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授業風景 ～１年６組の場合～
７.授業の後に
授業終了のチャイムが鳴り響く。
音楽室の備品や楽器を片付けながら小倉 杏子は彩木 鏡花に話しかけていた。
「彩木さんはすごいであります！ 私、彩木さんのこととっても大好きでありますっ！ これから仲良くしてくれると、とーっても嬉しいであります！」
と、ほんわかな笑顔を彩木に向ける。
「んな！ 突然何を言いやがるですか！ 仕方なく教えてあげただけで、もっと勉強しやがれです……。まぁ、少しは楽しかったですよ、少しは！！」
突然の杏子の言葉にドギマギしつつも、満更でもないようだった。
音楽準備室に戻った津止 考道を捕まえて質問をしているのは夜榊 鏡花と、授業後にやってきた逆巻 天野。
「何だかさっきの授業、賑やかでしたね」
と、天野は話しかける。
「……」
津止は沈黙する。
「先生、長前打音は結局どのように弾くのが正しいんですか？」
夜榊は予習の段階でわからなかったことを津止に尋ねる。
「……演奏者の解釈と曲想が――」
重々しく津止が口を開き解説するのを夜榊は素早くメモに取っていく。
（わ、わからない……！ これが芸術科なのか？）
と、２人の会話についていけない天野はどう切り出せばいいか悩んでいた。
「なるほど、ありがとうございます」
津止の説明に納得したのか夜榊は感謝の言葉を告げる。
「音程の取り方とか、リズムなんかを身につけるコツってあるんですかね？」
話の一区切りがついたのを見計らって天野が質問する。
「音程はよく聞くことだ、リズムは口にすることだ」
簡潔に津止は答える。
「な、なるほど……」
言っていることはわかるもののそれをどうしたらいいのか分からない天野は顔を引きつらせる。
「そういえば、中間テストに音楽はあるんですか？」
話題をそらすように天野は尋ねる。苦手な音楽をどうしたものかと思いながら。
「……テストがなければ勉強しないのか？」
天野の質問に津止は冷たく言い放った。
「……頑張ります」
と天野は答えるしかなかった。
（音楽はやっぱり苦手だー！）と心の中で叫びながら。
授業後にわざわざ他のクラスからやってきたのは天野だけではなかった。
森 蓮と八神 修は授業前に準備した関係から片付けにもやってきていた。
「はー、よくやるねぇ」
稀音家 歌乃はそんな２人を横目で見つつ、音楽室を後にする。
「津止先生を理解しないことには私の目的は達成できませんからね」
と、譜面台を畳みながら蓮は言う。
「気難しい先生だからな」
修は蓮の言葉を受けて答える。彼は黒板を丁寧に消していた。
「人は分かり合えますから」
蓮は６組の生徒と協力しながら楽器を片付けていく。
「和を以て貴しとなす、か」
修は先人の言葉を口にする。
奇しくも６組の音楽の授業は調和と共に終えたのは言うまでもない。
一方、ディノ・アルリエタは音楽室に残り、スケッチブックにシャープペンシルを走らせ、授業中のクラスメートの様子を再現する。
まじめに練習をする生徒、眠そうに授業を聞く生徒、楽しそうに歌う生徒……。そして最後の合奏のシーン。
ディノの専門は風景画だが、人物画も描けないわけではない。美術専攻であるからデッサンをしっかり取り、生き生きとした姿を描いていく。
「後で水彩か色鉛筆かしら」
と独りごちる。
音に色をつけるなら何色がいいかしらと考えながらディノは時間のぎりぎりまでマイペースに絵を描き続けるのだった。
御剣 刀が走って音楽室までやってくる。彼は音楽室で片付けをしている小山内 海の姿を見つけ声をかける。
「結局、デッサンはよくわからなかったよ」
海に借りていた教科書を手渡しつつ刀はそんなことを言う。
『たんい、だいじょうぶ？』
心配そうに海は刀を見つめる。
「留年の危機か！？ ってのは気にしすぎか。でも、このままだと拙い気もするんだよな」
腕組をして刀は考える。
『げいじゅつってむずかしいもんね』
と、海がスケッチブックに書く。
「だな。あ、放課後、喫茶店でデッサン教えてくれないか？ 俺がバイトをしている『２９９ＣＯＦＦＥＥ』で良いかな？ 確か今日から新しいケーキセットが出る筈なんだよ」
思いついたように刀が提案する。
『いいよ、どこでまちあわせよう？』
海は１度頷いてから訊ねる。少しだけ鼓動が早くなっているのを海は自覚する。
「そうだな……」
刀が予定を考えている間、海はよそ見をするフリをしてスケッチブックで顔を少し隠す。
（……二人きりで喫茶店かぁ）
顔が赤くなっているのをバレないように海は放課後を楽しみにするのだった。
授業終了のチャイムが鳴り響く。
音楽室の備品や楽器を片付けながら小倉 杏子は彩木 鏡花に話しかけていた。
「彩木さんはすごいであります！ 私、彩木さんのこととっても大好きでありますっ！ これから仲良くしてくれると、とーっても嬉しいであります！」
と、ほんわかな笑顔を彩木に向ける。
「んな！ 突然何を言いやがるですか！ 仕方なく教えてあげただけで、もっと勉強しやがれです……。まぁ、少しは楽しかったですよ、少しは！！」
突然の杏子の言葉にドギマギしつつも、満更でもないようだった。
音楽準備室に戻った津止 考道を捕まえて質問をしているのは夜榊 鏡花と、授業後にやってきた逆巻 天野。
「何だかさっきの授業、賑やかでしたね」
と、天野は話しかける。
「……」
津止は沈黙する。
「先生、長前打音は結局どのように弾くのが正しいんですか？」
夜榊は予習の段階でわからなかったことを津止に尋ねる。
「……演奏者の解釈と曲想が――」
重々しく津止が口を開き解説するのを夜榊は素早くメモに取っていく。
（わ、わからない……！ これが芸術科なのか？）
と、２人の会話についていけない天野はどう切り出せばいいか悩んでいた。
「なるほど、ありがとうございます」
津止の説明に納得したのか夜榊は感謝の言葉を告げる。
「音程の取り方とか、リズムなんかを身につけるコツってあるんですかね？」
話の一区切りがついたのを見計らって天野が質問する。
「音程はよく聞くことだ、リズムは口にすることだ」
簡潔に津止は答える。
「な、なるほど……」
言っていることはわかるもののそれをどうしたらいいのか分からない天野は顔を引きつらせる。
「そういえば、中間テストに音楽はあるんですか？」
話題をそらすように天野は尋ねる。苦手な音楽をどうしたものかと思いながら。
「……テストがなければ勉強しないのか？」
天野の質問に津止は冷たく言い放った。
「……頑張ります」
と天野は答えるしかなかった。
（音楽はやっぱり苦手だー！）と心の中で叫びながら。
授業後にわざわざ他のクラスからやってきたのは天野だけではなかった。
森 蓮と八神 修は授業前に準備した関係から片付けにもやってきていた。
「はー、よくやるねぇ」
稀音家 歌乃はそんな２人を横目で見つつ、音楽室を後にする。
「津止先生を理解しないことには私の目的は達成できませんからね」
と、譜面台を畳みながら蓮は言う。
「気難しい先生だからな」
修は蓮の言葉を受けて答える。彼は黒板を丁寧に消していた。
「人は分かり合えますから」
蓮は６組の生徒と協力しながら楽器を片付けていく。
「和を以て貴しとなす、か」
修は先人の言葉を口にする。
奇しくも６組の音楽の授業は調和と共に終えたのは言うまでもない。
一方、ディノ・アルリエタは音楽室に残り、スケッチブックにシャープペンシルを走らせ、授業中のクラスメートの様子を再現する。
まじめに練習をする生徒、眠そうに授業を聞く生徒、楽しそうに歌う生徒……。そして最後の合奏のシーン。
ディノの専門は風景画だが、人物画も描けないわけではない。美術専攻であるからデッサンをしっかり取り、生き生きとした姿を描いていく。
「後で水彩か色鉛筆かしら」
と独りごちる。
音に色をつけるなら何色がいいかしらと考えながらディノは時間のぎりぎりまでマイペースに絵を描き続けるのだった。
御剣 刀が走って音楽室までやってくる。彼は音楽室で片付けをしている小山内 海の姿を見つけ声をかける。
「結局、デッサンはよくわからなかったよ」
海に借りていた教科書を手渡しつつ刀はそんなことを言う。
『たんい、だいじょうぶ？』
心配そうに海は刀を見つめる。
「留年の危機か！？ ってのは気にしすぎか。でも、このままだと拙い気もするんだよな」
腕組をして刀は考える。
『げいじゅつってむずかしいもんね』
と、海がスケッチブックに書く。
「だな。あ、放課後、喫茶店でデッサン教えてくれないか？ 俺がバイトをしている『２９９ＣＯＦＦＥＥ』で良いかな？ 確か今日から新しいケーキセットが出る筈なんだよ」
思いついたように刀が提案する。
『いいよ、どこでまちあわせよう？』
海は１度頷いてから訊ねる。少しだけ鼓動が早くなっているのを海は自覚する。
「そうだな……」
刀が予定を考えている間、海はよそ見をするフリをしてスケッチブックで顔を少し隠す。
（……二人きりで喫茶店かぁ）
顔が赤くなっているのをバレないように海は放課後を楽しみにするのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年04月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年04月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年04月28日 11時00分
