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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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授業風景 ～１年６組の場合～
２.楽典の時間
教壇に立つ津止 孝道。
「中間テストも近い。楽典の復習から始める」
カッ、カッ。
チョークが軽快な音を立て、音符や演奏記号が描かれていく。
基礎的な部分からややこしい部分まで、一定のリズムで津止は説明をこなしていく。
「音域が広い楽器には大譜表。複数の楽器で演奏するものは総譜だ。……市橋」
と、津止は指名する。
「はい」
すばやく起立する市橋 誉。
「総譜に用いられる音部記号はト、ヘ、ハだが、君ならこれをどう説明する？」
津止はト、ヘ、ハの音部記号を黒板に書き付ける。
「ト音記号はＧの位置、つまりソを示します。ヘ音記号はＦ、ファを示します。ハ音記号はＣ、ドですね。また音部記号自体がそれぞれアルファベットのＧ、Ｆ、Ｃの変形です」
音楽専攻である誉はしっかりと答える。それは聞いている他の生徒にも分かりやすい説明でもあった。
「いいだろう。では、それぞれの音部記号を用いて表記する楽器は何だ？……夜榊」
誉が着席するのと入れ替わりに夜榊 鏡花が立ち上がる。眼鏡の奥の切れ長の目は真面目さと神経質さが同居している。
「ト音は高音域の楽器、フルートやトランペット、ヴァイオリン。ヘ音は低音域、ファゴット、トロンボーン、コントラバス。ハ音はヴィオラくらいね」
予習と復習が得意な鏡花はマーカーで色分けされたノートすら見ずにすらすらと答える。
彼女の言葉に合わせるように津止は黒板に文字を付け足していく。それはまるで輪唱のようでもあった。夜榊はすぐに座り教科書とノートに集中する。予習を再開したようだった。
津止は板書を終えると向き直り、指名を再開する。
「……派生音が同じ高さにになってしまう音の関係は何と呼ぶか？ ……彩木」
眠そうな目を津止に向けながら彩木 鏡花は立ち上がる。
「異名同音でごぜーやす」
特に迷うこともなく彩木は答える。
「そうだ」
と、津止。
「これくらい当然でごぜーます」
小声で彩木は呟く。。
「よし。異名同音においては♯と♭の演奏上の弾き分けを意識するように。では……」
彩木に着席を促し、次々と指名しては生徒に質問を浴びせていく。それは小テストと復習を兼ねていた。
（だりぃな……）
ペンをくるくると回しながらそんなことを思うのは稀音家 歌乃。音楽専攻であるが故に知っていることが多すぎて退屈する生徒の１人だった。
（たまにはちゃんと受けようと思っていたが、どうすっか……）
と、首をぐるりと回し歌乃はつり目がちな瞳を細めつつ他の生徒の様子を伺う。
楽譜自体が読めないらしく、黒板と自分のノートを交互に見比べながらあたふたしているのは小倉 杏子。
「音符がわからないであります……これはきゅーふでありますか？」
杏子は首をかしげる。
「ちげーですよ。まったく、芸術科なんだから楽譜くらい……」
と、その横で彩木が杏子に教える。
杏子がうんうんと考えている時間に彩木はノートの隅っこに落書きをする。猫の絵なのだがどことなく不機嫌そうな顔をしている。
「かわいいであります、今描いたでありますか？」
いつの間にか顔をあげた杏子が彩木のノートを覗き込んでいた。
「こ、これはちげーます！ 今書いてたとかそんなんじゃ……！」
思わず慌ててふためく彩木。恥ずかしそうにその猫を手で隠す。
（あたしの専門は絵なのよねぇ……）
赤い天然パーマが特徴的なディノ・アルリエタは左手でノートの隅に絵を描いている。授業内容自体もしっかり取っているようだ。
シャープペンシルを走らせながら窓から見える寝子島の午後を切り取るように描いていく。
前髪で隠された左目は何を映しているのかはディノのみぞ知る……。
午後の授業のせいか、それとも内容が分からないせいなのか小山内 海は睡魔と戦うように目を擦っている。
そんな海に空風 由利は青い瞳をくりくりとさせながら明るい笑顔で話しかける。
「うん～……楽譜って読むの難しいね～」
由利の言葉はとても緩やかで、海は小さく頷きながら眠気に抗う。
「おたまじゃくしがいっぱいあるってことは、それだけたくさん音がうまれるってことだよね～」
津止が書き連ねる音符をじっと見ながら彼女なりの解釈を言葉にする。
分からないなりに楽しみ方があるというのを体現しているような由利は笑顔を絶やさない。
今にも歌いだしそうな由利に、海は唇に人差し指を当てる。
『おこられちゃうよ』
「……楽典の講義は以上だ。音楽専攻者は『ティートルムジーク』と『プログラミッシュムジーク』の差異についてのレポートを今週末までに提出するのを忘れないように。次は音楽史に移る」
無駄を削ぎ落とした津止の講義は分かりやすい反面どこか機械的でもあった。
教壇に立つ津止 孝道。
「中間テストも近い。楽典の復習から始める」
カッ、カッ。
チョークが軽快な音を立て、音符や演奏記号が描かれていく。
基礎的な部分からややこしい部分まで、一定のリズムで津止は説明をこなしていく。
「音域が広い楽器には大譜表。複数の楽器で演奏するものは総譜だ。……市橋」
と、津止は指名する。
「はい」
すばやく起立する市橋 誉。
「総譜に用いられる音部記号はト、ヘ、ハだが、君ならこれをどう説明する？」
津止はト、ヘ、ハの音部記号を黒板に書き付ける。
「ト音記号はＧの位置、つまりソを示します。ヘ音記号はＦ、ファを示します。ハ音記号はＣ、ドですね。また音部記号自体がそれぞれアルファベットのＧ、Ｆ、Ｃの変形です」
音楽専攻である誉はしっかりと答える。それは聞いている他の生徒にも分かりやすい説明でもあった。
「いいだろう。では、それぞれの音部記号を用いて表記する楽器は何だ？……夜榊」
誉が着席するのと入れ替わりに夜榊 鏡花が立ち上がる。眼鏡の奥の切れ長の目は真面目さと神経質さが同居している。
「ト音は高音域の楽器、フルートやトランペット、ヴァイオリン。ヘ音は低音域、ファゴット、トロンボーン、コントラバス。ハ音はヴィオラくらいね」
予習と復習が得意な鏡花はマーカーで色分けされたノートすら見ずにすらすらと答える。
彼女の言葉に合わせるように津止は黒板に文字を付け足していく。それはまるで輪唱のようでもあった。夜榊はすぐに座り教科書とノートに集中する。予習を再開したようだった。
津止は板書を終えると向き直り、指名を再開する。
「……派生音が同じ高さにになってしまう音の関係は何と呼ぶか？ ……彩木」
眠そうな目を津止に向けながら彩木 鏡花は立ち上がる。
「異名同音でごぜーやす」
特に迷うこともなく彩木は答える。
「そうだ」
と、津止。
「これくらい当然でごぜーます」
小声で彩木は呟く。。
「よし。異名同音においては♯と♭の演奏上の弾き分けを意識するように。では……」
彩木に着席を促し、次々と指名しては生徒に質問を浴びせていく。それは小テストと復習を兼ねていた。
（だりぃな……）
ペンをくるくると回しながらそんなことを思うのは稀音家 歌乃。音楽専攻であるが故に知っていることが多すぎて退屈する生徒の１人だった。
（たまにはちゃんと受けようと思っていたが、どうすっか……）
と、首をぐるりと回し歌乃はつり目がちな瞳を細めつつ他の生徒の様子を伺う。
楽譜自体が読めないらしく、黒板と自分のノートを交互に見比べながらあたふたしているのは小倉 杏子。
「音符がわからないであります……これはきゅーふでありますか？」
杏子は首をかしげる。
「ちげーですよ。まったく、芸術科なんだから楽譜くらい……」
と、その横で彩木が杏子に教える。
杏子がうんうんと考えている時間に彩木はノートの隅っこに落書きをする。猫の絵なのだがどことなく不機嫌そうな顔をしている。
「かわいいであります、今描いたでありますか？」
いつの間にか顔をあげた杏子が彩木のノートを覗き込んでいた。
「こ、これはちげーます！ 今書いてたとかそんなんじゃ……！」
思わず慌ててふためく彩木。恥ずかしそうにその猫を手で隠す。
（あたしの専門は絵なのよねぇ……）
赤い天然パーマが特徴的なディノ・アルリエタは左手でノートの隅に絵を描いている。授業内容自体もしっかり取っているようだ。
シャープペンシルを走らせながら窓から見える寝子島の午後を切り取るように描いていく。
前髪で隠された左目は何を映しているのかはディノのみぞ知る……。
午後の授業のせいか、それとも内容が分からないせいなのか小山内 海は睡魔と戦うように目を擦っている。
そんな海に空風 由利は青い瞳をくりくりとさせながら明るい笑顔で話しかける。
「うん～……楽譜って読むの難しいね～」
由利の言葉はとても緩やかで、海は小さく頷きながら眠気に抗う。
「おたまじゃくしがいっぱいあるってことは、それだけたくさん音がうまれるってことだよね～」
津止が書き連ねる音符をじっと見ながら彼女なりの解釈を言葉にする。
分からないなりに楽しみ方があるというのを体現しているような由利は笑顔を絶やさない。
今にも歌いだしそうな由利に、海は唇に人差し指を当てる。
『おこられちゃうよ』
「……楽典の講義は以上だ。音楽専攻者は『ティートルムジーク』と『プログラミッシュムジーク』の差異についてのレポートを今週末までに提出するのを忘れないように。次は音楽史に移る」
無駄を削ぎ落とした津止の講義は分かりやすい反面どこか機械的でもあった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年04月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年04月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年04月28日 11時00分
