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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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二階のベランダの柵に両腕を掛け、顎を乗せる。冷たい柵の向こうに見えるのは曇天に覆われた旧市街の町並み。視線を下に向ければ両親が営むサイクルショップ『Bicycle』の一階部分。
夜には雪になると天気予報のおねえさんが言っていたことを思い出して、
柚瀬 玲音
は空色の瞳を明るい笑みに細める。
(ホワイトクリスマスだよ! だよー!)
明日起きてもしも雪が積もっていたら、愛車の子供用マウンテンバイクで雪道を走ることが出来るか試してみよう。
(ぴゅーって! びゅーって!)
滑る雪の上、ものすごいスピードで走ることができるかもしれない。
雪道走行を考えれば考えるほど楽しくなってきて、玲音は今にも雪が落ちてきそうな曇り空を仰ぐ。
それに明日はクリスマス。サンタさんが枕元にクリスマスプレゼントも置いてくれる。プレゼントが何かは分からないけれど、それも鞄に詰めて雪の町に出かけよう。
クリスマスイブの今日は、父も母も用事があるからと何だか忙しそうに朝から出かけてしまった。残念だけれど、仕方がない。だって玲音はもう七歳。
(だいじょうぶ)
小学一年生のお姉さんだから、いいこにしっかり留守番だって出来る。
鍵の掛かったあったかい家の中、母が用意してくれていたお昼ごはんを食べ終わってしまえば、することはすっかりなくなってしまった。
寒いベランダで雪を待つことにも飽きて、玲音はリビングルームに戻る。
(どうしよう?)
居間をぐるりと見回す。目に留まったのは隅のテレビ。ソファに腰を下してクッションを抱きしめる。スイッチを入れても、映るのは大人向けの昼のドラマや情報番組ばかり。
(あにめえいがながそー?)
クッションを片腕に抱いたまま、テレビ台の下の抽斗の中、並ぶDVDの背の題名を順番に指でなぞる。自転車レースのアクション、フィンランドの可愛いお化けのテレビアニメシリーズ、
「【火星でひとりぼっちのお留守番】?」
指先が止まる。ここは火星じゃないけれど、何度も見たDVDだけれど、ひとりぼっちのお留守番中なのが今の玲音と同じ。
「これみよう!」
引っ張り出したDVDの箱に描かれた宇宙銃とそっくりなおもちゃの銃をおもちゃ箱から取り出して、そのふたつのアイテムを手にひとしきり飛び跳ねてから、デッキにDVDをセットする。小学一年生だから、これくらいは簡単かんたん。
ソファの上、テレビのリモコンを手に飛び乗る。両足を踏ん張って立ち上がる。背筋を伸ばしてポーズを決めて、再生スイッチを押す。
派手な音楽と共に始まるアニメ映画と真正面から向き合って、玲音はソファに座り込む。
画面に映し出されるのは真っ赤な大地の火星。テラフォーミング途中の火星に住んでいるのは、賢い喋る犬や猫の宇宙家族たち。
植物を育てたり不思議な機械で火星に空気や水を作り出したり、ハブと呼ばれる住居用スペースで平和に暮らす家族たちに、ある日試練が訪れる。
食糧庫の食料が、ある日忍び込んできたグループに根こそぎ盗まれてしまったのだ……!
「あっ、ああっ!」
クッションを抱きしめ、玲音は絶望の悲鳴をあげる。
火星に植物は育たない。育てられるようになるのはテラフォーミングが完了したもっと先の未来。これでは暮らしていけないとばかり、火星の家族たちはみんなで地球に買い出しに出かける。
「あっ、だめだめ!」
買い出し当日、寝坊した猫がひとり、火星に置いてきぼりにされてしまった。心細くて泣き出す猫の様子に、玲音もうっかりもらい泣きしそうになる。
火星にひとりぼっちの猫と、お家にひとりぼっちの玲音。画面の内と外で、ふたりはがんばってお留守番をし続ける。
雪が降り始めるのはもう少し後だろうか。
顎髭を一撫でして、
フィーリクス・C・柚瀬
は雲に覆われた空を仰ぐ。
――れいねはいいこにしてますよ! よ!
だからいってらっしゃい、と二階のベランダで手を振っていた愛娘の無邪気な笑顔が脳裏を掠めた。思わず微笑みそうになって、顎髭を撫でた掌で口元を覆う。クリスマスイヴに賑わう旧市街の往来で男がひとり、笑みを零すわけにはいかない。
(俺様としたことが)
笑みを消すため、わざとらしく銀色の眉を寄せる。クリスマス一色の参道商店街を見遣り、白い息を吐く。日々の忙しさにかまけて、愛娘のクリスマスプレゼントを用意していなかった。このままでは父親失格だとばかり、娘に留守番を任せて大慌てで家を飛び出したはいいが、
(さて、どうするか)
買うとすればおもちゃだよな、とあたりをつけて、旧市街のおもちゃ屋へと足を運ぶ。今流行のものをおもちゃ屋の主人に聞けば、きっと良いものを教えてくれるだろう。
クリスマスに飾られた商店街の中でも一際派手にリボンやモールやオーナメントできらきらしく飾り立てられたおもちゃ屋の、金色クリスマスツリーに左右を挟まれたドアを潜る。案外空いている店の奥のレジに待ち受ける主人に、この店で一番流行のおもちゃを売ってくれと言って、
「え、なんだって、売り切れ?」
首を横に振られた。
「……やっぱそうだよなぁ……」
鮮やかな空色の瞳を伏せて俯くも、クリスマスの父親はそう簡単には諦めない。見回せばおもちゃはまだまだたくさんある。お転婆な愛娘が喜んでくれるものもきっとまだあるはず。
「んで、何が人気なんだ?」
気を取り直して問えば、主人はレジ横に並ぶポップにデフォルメされた妖怪を描いたメダルやこども用腕時計を示した。一時品切れ状態が続いた品も、今ならクリスマス期間であってもなんとか揃えることが出来ると主人は胸を張る。
「ああ、まだ人気なのか」
残っていたメダルを何枚かと腕時計に手を伸ばしかけて、その隣にどーんと座る白い猫が目に入った。大人が一抱えしてようやく持ち上げられるほどの、独特な紋様が顔に描かれた猫のぬいぐるみ。狛猫、とでも言うのだろうか。
(こっちのほうが喜ぶかなあいつ)
よくよく見れば、愛嬌のあるいい顔をしている。
「こっちをもらえるか」
考えた末に購入したぬいぐるみをプレゼント用に包んでもらい、フィーリクスは一仕事終えた顔で店を出る。
「問題がもう一つあるな、これ」
出たところで、気が付いた。
(超でけえ)
空色の半透明フィルムで包まれ、大きなリボンを掛けられたぬいぐるみはとてもとても目立つ。しかもがさがさ音がする。
(普通に持って帰ったら即バレんぞ)
昼下がりに家路を辿りつつ、難しい顔して考える。とりあえず、玲音に見つからないよう、一階の店舗部分のどこかに隠しておこうか。
「わあ、だめだよ、だめだめだよ!」
テレビ画面の中、泥棒仲間に取り残された食料泥棒の犬がまだいるハブを覗き込もうとする置いてきぼり猫に、玲音は必死に声を掛ける。玲音の制止も聞かず、猫は食糧庫を宇宙銃片手に覗き込む。案の定泥棒と鉢合わせる。
「えーい!」
猫が咄嗟に飛びのいて、宇宙銃を構える。そのかっこいいポーズを真似っこして、玲音はソファの上に立っておもちゃの銃を構える。
喧嘩していくうちに仲良くなっていく犬と猫のアニメ映画を夢中になって見ていて、玲音はふと気づいた。
何だか一階の店の方でがたがた音がする。
(気のせいだよね?)
気のせい気のせい、と自分に言い聞かせ、映画に集中しようとしても、やっぱり一階から怪しい物音がする。映画の音よりも一階の物音が気になって気になって、玲音はDVDをリモコンで一時停止させる。そうして耳を澄ませば、間違いなく一階で誰かが何かをしている物音がする。
(よ、様子を見に行くんだよ)
おもちゃの銃を握りしめ、玲音は映画の中の猫のように足音潜めてリビングを出る。一階への階段の手前で息を整え、思い切って駆け降りる。
「誰なのだよだよ!」
アニメの猫のように銃を構えて叫んで、自転車が並ぶ店内を油断なく見回す。
「……あれあれー?」
電気の落ちた店内に、ひとの姿はない。
安心した途端、睡魔が襲ってきた。昼ごはんを食べてお腹はいっぱい、まだちょっとだけどきどきするけれど、出かけた両親が帰ってくる前にお昼寝しておこうか。それにきっと寝ているうちに物音もなくなるはず。
首を傾げながら階段を上って住居スペースに戻る娘の後ろ姿を物陰から窺いつつ、
(あっぶねぇ)
父親は額の冷や汗を拭う。そっと息を零し、その場にうずくまったままこれからの作戦を練る。
(まず何食わぬ顔で帰って、)
ふたりで母親の帰りを待つ。普通に夕飯の後、速やかに娘を寝かしつける。娘が寝たことを確認したら、そっと階下に降りて店に隠したぬいぐるみを回収、娘を起こさぬよう細心の注意を払ってこっそり設置。
「危険はやっぱ階段だよなぁ……」
巨大なぬいぐるみを抱えて階段を上るのはいかにも骨が折れそうで、けれどここを乗り越えねば父親のクリスマスミッションは果たせない。ミッションが失敗に終われば、娘の笑顔は見られない。
(可愛い愛娘の笑顔のためだ)
それくらいの試練程度、乗り越えられなくてどうする。
(なんとかなるだろう)
そう思いながらも、何とかするためにどうするかを考えていて、ふと視線を感じた。見れば、クリスマスプレゼントなぬいぐるみのつぶらな目がじっとこちらを見ている。
誰も居ない店内に立ち上がり、隠したぬいぐるみを覗き込む。おどけて笑ってみせる。
「俺様は、ちゃんと親だろう?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
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