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- 00月00日生 00歳
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【ネコミケ冬】悪質カメコを撃退せよ！ 戦う☆コスプレイヤー
「ちょーヒトいっぱいいるすっごい」
「全然分かんないけどすっごい」
企業ブースに押し寄せた始発組と呼ばれるグッズ購入者達の起こす人の津波が一定まで落ち着くと、エリセイ・ジュラヴリョフとレナート・ジュラヴリョフは興奮と驚きを顔に貼り付けたままこう感想を述べていた。
——シーサイドタウンの寝子電スタジアム。同人誌即売会ネコミケ・二日目。
大道寺 紅緒の要請で会場へやってきていた友人グループは、まず楽屋を訪れる予定で、紅緒の著作を出版しているNY文庫のブース裏に集まっていた。
丁度そこでは、『魔法軍学校の落第王子』通称マホラクの公式コスプレイヤーたちが、登場時間を前にスタッフと最終打ち合わせを終えたところだった。
「こちらが今日手伝いをして下さる方々ですわ」
紅緒——否、今日はいとぐち 紅と呼ぶべきだろう彼女が、出版社とモデル事務所のスタッフを連れてこちらへやってくる。彼女は今日ステージに登壇するとあって華やかなドレス姿なのだが、いつもがいつもな上に、今日は周囲の方が派手だから面白い。
「態々ご足労頂き有難うございます」
ボランティア警備員たる御剣 刀と響 タルトと佐藤 英二と篠原 翠響に、スタッフは社会人のする挨拶を一通り終えると「本日は宜しくお願い致します」と恭しい程の礼と笑顔で去っていった。
学生の身では中々触れる事のない大人の世界を垣間見て、彼らは顔を見合わせて息を吐き出す。そして揃って前を向いた時、彼らの目にぷるぷると小動物のように小刻みに震える少女が映った。
「な、な、なな、ななな」
まさに言葉にならない声を漏らしているその姿が、いつも通りだったら微笑ましかったが、何せ今は現実世界ではお目にかかれない派手な衣装で全身を包んでいる状態だ。
ファンタジー世界のお姫様戦士が慌てふためく絵面のアンバランスさに、双子は無神経にも「ぶへっ」と吹き出してしまう。女性に対しての非礼に、英二が「ダメですよ」と小声で言って聞かせるのを聞いて、刀は「あれか」と納得した顔で彼女へ向き直った。
いつものブルネットのミディアムヘアスタイルは、黄色とピンクのグラデーションのロングヘアスタイルのかつらに隠れ、１５歳にしては豊満な体型を、惜しげもなく晒すビスチェとミニスカートに、目に痛い色のボレロ風ジャケットをセットアップにしている。
撮影用の濃い化粧も相まって、記憶の中の彼女と同一人物には見えない。
同窓の女性徒——伊橋 陽毬の、同じ教室で過ごす彼女とは全く別人のような化けっぷりに、刀は素直に感嘆した。
「伊橋こんにちは。本当に別人だ、驚いたよ」
「なななななんんでっ！？ タルトちゃんと英二くんは分かるけどっ！ エリレナ先輩も分かるけどっ！ なんで刀君がここにいるの！？ み、翠響ちゃんもオタだったの！？」
陽毬はさも混乱していますと両手を落ち着きなく動かして、友人たち一人一人へぶんぶんと風の音が鳴りそうな勢いで顔を振っている。おたく少女であることを公言しているタルトや、なんとなくそう言う雰囲気を感じ取っていた英二、弟あるところに在るエリセイとレナートの登場には驚きはなかったが、一般生徒と思っていた刀や面識の少ない翠響の存在に、準備をしていなかった心臓がひっくり返ってしまっていた。
「もしかして紅緒ちゃんが！？」と哀れなほど情けない声を出し、普段と違って綺麗に化粧が施された顔を両手で覆ったものの、耳まで染まった真っ赤な色から彼女の混乱は友人へ伝わってしまう。
「照れることないじゃん、似合っているよ」
にこっと笑顔を向けられても「………………有難う」と、蚊の鳴き声の如きか細さで返すのがやっとのようだ。刀の方はすっかり化けた彼女も見つけられたことに、友人として満足している顔である。
二人のギャップにタルトはくすりと微笑んだ。
「まあまあ陽毬ちゃん、こっちもコスしてるから大丈夫だよ〜♪」
刀は武装を持ち込む為に——刃引き刀を持って行こうとしたところ、紅緒がより安全な資料用の私物である舞台用の竹光を貸してくれた——渋い雰囲気のファンタジー刀剣士の姿をしている。
翠響もまた、マホラクに登場する衣装を着ていた。陽毬の着ているような露出度の高い戦士服ではなく、プリーツが可愛らしいアニメチックな学生服だ。
同じコスプレイヤー同士、過剰に照れなくても大丈夫だよと言うタルトのアドヴァイスに、陽毬は顔を覆っていた指をそろそろと剥がし始めた。
「ご、ごめんね取り乱して……。オタバレする事がやだったんじゃないんだけど…………恥ずかしくて！」
「勝手に話してしまったのは申し訳なかったけれども……。ねえ陽毬、皆は貴女を心配してきてくれたのよ？」
「え！？ 有難う……！ 嬉しい！ 嬉しいよぉ……でもぉ…………無理超はずい！」
頑張ったけれどこれ以上は耐えられない！ 陽毬は挨拶もそこそこ、バックステップで進み、同じマホラクの公式コスプレイヤーの物陰に隠れてしまった。
一人は陽毬より背の高い女性で、モデルらしく一般人より細長い手足を陽毬を上回る露出の高い衣装に包み、艶やかな唇に妖艶な笑みを浮かべている。こんにちはと何でもない挨拶すら、どこかセクシーな響きを持っている、美希と言う芸名の雰囲気のある美女だ。
そしてもう一人、全身が黒い衣装の方は、旧市街はミルクホールの末弟——イリヤ・ジュラヴリョフだった。
「全然分かんないけどすっごい」
企業ブースに押し寄せた始発組と呼ばれるグッズ購入者達の起こす人の津波が一定まで落ち着くと、エリセイ・ジュラヴリョフとレナート・ジュラヴリョフは興奮と驚きを顔に貼り付けたままこう感想を述べていた。
——シーサイドタウンの寝子電スタジアム。同人誌即売会ネコミケ・二日目。
大道寺 紅緒の要請で会場へやってきていた友人グループは、まず楽屋を訪れる予定で、紅緒の著作を出版しているNY文庫のブース裏に集まっていた。
丁度そこでは、『魔法軍学校の落第王子』通称マホラクの公式コスプレイヤーたちが、登場時間を前にスタッフと最終打ち合わせを終えたところだった。
「こちらが今日手伝いをして下さる方々ですわ」
紅緒——否、今日はいとぐち 紅と呼ぶべきだろう彼女が、出版社とモデル事務所のスタッフを連れてこちらへやってくる。彼女は今日ステージに登壇するとあって華やかなドレス姿なのだが、いつもがいつもな上に、今日は周囲の方が派手だから面白い。
「態々ご足労頂き有難うございます」
ボランティア警備員たる御剣 刀と響 タルトと佐藤 英二と篠原 翠響に、スタッフは社会人のする挨拶を一通り終えると「本日は宜しくお願い致します」と恭しい程の礼と笑顔で去っていった。
学生の身では中々触れる事のない大人の世界を垣間見て、彼らは顔を見合わせて息を吐き出す。そして揃って前を向いた時、彼らの目にぷるぷると小動物のように小刻みに震える少女が映った。
「な、な、なな、ななな」
まさに言葉にならない声を漏らしているその姿が、いつも通りだったら微笑ましかったが、何せ今は現実世界ではお目にかかれない派手な衣装で全身を包んでいる状態だ。
ファンタジー世界のお姫様戦士が慌てふためく絵面のアンバランスさに、双子は無神経にも「ぶへっ」と吹き出してしまう。女性に対しての非礼に、英二が「ダメですよ」と小声で言って聞かせるのを聞いて、刀は「あれか」と納得した顔で彼女へ向き直った。
いつものブルネットのミディアムヘアスタイルは、黄色とピンクのグラデーションのロングヘアスタイルのかつらに隠れ、１５歳にしては豊満な体型を、惜しげもなく晒すビスチェとミニスカートに、目に痛い色のボレロ風ジャケットをセットアップにしている。
撮影用の濃い化粧も相まって、記憶の中の彼女と同一人物には見えない。
同窓の女性徒——伊橋 陽毬の、同じ教室で過ごす彼女とは全く別人のような化けっぷりに、刀は素直に感嘆した。
「伊橋こんにちは。本当に別人だ、驚いたよ」
「なななななんんでっ！？ タルトちゃんと英二くんは分かるけどっ！ エリレナ先輩も分かるけどっ！ なんで刀君がここにいるの！？ み、翠響ちゃんもオタだったの！？」
陽毬はさも混乱していますと両手を落ち着きなく動かして、友人たち一人一人へぶんぶんと風の音が鳴りそうな勢いで顔を振っている。おたく少女であることを公言しているタルトや、なんとなくそう言う雰囲気を感じ取っていた英二、弟あるところに在るエリセイとレナートの登場には驚きはなかったが、一般生徒と思っていた刀や面識の少ない翠響の存在に、準備をしていなかった心臓がひっくり返ってしまっていた。
「もしかして紅緒ちゃんが！？」と哀れなほど情けない声を出し、普段と違って綺麗に化粧が施された顔を両手で覆ったものの、耳まで染まった真っ赤な色から彼女の混乱は友人へ伝わってしまう。
「照れることないじゃん、似合っているよ」
にこっと笑顔を向けられても「………………有難う」と、蚊の鳴き声の如きか細さで返すのがやっとのようだ。刀の方はすっかり化けた彼女も見つけられたことに、友人として満足している顔である。
二人のギャップにタルトはくすりと微笑んだ。
「まあまあ陽毬ちゃん、こっちもコスしてるから大丈夫だよ〜♪」
刀は武装を持ち込む為に——刃引き刀を持って行こうとしたところ、紅緒がより安全な資料用の私物である舞台用の竹光を貸してくれた——渋い雰囲気のファンタジー刀剣士の姿をしている。
翠響もまた、マホラクに登場する衣装を着ていた。陽毬の着ているような露出度の高い戦士服ではなく、プリーツが可愛らしいアニメチックな学生服だ。
同じコスプレイヤー同士、過剰に照れなくても大丈夫だよと言うタルトのアドヴァイスに、陽毬は顔を覆っていた指をそろそろと剥がし始めた。
「ご、ごめんね取り乱して……。オタバレする事がやだったんじゃないんだけど…………恥ずかしくて！」
「勝手に話してしまったのは申し訳なかったけれども……。ねえ陽毬、皆は貴女を心配してきてくれたのよ？」
「え！？ 有難う……！ 嬉しい！ 嬉しいよぉ……でもぉ…………無理超はずい！」
頑張ったけれどこれ以上は耐えられない！ 陽毬は挨拶もそこそこ、バックステップで進み、同じマホラクの公式コスプレイヤーの物陰に隠れてしまった。
一人は陽毬より背の高い女性で、モデルらしく一般人より細長い手足を陽毬を上回る露出の高い衣装に包み、艶やかな唇に妖艶な笑みを浮かべている。こんにちはと何でもない挨拶すら、どこかセクシーな響きを持っている、美希と言う芸名の雰囲気のある美女だ。
そしてもう一人、全身が黒い衣装の方は、旧市街はミルクホールの末弟——イリヤ・ジュラヴリョフだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年02月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年02月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年02月27日 11時00分
