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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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昼下がりの寝子島駅前を過ぎる。空を覆う薄墨色の雲はいかにも雪を孕んでいそうで、
仙藤 紫
は黒い瞳に黒い睫毛の影を落とす。そっと息を吐く横目に駅前開催中のクリスマス市を映せば、丁度お散歩途中のマンボウくんがはしゃぐこどもに驚かされて気絶するその瞬間。
こどもたちに囲まれ気遣われるマンボウくんを眺め、紫は唇に微かな笑みを滲ませる。
滲んだ笑みは、駅を華々しく飾るイルミネーションを見た途端に沈んだ。陽のあるこの時間、まだ光は灯っていないけれど、夕方になればここも明るい光に包まれる。
閉ざした瞼の裏に蘇るのは、去年のクリスマスのあの日、クリスマスライブの後に大観覧車から見下ろした夜景。クリスマスイルミネーションに煌く夜の街。宝石を撒き散らしたような夜景と共にあるのは、去年のあの日、確かに傍らにあった彼の温もり。
独り身、と思えば冬風の寒さが身に染みて、紫は肩を覆う黒髪とともに身を震わせる。肩をすくめ、己で己の身を抱くようにして駅前を離れる。行く当てがあるわけではないけれど、
(今年のイヴはご近所で過ごすのも悪くないわ)
淡々とした表情のまま冬空の路を数十分、のんびり歩いて辿り着いたのは、旧市街の端、またたび市動物園。小規模で古びてはいるけれど、手作り感に溢れた温かみのある雰囲気に誘われ、紫は散歩の足を伸ばす。
愛嬌のあるタヌキの看板が迎えてくれる入場口には、クリスマスイベントのお知らせ。どうやら園内の何処かに居るサンタ帽を被った職員を見つけることが出来れば、サンタコスチュームを着て動物に餌をやれるらしい。
ご丁寧にも、園内案内板にはサンタ衣装の実物が留めつけられている。
「サンタコスチュームに着替えられるんだって」
「え、これに着替えるの?」
入場券を買っていたカップルらしい男女がサンタ衣装を見上げて笑う。
「汚れないように作業着を着るならわかるけど、動物たち驚かないかしら……」
入場門を潜る黒髪の女性に道を譲りながら、
神野 美野梨
は眼鏡の下の黒い瞳を瞬かせる。動物園に行きたいと希望を出したのは此方側でもあるし、珍しい動物を間近で見られるいい機会でもあるし、サンタ帽職員を探して餌やりをしてみたいところではあるけれど。
「なににあげる?」
クリスマスイヴだからと誘い出してくれた
新井 すばる
が笑う。シャーロキアンな彼なら、サンタ帽の職員が例えどこかに隠れていたとしてもすぐに見つけ出せるだろう。
「アルパカかしら」
「アルパカかー」
「もっと珍しい動物がいればそれもいいけど」
話しながら鳥類のエリアを過ぎる。サル山の頂点に君臨するボスの背中を眺め、檻の中でうつらうつらする山猫や豹たちを前に薄曇りの空から降る陽ざしを受ける。
クリスマスと言えどもいつもと変わらぬのんびりとした空気の動物園を肩を並べて歩くうち、ふとすばるが足を早めた。
「はい、つかまえた」
「はい、捕まりました」
オオカミ舎の前で笑顔のすばるに肩を叩かれ、作業着姿にサンタ帽子姿の
アーサー・T・シートン
は眼鏡の奥の蒼い瞳を柔和に細める。
「では、こちらへどうぞ。お連れの方もご一緒で構いません」
猛獣エリアの一角に設置された天幕の入り口には、『サンタになって動物たちにクリスマスプレゼントを!』と書かれた垂れ幕と、ピカピカ光るクリスマスイルミネーション。
「あ、わたくしはオオカミ舎担当のアーサーと申します」
自己紹介をしながら、アーサーは様々なサンタ衣装の入った大きな籠をふたりの前に置く。着替えはあちら、とカーテンで簡単に仕切られたスペースを指し示す。
「今着られている服の上からでも構いませんよ」
オーソドックスなものからミニスカ、果ては誰が着るのかも怪しい際どい水着風衣装まで、様々なサンタ衣装の中から美野梨が選び出したのは、服の上から羽織るコートタイプのサンタ衣装。
「すばるくんは?」
「いや、ボクはいいかな」
衣装を広げて確認しながら、美野梨は天幕の入り口に立ったままのすばるを振り返る。
「ちくわサンタなんて聞いたことないし。神野さん着てみてよ、きっと似合うよ」
悪戯っぽく笑うすばるに、美野梨は生真面目な眉をちょっとだけ顰める。だって自分だけ着るのは恥ずかしい。
「私だけ? すばるくんも着たら?」
「ペアでのお写真も宜しければお撮りしますよ」
アーサーの助け船に、美野梨は逆に頬を赤らめた。黒い髪を揺らして首を横に振る。そうだ、二人で着るとペアルックになってしまう。それはそれで恥ずかしい。
「……やっぱりいいわ、私だけで」
熱を帯びた頬を隠すように俯いて、美野梨は衣装に袖を通す。
「ほら、やっぱ似合う」
赤系が似合うのはわかってたんだ、と微笑むすばるに、美野梨ははにかんだ笑みを返した。恥ずかしいは恥ずかしいけれど、手放しに褒められて嬉しくないわけがない。それに、実際に着用してみると暖かくて悪くない。
「動物によってプレゼントは違うのでご注意ください」
言いながら、アーサーが今度はそれぞれに違う動物の絵の書き込まれた袋の並ぶ箱を出してくる。サンタが担ぐプレゼント袋を模しているのか、プレゼントの入った袋にはリボンが掛けられ、小さいけれど案外可愛い。
「いいね」
楽し気に笑うすばるに、アーサーは穏やかな笑みを返す。
「雑食のクマにはりんご、肉食のオオカミたちには鶏肉が入っています」
担当している動物たちの餌をうっかり前面に押し出していることに自分で気付いて、アーサーはほんの少し照れたように笑んだ。
「アルパカは?」
「アルパカはペレット、……草食動物用の固形餌です。こちらはご自分の手からあげられます」
アルカパに餌をやりたいと言う高校生カップルを草食動物エリアへと案内するため、アーサーは先だって歩き始める。
「わたくしも、寝子高生の頃はよく動物園に来ていました。生物部の活動だったり、ひとりだったり。おふたりは今日はデートですか?」
「えっ」
「あっ、じゃあOBなのね。私も生物部なの」
たじろぐすばるに気付かず、美野梨は思わぬところで出会った生物部の先輩に明るく笑う。
「それはまた奇遇だね。ボクも生物部なんだ」
「奇遇ですね。嬉しいです」
生物部話に盛り上がるうちにアルパカの柵の前に辿り着き、次の仕事に取り掛かるために別方向に向かうアーサーに手を振り、すばると美野梨は柵の内を覗き込む。
「なんかトナカイの角みたいなのつけてもらってるんだ」
「あら、本当ね」
餌のにおいに気付いてか、のっそりと近づいてくる真白なアルカパの頭には、布製の角が取り付けられている。
「かわいいね」
「可愛いわね」
言いながら、美野梨は袋から取り出したペレットを掌に乗せる。一心に口を近づけるアルパカの横顔を見つめながら、目測で体長や体高を測る。
(ラクダの仲間だけあって顔つきはラクダに似てるわよね……あら、上の前歯が元々無いのね。可愛いの一因はそこにもあるのかしら)
大真面目にアルパカを見つめ続ける少女に、すばるはスマートフォンのカメラを向ける。
「一緒に写真とってあげるよ」
くすり、と笑ってウィンクをひとつ。
「キュートなサンタエンジェルとトナカイアルパカってね」
氷上を模した白い疑似岩の上を白熊のクリフが歩き回っている。母熊クリフの後を追いかけて、小熊のヒース。
「ヒースとクリフは元気ですね」
休憩がてらに白熊用プレゼントの袋を一袋だけ拝借して、アーサーは飼育を担当する白熊たちの展示舎の前に立つ。大好きな飼育員の姿を見つけてか、クリフが後ろ足でひょいと立ち上がった。餌をねだる仕草を見せる白熊の様子に、離れた位置でのんびり白熊たちを眺めていた赤毛の青年が楽しげな歓声をあげる。
「宜しれば如何ですか」
「いいのですか」
心底嬉しげに駆け寄ってくる青年に、アーサーは頷き返す。シロクマ舎の周りに今は人気は無い。どうせなのでと白熊おやつ用りんごの袋と被っていたサンタ帽を脱いで手渡す。
「どうぞ」
「ありがとう」
鮮やかな翠の瞳を笑ませ、どう見ても欧米人な青年は流暢な日本語を操り微笑んだ。わくわくと帽子を被り、待ち受ける白熊母子にりんごを投げ渡す。
「うっわいいな、俺も! 俺も俺も!」
はしゃいだ声あげて駆け寄って来た癖っ毛に黒縁眼鏡の少年に纏わりつかれ、アーサーは和やかに笑む。作業着のポケットから別の帽子取り出して少年の頭に被せ、また別のポケットから取り出したりんごの袋を手渡す。
「サンキューな、兄ちゃん!」
温和な飼育員に楽しげな笑みを向け、
鈴木 弥次郎
は動物ラブパワー全開の歓声を上げた。
「今日は良い夢見れそうだぜ!」
小躍りして白熊親子にりんごを投げる。小熊がでんぐり返ししながら嬉しそうにりんごを取る様子にまた歓声をあげる。
「やはり、彼らは冬のほうが好きなようですね」
「北国の動物達には、冬の方が過ごしやすくていいのかも」
アーサーの言葉に、
ジェレミア・ベルトーニ
はにこにこと頷く。
「日本の夏は凄く蒸し暑いから、白熊達は大変だ」
「ええ。夏場はたまの御馳走に氷漬けの果物をやったりもしますが」
「それは熊たちは大喜びだよね」
鋭い爪のある両手でりんごを抱え込み、大事そうに齧る小熊を見つめ、ジェレミアは愛おしそうに微笑む。
「子供の白熊も可愛いなぁ」
動物好きな青年に、サンタ帽は出入り口で返してくれればいいですからと言い置いて、アーサーは仕事に戻る。そろそろ、動物たちの食事の用意をしなくては。
「ありがとう」
礼儀正しい動物園職員に手を振り、ジェレミアは空っぽになった袋をまだまだ物欲しげな白熊母子に示してみせる。ごめんね、と謝って、次の展示舎へと向かう。
星ヶ丘で動物病院を営むジェレミアは、動物が大好きだ。仕事が休みとなれば、クリスマスであろうとうっかりひとりで動物園に足を運んでしまうほど。
(普段はなかなかここまで足を延ばせないけれど)
住居を兼ねた病院に急病の動物たちが運び込まれてくることは心配だけれど、病院には緊急対応のスタッフが居てくれている。
(来て良かった)
ここはペット系ではない動物達も見られるから、いい気分転換になる。それに、いい獣医が就いているのか、ここの動物たちは皆毛艶も目の輝きもいい。野生とは挙動がだいぶ違うとは言え、元気な動物たちを見るとやはり心が癒される。
大型の鳥舎では、舞い飛ぶ小鳥たちの下、孔雀が「私に見とれるがいい!」とばかり、派手な翼をばばーんと広げて見せてくれる。動物園暮らしの長い動物たちは、案外にサービス精神が旺盛だ。
(面白いよね)
ライオン舎の土の上では、ぬーっと身体を弛緩させて日向ぼっこするライオンがいる。
(あくびする姿はまさしく猫と同じ……!)
もっふもふの冬毛の豹やヤマネコだっている。
(とても愛らしいよ)
「カッコイイねぇ、素敵だねぇ」
檻の中に生えた樹上で退屈そうに昼寝するヤマネコに向け、ジェレミアは惜しみない称賛の声を贈る。どんな動物だって、褒められれば悪い気はしないはず。
(何事も褒めて伸ばすのが良いと思う!)
ヤマネコに熱い視線を送る欧米人に惹かれてか、黒髪の女性がヤマネコ舎に近づく。増えた見物人に対してか、ヤマネコがのっそりと立ちあがった。
「どーれ行ってやろうかい」
きまぐれに樹を降りて檻の手前まで来てくれるヤマネコ先生にアテレコした途端、少し離れた位置に立った黒髪の女性が眼を瞬かせた。
「驚かせてごめんなさい」
聞かれてしまった独り言を悔いるよりも先、ジェレミアは反射的に女性に声を掛ける。
「一緒に餌をあげてみませんか」
「え、」
サンタ帽子を被った欧米人に屈託なく声掛けられて、紫は黒い瞳を何度も瞬かせる。サンタ帽子を被っているということは、彼は動物園職員なのだろうか。それにしてはあんまり飼育員らしくはないけれど。
(動物園なんてたしか小学生以来だから)
最近はこういうらしくない飼育員もいるのかもしれない。
「こっちだね」
のんびりと手招きされるがままにサンタ帽子の赤毛の青年の後に続き、クリスマス特設テントに入る。詰めていた女性職員からサンタ帽子を手渡された上に強く勧められ、ちょぴりセクシーなミニスカサンタ衣装まで着せられてしまった。
「とっても可愛いねぇ」
サンタ帽子の青年に真っ向からの称賛の声を掛けられ、紫は曖昧に微笑む。それでも、
(これはこれで楽しいかも)
ぼんやりと思って、けれど同時に胸に小さな痛みが走った。
(……過去に、なりきれてないのかな)
ひとりを楽しみつつも、時折隣を見てしまうのは『そういうこと』なのだろうか。
心に浮かび上がる去年のクリスマスを心の隅に押しやり、紫は女性職員からプレゼント袋に見立てた餌袋と、ヤマネコ餌やり専用の大型の金属製トングを受け取る。
(……もう終わったんだから)
ヤマネコ舎の前で待っていた青年の傍らに立ち、トングで掴んだ鶏肉の切れ端を差し出す。
警戒顔のヤマネコが近づき、警戒気味の猫パンチをトングにお見舞いしてから、うってかわって両前脚でトングを抱きかかえる。鋭い牙を見せつつ鶏肉にかじりつく。
(忘れなさいよ、バカ……)
無心に餌を食べる獣に目を丸くしながら、紫は自分で自分を罵り唇を噛む。
「上手上手、凄いねえ、とても喜んでいるねぇ」
傍らの青年にまるで子供にするように手放しで褒められ、紫は肩をすくめる。青年の人懐っこさと優しさは今の紫には少し居心地が悪かった。
「……そうね」
だから手短な受け答えだけを返し、できるだけ手早く餌をやってしまう。餌やりの道具一式とサンタ衣装を特設テントの職員に返し、その場を離れようとして、
「ありがとう、楽しかったわ」
これはこれで楽しいと思えた分だけの気持ちを言葉にして、ヤマネコを飽きず眺める青年に声を掛けた。
「どういたしまして」
どこか思い悩んだ風の女性の横顔を気にしつつも、ジェレミアはヤマネコ先生の一手一足に見惚れる。小さな猫は可愛いばかりだけれど、大きな猫は挙動が優雅で下手すると神々しくもある。
動物達を見ているだけで、あっと言う間に時間が過ぎてしまう。
そうでなくとも、十二月の日暮れは早い。
閉園を告げるアナウンスに暮れ始める空を仰ぐ。動物園が背にした九夜山にはもう雪の雲がかかっている。星ヶ丘の自宅に帰る頃には、街にも雪が降り始めるだろうか。
(そうだ、帰る前に)
入場門近くにあった小さなショップでぬいぐるみを買って帰ろう。
(すみ、こはく、るちる)
自宅に待っている愛猫たちの顔を一匹一匹思い浮かべ、くすりと微笑む。ヤマネコと豹、それから、白熊のぬいぐるみがいい。
すみもこはくもるちるも、きっと大喜びでじゃれて遊んでくれる。
(けりけりって)
猫達へのクリスマスプレゼントを決めて、ジェレミアは帰路を辿る足を早める。猫達の待つ家に、帰ろう。
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SF・ファンタジー
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1000人
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2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
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2016年02月13日 11時00分
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