【ネコミケ冬】楽しいネコミケ１日目、はじまるよー！｜リアクション

【ネコミケ冬】楽しいネコミケ１日目、はじまるよー！

結：今日はお疲れ様でした。

　ここでカメラを一旦旧市街に。
　自宅に戻ったアンナ・フジワラはあれから何度も購入した本を読んではため息を吐いている。食事もそこそこに、彼女は漫画の世界に浸っているようだった。
（最期のシーンがすっごく泣ける……。何度も泣いちゃう……）
　今開いているページは、ミュージシャンの女性と女子高生の想いが通じ合ったシーン。満月の下、ビルの上で女性はそっと女子高生にこう声をかけるのだ。
　――『月が綺麗ですね』、と。
（あたしもこんな恋、してみたいな）
　そう思いながら外を見ると、まだ夕方というぐらいだろうか。そろそろネコミケも終わる頃だろう。
（今度行くときは、ちゃんと年齢制限の有無も確認しよう）
　そう心に誓うアンナだった。

　カメラをネコミケの会場に戻して……。

「一杯買えたのだ。この本なんか修ちゃんっぽくてついついお土産に渡しちゃったのだ。見るのだ美咲紀ちゃん、真央ちゃんのこの戦利品を！欲に踊らされた愚者を崇めて褒めるといいと思うのだっ」
「なんだが真央ちゃん見ていると『人の振り見て我が振りなおせ』って言葉が出てくるのです」
　後木真央と椿美咲紀がそんな話をしていた。２人とも帰る準備をしており、八神修が妙に苦笑している。というより、どこか遠い目をしているのは気のせいだろうか？
「この本とかイケるのだ。表情がそそるのだ」
「クローム×サガミ本も人気ですねぇ」
　そんな会話に、益々修の表情が白くなる。因みに近くにいた彼以外には聞こえないほどの音量なので一応気を使っている、らしい。
　そんな会話に対し、修はとりあえず気を引き締めて聞き流そう、と思うのだった。

「ネコミケって奥が深いんですねぇ～」
「そうだな……」
　本居陽毬と水守流はそんな事を言いながら会場を後にした。二人とも色々と満足の行く買い物が出来たのか、その表情は明るい。
　あの後コスプレ会場へと行った２人だが、レベルの高いコスプレに思わず見とれたり、一緒に写真撮影したりととても楽しかった。
「何かを出すにしろ、コスプレするにしろ、準備が大変そうですね。でも、やってみたいなぁ」
「やるならがんばれ」
　少し憧れを持って呟く陽毬に、流は相槌を打つ。彼自身は出店やらコスプレは考えていないようだが、陽毬がするなら応援したいな、と思うのだった。

「そろそろ時間ですね」
「結構短く感じる物だね」
　檜扇舞華が時計を見ながらテキパキと撤収準備を始め、旅鴉月詠が頷きながらテーブルにあったぬいぐるみを手にする。片付けを始めた他のサークルの様子を見ながら、舞華は静かにため息をついた。
（サークルはどんなに売れても赤字なのです）
　それに、作品をより多くの人に届けたいと思っている。だからこそ『ストップ徹夜・ストップ転売』を掲げるのだ。
　彼女の活動が今後どのようにネコミケに影響を及ぼすかは不明である。ただ、今朝の行動が話題になったのは間違いない。月詠からねこったーの反応を見せてもらい、手ごたえを感じる舞華は、少し真面目な顔で会場を見るのだった。
「今回、なんでか寝そべりクッションがよく売れたな。寒いからか……？」
　在庫が残り僅かとなった寝そべりクッションを見ながら月詠はふむり、と頷く。購入していた人の半分はネコミケに出店していた人のような気もする彼女は「熱気があっても、冷えという大敵はねぇ」と呟いた。

　斉田珠喪も、片づけを開始していた。売れ行きは上々で、久々にあった知人やファンからも応援してもらえた。それを力にまた『天想マリア』を書いて行こう、と心に決める。嬉しい出会いもあったし、ファンから二次作品をもらったりもして、色々と今回は楽しめたように思う。
「さて、早速最新話も書けそうじゃの」
　自然とやる気が漲ってきたが、同時におなかが空いてきた。たまには、きつねうどんでも食べようかな、なんて考える珠喪だった。

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