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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
授業風景 ～１年６組の場合～
４.演奏の時間
音楽室の各所で様々な音が鳴り響く中、黒依 アリーセはソプラノサックスに挑戦していた。
ぷぉーぴぃいいいぃ。ぺぺろぉおぉぉ……。
「……」
思ったような音が出ずに困った顔をするアリーセ。
「まるで尺八みたいって言ったら尺八に失礼かもしれないけど……練習の仕方が悪いのかしら」
と、何度もサックスを吹き鳴らす。
ぷ、ぷぉー。ぴ、ぴぴぃぃ。ぺぴぺぺぉぉお。
「……姿勢だ」
背後から声をかけられ慌ててアリーセは振り返る。津止がいつもの仏頂面で立っていた。
「まずは姿勢。次にアンプシェア（口の形）。指遣いなどよりも正しい音が出る練習だ。ロングトーンを繰り返すように」
必要なことだけを告げて津止は去っていく。
「姿勢、ね」
アリーセは言われたことを素直に実践していく。歌うときのように背筋を伸ばす。楽器の重さに負けないようにしっかりと腕の力で支える。
「アンプシェア……」
小さく音を出しながらマウスピースとリードの位置を調整する。
時間をかけながら丁寧にサックスで歌う準備を整える。
（そして、ロングトーン）
深く深くそして音が変わらないようにアリーセは吹く。それは声楽の発声練習に似ていた。
ぷぅーーーーーーー。
先ほどの不安定な音に比べたら綺麗な音が出る。それはまだまだ演奏としては聞けたものではないものの、アリーセにとって嬉しいものであった。
「楽器も歌も一緒なのかしら」
とアリーセは独りごちる。
ある程度サックスの練習をした後、アリーセはちょっとしたアイデアを秘めて他の生徒のもとへと向かった。
津止が先に声をかける場合もあれば、生徒から先に声をかける場合もある。雨寺 凛は人懐っこい笑顔で津止にアドバイスを求めていた。
「津止先生！ バイオリン教えてください！」
凛はギターとベース、キーボードといった類は弾けるものの、それ以外の楽器については素人同然であった。凛はバイオリンを津止先生に手渡す。
「……」
すっ、と津止は黙って構える。
「手で持つのではなく、顎と肩で支え、構える」
津止のアドバイスを受けて凛も見よう見まねでバイオリンを構える。
「こう？ ですか」
肩とバイオリンの間にハンカチを挟み安定させて凛は津止の言葉を待つ。
「顔は傾けるな。弓を持つ手首は力を入れすぎないように。まずは開放弦での音階とアルペジオを練習するように」
そう言って津止はこともなげに音階を弾いてみせる。
「ギターなんかとは全然違うんですね、お、おお……！」
追いかけるように凛も拙いながらも弾いてみせる。
ヴィー。
「すごーい、綺麗な音が出たー！」
感動と楽しさを綯交ぜにした気持ちを素直に言葉にする凛。
「……よし」
小さく津止は頷くと凛に背を向けて他の生徒へと歩き去る。
「あ、えっと、ありがとうございました！」
その背中に凛は感謝の言葉を贈る。
（実は先生、優しいのかな……？）
凛の頭にふとよぎった予感は、言葉にせずにしまっておくことにしたようだった。
（楽器の演奏、あまり好きじゃないんだよね……）
そう思いながらバイオリンを奏でるのは津川 霞。音色にもそれが現れるのかどこか拗ねたような変ホ短調の調べを弾く。
（隠していた感情が表に出るような気がして、人に聞かせたくないんだよ）
暗く、どこか内向的な旋律が霞のバイオリンから響く。
「もう少し固く弾いたほうがよい」
そう声をかけたのは津止で。
「はい」
演奏しながら霞は音の出し方を変える。
（いつも無表情なのは助かるけど、きっとばれているのかな）
津止には音だけで内面を見透かされているような気がしたのだ。内面を隠すように隠すように霞は音の表情を変えようと努める。
「感情が込もるのは悪ではない。だが、音は嘘をつけない」
そう言って、津止は霞に目を合わせて、視線で射抜く。
「……」
言葉に困る霞。
「明るい曲を真剣に弾いてみることだ」
「楽器なんて演奏できないもの。歌だってたいして上手じゃないんだけど」
と、嘆いているのはディノ・アルリエタ。
音楽専攻の生徒とそうでない生徒には差があるのがわかっているのでなおさら恥ずかしいと思っているようだった。
津止の前で歌った後、彼は音楽室の中の様子を観察する。
音楽という一つの共通項目の中で生き生きとした表情で挑戦する者、音と向き合って悩む者、友人と楽しそうに音を楽しむ者、そんな姿を彼は目に焼き付けていく。
様々な音色を彼は色彩として解釈していく。なんだかんだ言いながらも彼もまた音楽をマイペースに楽しんでいるのであった。
（さすがに堂々と授業中に絵を描いたりはできないけどね♪）
授業後に普段は描かない人物画を描こうと決めたディノであった。
音楽室の各所で様々な音が鳴り響く中、黒依 アリーセはソプラノサックスに挑戦していた。
ぷぉーぴぃいいいぃ。ぺぺろぉおぉぉ……。
「……」
思ったような音が出ずに困った顔をするアリーセ。
「まるで尺八みたいって言ったら尺八に失礼かもしれないけど……練習の仕方が悪いのかしら」
と、何度もサックスを吹き鳴らす。
ぷ、ぷぉー。ぴ、ぴぴぃぃ。ぺぴぺぺぉぉお。
「……姿勢だ」
背後から声をかけられ慌ててアリーセは振り返る。津止がいつもの仏頂面で立っていた。
「まずは姿勢。次にアンプシェア（口の形）。指遣いなどよりも正しい音が出る練習だ。ロングトーンを繰り返すように」
必要なことだけを告げて津止は去っていく。
「姿勢、ね」
アリーセは言われたことを素直に実践していく。歌うときのように背筋を伸ばす。楽器の重さに負けないようにしっかりと腕の力で支える。
「アンプシェア……」
小さく音を出しながらマウスピースとリードの位置を調整する。
時間をかけながら丁寧にサックスで歌う準備を整える。
（そして、ロングトーン）
深く深くそして音が変わらないようにアリーセは吹く。それは声楽の発声練習に似ていた。
ぷぅーーーーーーー。
先ほどの不安定な音に比べたら綺麗な音が出る。それはまだまだ演奏としては聞けたものではないものの、アリーセにとって嬉しいものであった。
「楽器も歌も一緒なのかしら」
とアリーセは独りごちる。
ある程度サックスの練習をした後、アリーセはちょっとしたアイデアを秘めて他の生徒のもとへと向かった。
津止が先に声をかける場合もあれば、生徒から先に声をかける場合もある。雨寺 凛は人懐っこい笑顔で津止にアドバイスを求めていた。
「津止先生！ バイオリン教えてください！」
凛はギターとベース、キーボードといった類は弾けるものの、それ以外の楽器については素人同然であった。凛はバイオリンを津止先生に手渡す。
「……」
すっ、と津止は黙って構える。
「手で持つのではなく、顎と肩で支え、構える」
津止のアドバイスを受けて凛も見よう見まねでバイオリンを構える。
「こう？ ですか」
肩とバイオリンの間にハンカチを挟み安定させて凛は津止の言葉を待つ。
「顔は傾けるな。弓を持つ手首は力を入れすぎないように。まずは開放弦での音階とアルペジオを練習するように」
そう言って津止はこともなげに音階を弾いてみせる。
「ギターなんかとは全然違うんですね、お、おお……！」
追いかけるように凛も拙いながらも弾いてみせる。
ヴィー。
「すごーい、綺麗な音が出たー！」
感動と楽しさを綯交ぜにした気持ちを素直に言葉にする凛。
「……よし」
小さく津止は頷くと凛に背を向けて他の生徒へと歩き去る。
「あ、えっと、ありがとうございました！」
その背中に凛は感謝の言葉を贈る。
（実は先生、優しいのかな……？）
凛の頭にふとよぎった予感は、言葉にせずにしまっておくことにしたようだった。
（楽器の演奏、あまり好きじゃないんだよね……）
そう思いながらバイオリンを奏でるのは津川 霞。音色にもそれが現れるのかどこか拗ねたような変ホ短調の調べを弾く。
（隠していた感情が表に出るような気がして、人に聞かせたくないんだよ）
暗く、どこか内向的な旋律が霞のバイオリンから響く。
「もう少し固く弾いたほうがよい」
そう声をかけたのは津止で。
「はい」
演奏しながら霞は音の出し方を変える。
（いつも無表情なのは助かるけど、きっとばれているのかな）
津止には音だけで内面を見透かされているような気がしたのだ。内面を隠すように隠すように霞は音の表情を変えようと努める。
「感情が込もるのは悪ではない。だが、音は嘘をつけない」
そう言って、津止は霞に目を合わせて、視線で射抜く。
「……」
言葉に困る霞。
「明るい曲を真剣に弾いてみることだ」
「楽器なんて演奏できないもの。歌だってたいして上手じゃないんだけど」
と、嘆いているのはディノ・アルリエタ。
音楽専攻の生徒とそうでない生徒には差があるのがわかっているのでなおさら恥ずかしいと思っているようだった。
津止の前で歌った後、彼は音楽室の中の様子を観察する。
音楽という一つの共通項目の中で生き生きとした表情で挑戦する者、音と向き合って悩む者、友人と楽しそうに音を楽しむ者、そんな姿を彼は目に焼き付けていく。
様々な音色を彼は色彩として解釈していく。なんだかんだ言いながらも彼もまた音楽をマイペースに楽しんでいるのであった。
（さすがに堂々と授業中に絵を描いたりはできないけどね♪）
授業後に普段は描かない人物画を描こうと決めたディノであった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年04月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年04月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年04月28日 11時00分
