【ネコミケ冬】楽しいネコミケ１日目、はじまるよー！｜リアクション

【ネコミケ冬】楽しいネコミケ１日目、はじまるよー！

　月詠は普段どおり、マイペースに語っていく。美咲紀は新聞部らしくまめに取材し、ほくほくとした笑顔になる。そんな様子に珠喪は珠喪で「これもまた楽しいもんじゃ」と久々のネコミケを心から楽しんでいる様子だった。
（しかし、思わぬところで反応がありましたねぇ）
　兎耳でわかったのかな、と思いながら舞華は他にも色々模索してみよう、とか思うのだった。

　一方、その頃。コスプレ会場にいる仙藤紫はというと……？
「こっちむいてくださーいっ！」
「ええ。どうぞ、ご覧になって」
　美咲紀がカメラを向けると、紫は悠然とした笑顔でポーズを決める。どことなく『傾国の美女』に相応しい雰囲気をかもし出し、カメラのフラッシュが瞬く。
　尚のコーディネートにより出現した古の美女に何人もの人が撮影をお願いする。それほどまでに紫の姿は美しく、被写体にしたいと思うほどであった。紫自身も衣装のお陰か、ネコミケの熱気に中てられたのか、だんだん自分の中に貂蝉が乗り移ったかのような振舞いをごく自然にするようになっていた。これが様になっているのでより撮影希望者が出るようだ。
「私の目に狂いはなかったわねっ」
「そう言う大橋先生もなかなか様になっています～っ！」
　撮影される紫を傍らでうんうん頷きながら見つめる大橋尚。後からやってきた美咲紀に「是非呂布と貂蝉　のツーショットも取りたい！」とお願いされ笑顔で頷く。

（こういうのも、たまには楽しいわね。もしかして、意外と嵌ってしまうかも……）
　写真を取られながら内心でぽつり、と零す紫。彼女は愁いを帯びた表情で時計を見、この楽しい時間が終わるのは勿体無いな、と思ってしまった。
「あら、異国の武人かしら？」
「ほぅ、武人と聞くと興味が出るな」
　ふと、紫がそういえば呂布になりきった尚が目を向ける。と、そこにいたのは軍服や和装に武具を着けたような姿の後木真央と八神修であった。２人は最近話題になっているゲーム『剣霊舞闘会』の登場人物のようだ。
　修は太刀のキャラクターのコスプレを選んだ。黒い軍服のような衣服に、和鎧の肩当、黒い指貫グローブという井出達で、なかなか様になっている。傍らの真央もまた紺色の軍服に見える衣服に、和鎧の肩当となかなか様になっている。正しこちらはハーフパンツで、何処となく幼い少年にも見えなくも無い。因みに真央は短刀のキャラクターであるそうだ。
　２人とも腰には刀を模した小道具も下げている。
「これも取材の一環。さぁ、堂々と胸を張って行こう！」
「はいなのだ！」
　こんな調子で意気揚々と繰り出した２人なのだが、真央はすぐさま傾国の美女となった紫をみつけ、普段のペースになっていた。
「ふおおっ？！　傾国の美女がネコミケに降臨しちゃってたのだ！　これは勿論写真におさめねばなのだ～！！」
「うふふ、落ち着きなさいな。逃げも隠れもしなくてよ？」
　はしゃぐ真央に対しても、紫はにっこりと落ち着いて対応し写真を取らせてくれる。修が「友達がはしゃいですいません」と思わず苦笑する。だがその様子は勿論美咲紀に見られており、なんか興奮した様子でなにやら呟いているのが印象的だった。
（お、おいミサキューリ。なんか一瞬背中がぞくっ、としたんだが……）
（うぅん、『剣霊舞闘会』のキャラとは！　シュー君のキャラと真央ちゃんのキャラの本たしか見かけたですっ。なんかそのシーンみたいでハートがきゅんきゅんしますぅ！）
　まぁ、それはともかく、と気を取り直そう、と思う修。
「これはこれで様になっていますね。あ、ちょっと待ってください」
　素敵ですね、とにっこりする尚が何かに気付く。どうやら肩当の紐がほどけかけていたらしく、それを結びなおしてくれたようだ。修が礼を述べれば尚はやんわりと頷く。美咲紀はその光景にもなんか閃いたようだ。
（なんかこれはコレでいい感じです～っ♪　異国の武具の精に触れる呂布というのも面白いです！）
　夢の翼が羽ばたくっ！　と興奮する美咲紀だが、そんな様子にも紫は全く動じない。修と尚はなんだか嫌な予感がしたが真央は「気にしないほうがいいのだ」とどこか諦めた目で見ていた。

「皆凄いなぁ」
　コスプレする人々を見、夏朝がため息を吐く。キャットアイランドに関する本や猫さんグッツなどを購入し、帰宅しようとしていた夏朝だが帰る前にすこしコスプレも見ておこうと思っていた。因みに、タルトとみゆきから別に本名を呼んでもいい事を教えられ、ちょっと安堵している。
　その途中で魔法少女の格好をした人をよく見かけ「前に魔法少女になった事もあったっけ。懐かしいなぁ」なんて呟いてしまう。話を聞いてみると、やはりコスプレにも流行り廃りがあるようで、現在は魔法少女が結構人気なのだそうな。
「あら、恵御納さん。貴方も来ていたのですね」
「大橋先生、こんにちは」
　そこで尚に出くわし、夏朝は凛々しい姿の彼女に思わず見とれる。流石先生だなぁ、と思っていると後では紫や修、真央が撮影に応じている。楽しそうにしている姿を見ていたら、何故か先日の勉強会の際、尚の家で着せてもらったふわっふわな猫耳フードな魔法少女服を思い出していた。
「今度は、僕もやってみたい……かも」
「その時は色々相談に乗りますよ。恵御納さんもかわいいし、似合うでしょう」
　尚にそういわれて照れてしまう。夏朝は、コスプレも楽しそう、と改めて思いながらその光景を楽しんでいた。

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