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悪徳は芳しき香りに満ちて
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【露顕】
事の勝敗を明確にするなら、美術館での夜。あの時にはとうに、それは決していたと言っていいだろう。
黒崎は、気付いていなかった。
「もう。意地が悪いですわ、黒崎さん」
「何の話だい?」
城山 水樹
は未だ画商を名乗るのを止めてはいなかったが、そんな必要もすぐに無くなるだろう。それを思えば、スーツ姿で身なりの良い絵画ディーラーなど演じ、報復すべき相手の怪訝そうな顔の前で超然と足など組み替えて見せるのは、事のほか気分が良かった。
「『子猫を抱く女』が欲しい、だなんて」
「ああ、この前のことですか? ふふ、あれは冗談で……」
「黒崎さんが望めば、どんな絵だって、いつでも手に入れることができるのだと。お許しくださいね、あなたの裏のビジネスのことなんてちっとも知らずに、一介の画商が、生意気なことを申し上げてしまって」
黒崎は顔色を変えなかった。ただ、細めた瞳がにわかに、危険な色を帯びただけだ。
もっともそれとて、身一つの城山は意に介さない。
「……何の話かな。僕の、何だって? 裏ビジネス?」
「ええ。だって、大々的に紹介されていましたもの」
鞄から新聞を取り出し、デスクへ放り投げてやった。あえて広げてやる必要も無い、何しろ一面トップを、彼の顔が飾っているのだから。
「こ……これは!? 一体……」
「今日、この後発売になる夕刊です。知り合いの記者さんに頂いたんです」
見る者が見れば、それが森繁美術館の一角にて撮影されたものだと分かっただろう。写真には、後ろ姿の
桜栄 あずさ
と、彼女から、美しい絵画……あの『子猫を抱く女』に勝るとも劣らない、国宝級の名画を受け取る、黒崎の姿が大きく取り上げられていた。それは紛れも無く黒崎本人に見えたが、彼自身には全く覚えが無かったことだろう。
見出しには、こうあった。
「『新進気鋭の若手実業家が営む黒いビジネス、美術品闇ブローカーの実態』……何だ、これは!?」
「さあ、私には良く分かりませんけれど。それにしてもうらやましいですわ、このような傑作を個人的に、いくらでも鑑賞できるだなんて。あなたのコレクションはさぞ素晴らしいものなのでしょうね、一度拝見させていただきたいもので……」
「く……これは、合成だ! ペテンだ、一体どこの誰がこのような……絶対に、絶対に許さんぞ……今日の夕刊と言ったな? 発行を止めさせなければ、圧力を……くそ!!」
慌ただしく電話を取り上げ、外聞も無く怒声を張り上げ始めた黒崎を残し、城山は仮の肩書きをその場に放り捨て、颯爽とオフィスを後にする。
「ふふっ……当然の報いと知ることね。黒崎くん」
外へ出れば、青空の下。緩く心地良い風へと身を晒したところで、
「どうだったー?」
件の夕刊を広げた
三ヶ島 葵
が声をかけた。
「ええ、効果覿面というところね。慌てふためいてたわ」
「あの黒崎が? それは痛快なんだよー♪ これで『クロサキ機関』も、一網打尽とはいかなくとも、しばらく大人しくせざるを得ないだろうねー。城山くんは復讐を果たして、私も思う存分楽しい記事が書けて、万々歳なんだよー」
とはいえ、あの中沢のように、黒崎へと再起不能なまでの打撃を与えてやったわけではない。何しろ、彼の裏の顔は幾つもある……そのうちの一つを潰してやっただけだ。
それに、この街の闇は思いのほか、深い。黒崎をもあごで使うような、巨悪が隠れていないとも限らない。その時は、きっと城山も再び、自ら暗闇へと足を踏み入れることになるのだろう。
「そうそう、ここには載せられなかったけど、彼女のコメントが面白かったんだよー」
「彼女って?」
三ヶ島の手元をひょいと覗けば、中ほどの小さな記事に掲載された写真の中で、
千歳飴 楓子
が無表情に、カメラへ向かってピースサインをしている。意識を失いながらも必死に抵抗し、不埒な泥棒の手から名画を守り切ったとして、記事には彼女への称賛の言葉があふれていた。
「『警備員より、泥棒のほうが儲かりそうだな』……って。ぽつりとねー」
「それは……ええ。否定はできないわね」
リスクを負う覚悟と引き換えに、ではあったが。
と、城山はふと思い出し、
「ところで、あの一面の写真。どこで手に入れたの?」
「ああ、あれはねー。知り合いの、富松さんて同業者さんから流れてきたものなんだよー。ふふ、一体どうやって撮ったのかなぁ? 気になるよねー」
廃ビルのアジトにて、祝杯とともに。
壬生 由貴奈
もまた発行前の新聞を広げ、のんびりと。
「へぇー、『結果』がこう動くとはねぇ。『警視庁は今日にも黒崎氏の所有する邸宅の家宅捜索に乗り出すことを決め』……」
「なるほどなー。あの時、如月と屋敷野、だっけ? そいつらがラブレターとか言って仕込んでたの、発信機だったんだなー」
卯木 衛
がひょいと横からそれを覗き込み、感心したようにうなずく。
逃走の助けとなる代わり、
如月 庚
と
屋敷野 梢
が5秒間で『子猫を抱く女』へと差し込んだ仕掛けは、黒崎のアジト、彼の営む闇ブローカーとしての活動拠点を割り出し、彼らはそれを警察へとリークしたらしい。
さしたる報酬にも繋がらないだろうその行いに、卯木はどこか機嫌良く、
「厄介事請負人かー、何でも屋の俺と、ちょっと気が合いそうだよな」
「そうかもねぇ。何にしても、お仕事は成功……報酬の分け前ももらったし、良かったよねぇ」
「おー、そんで結構、楽しかったぜ!」
「うちもだよぉ」
こちらも上機嫌、
桜栄 あずさ
が腕を突き上げ、
「みんなありがとー、おかげで助かっちゃったわ。よし! 乾杯しましょ、乾杯! 成功を祝って!」
陽気に声を上げると、かちん、かちりと合わせたグラスたちが凛と震えて、小気味よい音を響かせた。
「よう。ところで、富松さんよ?」
ぐいとカップをあおり、ふと、
夜海霧 楓
が言う。
「あの写真のネタを、そろそろこいつらにも、明かしてやっちゃどうだ? 傑作だったぜ、あれは」
「ああ、あれかい?」
言われて
鴻上 彰尋
がうつむき、両手で顔を覆ったかと思えば、次の瞬間、
「……あなたのそれ、本当に心臓に悪かったわよ? 美術館に突然、黒崎が現れるんだもの」
唇をとがらせた桜栄へ、一瞬にして黒崎の顔となった鴻上は、ふわりと微笑んで見せた。いつの間にやら髪型までそっくりで、あの黒いブランドスーツへと着替えたなら、もはや頭頂から靴先まで、黒崎そのものだ。
鴻上はそうして黒崎を装い、後ろ暗い彼のビジネスのワンシーンを演出して写真に収め、鹿島 あおいこと三ヶ島へと送ってやった。でっち上げではあったが、黒崎にとっては言い逃れのしようもない真実であり、大きな打撃となったことだろう。
鴻上は事も無く、言う。
「ちょっとしたイタズラさ。ちょっとした、ね」
「……あら? 私、何をしていたのかしら?」
ぱちりと目を開け、ソファから身を起こした
桧垣 万里
は、しばし呆けたようにまばたく。
前述の写真を撮影したのは、実のところ他ならぬ彼女……もしくはその兄であったりするのだが、すぐにも手櫛で少しばかり乱れた髪を整えると、万里はいつもと変わらず、にっこりと朗らかな笑みを浮かべ、
「いつの間にか、お仕事はすっかり終わってしまったようですね。良く分からないけれど……とりあえず。お茶にしましょうか?」
「美味しいお茶をお淹れしますね♪」
一仕事を終え、程よい疲労を覚える彼らの身体に、熱い茶は染み渡った。
昼時、多くの客たちであふれかえる森繁美術館。特別展示フロアの最奥にて、
八咫 鏡
は少なからずの自嘲とともに、考える。
自身が志す正義とは、一体いかなるものであるのか、と。
視線の先には、『子猫を抱く女』。泥棒連中が残していった贋作のひとつではなく、紛れも無い、本物だ。間違いは無い……何せ今朝方に、八咫自身がそこへと戻したのだから。
「ま、そう深く考えるこたねぇんじゃねぇか?」
「そーそー! 全て丸く収まって、喜ぶべきじゃないですかー?」
如月と屋敷野の気楽な言葉に、八咫がそうだとばかり素直に迎合することは無い。少なくとも、手放すべきでない矜持というものが、八咫にはある。
それでも、認めざるを得ないこともある。
「確かに……話に聞く巨大犯罪組織、『クロサキ機関』のアジトのひとつを潰すに至り、こうして無事に絵も戻りました。一度は盗み出されたと、私以外の誰もが気付かないままに」
あの夜。八咫は停電が引き起こした暗闇の中、二人に持ちかけられた取引を、苦渋の内に呑んだ。如月や屋敷野のことは、中沢邸の一件を通じていくらか知ってはいたし、奇妙な表現ながら、ある意味で信頼のおける相手であることは分かっていた……その上で、あえて一度彼らへと絵を託し、発信機を仕込んだそれを黒崎の元へ運ばせることで、彼の拠点のひとつを暴き出した。
その後は、警察がもぬけの空となった邸宅へ踏み込む前に、二人は倉庫に収められていた『子猫を抱く女』を回収し、美術館へと戻した。全て、約束の通りに。
八咫らしからぬ選択ではあった……しかしそれは確かに、時に何かを曲げたとしても貫くべき、八咫なりの冷徹な正義が息づく決断だったのだ。
「でも、勘違いはしないでくださいね?」
全てがつつがなく終わり、何もかもが元通りとなった今、八咫は断ずる。
「二度目はありません。次に私の前へ姿を現した時には、遠慮なく捕縛させてもらいます……あなたたちも、彼らも」
「そーですか? まーそれも仕方が無いですねー」
「肝に銘じておくさ。また会うこともあんだろ……それじゃあな」
多くの客たちと同じように、正面玄関から何はばかることなく、彼らは立ち去って行った。
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3人まで
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コメディ
推理・サスペンス
バトル
定員
20人
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20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年03月02日
参加申し込みの期限
2016年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年03月09日 11時00分
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