引現場へと、今、顔を揃えている。
「ご希望の絵を持ってきたわよ、
黒崎 俊介
」
「
桜栄 あずさ
くん、友人に恵まれているようだね。では、見せてもらおうか?」
桜栄の声に応じるように姿を現した黒崎は、話に聞くように、確かにそれほど高圧的でもなく、明らかな敵意を滲ませるでもなく、少しばかり小綺麗なだけの、ごく普通の青年に見えた。しかし、背後にずらりと立ち、小銃や拳銃を構えた黒服の男たちに目をやれば、その本性、裏の顔を覗き見ることができた……加えて今は、
矢萩 咲
もまたその列の中央へと加わり、ぎらぎらとした瞳をこちらへと向けている。
あずさが振り返りうなずくと、作業着を着た二人の男が進み出る。彼らは野暮ったいモスグリーンのジャケットを翻して派手に脱ぎ去り、
「今回の仕事も、なかなかに楽しめたよ」
正体を現した一人は
鴻上 彰尋
であり、もう一人は、
「さあ、とびきりの美人とのご対面だ。堪能するといい」
八神 修
だった。
キャンバスに収められている絵は、どこかぼやけたような印象の、ピンと来ない風景画。八神がそれをひっくり返し、キャンバスの額を外すと、
「……なるほど。絵を、絵の中に隠したのか」
重ね合わされた絵が、二枚。風景画の下から現れたのは、紛れも無く、『子猫を抱く女』の真作だった。
八神は贋作を幾つも用意し撹乱しながらも、本物を別の絵画、それもあまり目を引かないような凡作で、近日中に美術館から出される予定のある絵の下へと隠した。二段、三段重ねの仕込み……それらが功を奏し、彼らは配送会社を装って堂々と保管庫から絵を取り出し、ここへと運んだのだ。
黒崎はその策に敬意を表するように、ぱちぱちと手を叩き、彼らの他には人気の無い周囲へと、乾いた音を響かせた。
「お見事だよ。桜栄くんが君たちを頼ったのは、正解だったというわけだね」
「……本物かどうか、確認しなくていいのかしら?」
黒崎の鑑定眼を試すような桜栄の言葉だったが、彼は肩をすくめ、
「君たちを信じるよ。それにもし、僕がこの場で、そんなヘタを掴んだのだとしたら……」
目くばせ。背後の男たち……そして矢萩が、それぞれの武器の矛先を、こちらへと寸分違わずに向ける。呼応するように、
サキリ・デイジーカッター
や
御剣 刀
が閃く刀身を抜き放ち、
レイ
が数本もの矢を一度に番え、にわかに空気が張り詰める……が、黒崎が両手を振り、それを遮った。
「まあ、まあ。例え話さ……言ったろう? 僕は君たち、プロを信用している。もちろん約束通り、報酬だって支払うとも」
抑えがたく、ブレードの鍔をかちかちと鳴らしながら、矢萩は不満そうに、今にも噛みつきそうに歯を剥き出して、
「……黒崎さん。良いんですか? あなたの裏の顔を知った奴らは全部、始末しておいたほうが良いと思うけど。ねえ、命令してくださいよ? 僕に、殺せって。斬り刻んでやれって……断ち割って、抉り抜いて、それから……ふ、フフ。くフフ……!」
「必要とあらばその時は存分に、ね。矢萩くん。でも今は、無しだよ」
『凶剣』は猟奇殺人者の類ではあったが、行為に及ぶために必要な何たるかを熟知する、理性的な面も持ち合わせている。パトロンの意に反するつもりは無いらしく、鋭く一瞥したのみで刃を鞘へと納め、引き下がった。
「じゃ……これにて、取引成立ね?」
「もちろん。報酬は既に振り込んであるよ、確認しておいてくれ。桜栄くん、君の借りについても約束の通り、全て水に流そうじゃないか……君たちとは、末永い付き合いをお願いしたいものだ。感謝するよ、泥棒くんたち」
ひらりと手を振って、すぐにも黒塗りの車へ『子猫を抱く女』を積み込み、黒崎は去っていった。
数刻の後。黒崎の姿は、街の片隅に建つとある瀟洒な洋館、その地下室にあった。
地下室は倉庫のようで、未整理のまま雑多に様々な物品が置かれている……絵画。彫像。宝石に装飾品。歴史的な価値もありそうな書物や遺物など。美しく多様な美術品の数々に囲まれながら、黒崎はそれらに昂揚するそぶりもなく、壁にかけられた『子猫を抱く女』を平坦な顔で眺め、つぶやく。
「こんなものを手に入れるのに、幾ら金を積んでも惜しくは無いなんて人種がいるとはね。理解しがたいな……」
「でもそのおかげで、君の懐は潤うんでしょ?」
少女……いや。その男の訪れは常に唐突で、脈絡が無い。黒崎と近しくして、幾つもの顔を持ちどこにでも入り込み、暗躍する。
「やあ、お仕事ご苦労様!」
葛木 明日斗
。あるいは、情報屋の『クズ』。またある時は、暴力と狂気によって語られる、犯罪組織の大幹部。
「……『七星』の『破軍』殿。あなたにご紹介いただいた依頼人のおかげで、良い取引ができたよ」
「それは何より! ところで、例の話は考えてくれたかな? 聡明博識にして文化芸術の暗部を取り仕切る君には、大幹部『文曲』の席を用意してあるんだけどな」
「いやはや、身に余る光栄だね。でももうしばらくは、僕は僕の好きにやっていたいんだよ。表の顔もあるしね」
「そう? 我が組織はいつだって、『クロサキ機関』の合流を歓迎するからね。そうそう、君のところの、矢萩さんだっけ? 彼女も優秀だよねぇ、紹介してくれないかなぁ? それに、八咫さんもやっぱり素晴らしいんだよねぇ、僕のところに来てくれないかなぁ……」
大様にして高みの見物を決め込むことが多い葛木だが、今回の件に関わるに当たっては、ヘッドハンティングも兼ねていたらしい。ひとしきり矢萩の勧誘をのらりくらりと黒崎がかわしたところで、葛木もまた目の前の絵画をふと眺め、そして、笑う。
「それにしても、さ。アマヨイカヲルも、涙ぐましいもんだね!」
「ああ……依頼人は確か、そんな名だったね。何でも、著名な芸術家だとか?」
類稀な才を持つ現代アーティストの一人として、『アマヨイカヲル』の名は知られている。精緻極まるリアリズムを追及する姿勢は、幅広いジャンルの作品において彼女を一流のアーティストたらしめている……という世の評価だが、黒崎には興味のないところではあった。
そしてアマヨイカヲルのプロフィールにはもう一つ、彼女の知名度を高めるに足るエピソードが付随されている。それは必ずしも真実であるとは証明されない、あやふやな噂のような逸話ではあったが、
「自分の本当の父かもしれない、瀬島 作太郎の作品を、手元に置いておきたいだなんてさ! 法を犯してでも……まぁ表社会の人間とはいえ、金払いの良いパトロンを無下にはできないよね。だから僕らもこうして頑張ったわけだけど、泥棒さんたちに情報を流したりさ」
「その働きもあって、絵は手に入った。後は、依頼人との取引を終えるのみだ」
感慨深げに、絵を眺める。『子猫を抱く女』。黒崎の抱く感情は決して、その美麗な筆致を前にしての幸福ではない。
「それについては、また連絡するよ。それじゃ、次は同胞として、乾杯ができることを願うよ。じゃあね、黒崎君」
葛木は現れた時と同じように、闇に溶けるようにして姿を消し。黒崎もまた、勝利の美酒のひとつも味わおうと、倉庫を出た。
……あまりにも静かな沈黙に包まれた空間で、黒崎が絵画へと少しでも興味を持ち、顔を寄せじっくりと鑑賞しようなどと試みたなら、あるいは彼とて、気付いていたかもしれない。
額装の裏から、一定のリズムを刻み聞こえてくる、ほんのかすかな信号音に。
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墨谷幽
前回シナリオ
悪徳は小粋な調べに乗せて
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
コメディ
推理・サスペンス
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
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シナリオガイド公開日
2016年03月02日
参加申し込みの期限
2016年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月09日 11時00分
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