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滅びの呪文の夢現
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空に夜鷹の声を聞いて、
神代 千早
は自転車を押す手を止めた。
(そういえば『大空の町ニャルタ』観そびれたな)
自転車の籠に入った食料品や画材の入ったレジ袋を眼鏡の目に映す。
外灯も信号機も消えた海岸沿いの道、停電を珍しく思いながらも歩く足は止めない。猫鳴館に住んでいるうちに、不意の停電にも随分と慣れてしまった。今頃、館の住人たちは探検だなんだのと楽しく大騒ぎをしている頃だろうか。
寝子高の方向へと視線を伸ばす。街や住宅地のどこにも、明かりの一つも見えない。
海から吹き寄せる風が冷たさを増したように思えて、ベージュのダウンジャケットの肩をすくめて空を仰ぐ。先だって真夜中のコンビニに出向いた時よりも冴え冴えとして広がる星空を見る。さざめく星光が眩しくさえ思えて、空から海へと視線を移す。
そうして、見た。
「……ニャルタ?」
海の上、星空を背に静かに浮かぶ空の城。
目にした瞬間、迷うことなく自転車に飛び乗る。ペダルを強く踏み出す。漕ぎだしてみて、自転車の電灯が点かないことに気が付いたけれど、止まる気はない。
(ニャルタは本当にあったのか?)
「いや、」
思うと同時、思わず口に出して否定する。白く吐き出される否定の言葉と己が息に、ちらりと笑む。
(多分誰かのろっこんだろうな)
この島に住むうち、神魂やろっこんが絡んだいくつもの不思議を目にしてきた。今はもう、空に浮かぶ城塞都市を目にしたところで然程驚きはしない。
寝子ヶ浜海岸の砂浜に続く石階段の脇で自転車を降りる。星月の光に照らされ、波間にその影を落とす空の城を見上げながら、食料品はそのまま、画材の入った袋だけを手に階段を下りる。
階段のところには、同じように天空城を見仰ぐ人々が二三人、それぞれに立っている。いつか顔を見たことのあるような少女も、先に出会ったことのある少女もいるけれど、今は。
少女たちが気付くかどうかは別にして、小さく会釈だけを残し、千早は砂浜に降り立つ。音も立てず、ただしんと空に在るニャルタを見上げて海岸を行く。
「OH……これは……」
道の途、砂浜を自在に駆け巡る潮風の中に興奮気味の男の声を耳にして、空の城から声の主へと視線を移す。
「ニャルタ! ニャルタではありまセーンカ!?」
片手にスケッチブック、もう片手に画材が零れ落ちそうになるまで詰め込んだ鞄を持って、腰より長い艶やかな黒髪を風になびかせた青年が長い両足を砂に踏ん張っている。
なびく髪が、長い睫毛の影が落ちる端正な瞳が、月星の光に淡い青を帯びている。月の光よりも白い肌と言い日本人離れした体躯と言い、どう見ても異国人な青年は、砂浜に立ち尽くして己を見る男子高校生に気付くなり、
「うわオ?!」
心底から驚いた声を上げた。
「あ、……すみません」
「あ、ああ、……」
「あなたも、あの城を見に来たのですか?」
天空の城に素直な声を上げていた純朴そうな表情を一変、冷徹な雰囲気さえ纏わせて問う青年に、千早はこくり、人見知り気味に不愛想に頷く。
「ああ、失礼。私(わたくし)、深縹と申します。深い縹と書いてこきはなだ、ですね」
「はなだ……露草の色ですね」
自己表現を模索するあまり、木工や水彩、果ては日本画にも手を出している千早の呟きを耳にとめ、
「OH! 私(わたし)、露草と言うデース!」
深縹 露草
はうっかり素を漏らす。そうしてから慌てて気を引き締める。見れば彼は手に画材の入ったレジ袋を提げている。縹色に思い至ったのは、彼もまた絵を描く者である故なのだろう。
「私(わたくし)も突然の停電に驚いてしまったのですが、外を見ればこの美しい星空。それは絵を描く者の端くれである私の心が躍る程……!」
芝居がかった丁寧さで、胡散臭ささえ漂う口調で空を仰いで、露草はその瞳に星空ではなく空の城を映す。途端、取り繕う間もなくその顔が満面の笑みに崩れた。
「昔、アニメ映画で見たニャルタが、ニャルタが私(わたし)の目の前にあるではありまセーンカ!」
興奮して素の口調が出ていることにも気づかず、興奮のままに露草は喋る。
寝る直前に一人暮らしのアパートが突如停電し、ブレーカーを操作しても復旧せず、途方に暮れて半泣きで外に出てみれば、周囲のどこもかしこもが停電中。非常灯の代わりにと携帯電話を取り出して開いてみても、二つ折り携帯の画面は真っ暗のまま。
(いい加減スマホへ替えろと言う事でしようか? とほほーデース……)
そんなことを思いながら空を見上げて、星の綺麗さに気が付いたのが数十分前。
(そうだ……夜空の下の写生も、良いかも知れまセーン!)
――仕方ありません……夜の写生と洒落込みましょう
ご近所の目に気付き、髪かきあげながら溜息ついて、自室に戻るなりうきうきと割烹着を着込んだ。
(海岸の方まで行けば綺麗な風景描けそうデース!)
鼻歌まじりに鞄に画材と画用紙帖を詰め込み、ついでにお弁当箱に梅干とおかか入りのおにぎりを詰めた。お尻が汚れたり冷えたりしないように敷物だって詰めて、星空の綺麗な寝子ヶ浜海岸へと繰り出した。
「なんと幻想的デース! 感動的デース!」
そこでまさかこんな風景が見られるとは思ってもいなかった。
嬉しさのあまり外面かなぐり捨ててスキップし、空の城に少しでも近づこうとする変な外国人を見送り、千早はとりあえず空を仰ぐ。変わらず空にあるニャルタに白い息を吐き出し、歩き始める。
そのうちに近くなってきた潮騒に瞬きひとつして、何かに足元を引っ掛けた。空を見上げたまま躓いて砂に膝と手をつく。起き上がりながら振り向いて、
「これは、……」
思わず尻餅をついた。
「ロボット?」
ニャルタに出て来るロボットが、土色した巨大な胴と平たい手足を砂に埋め込ませて倒れている。
「あそこから落ちたのか」
駅ビルよりも高い空に在る城を見上げ、砂浜に伏すロボットを見下ろす。あの高さから落ちてしまえば、いくら頑丈なロボットと言えども壊れて――
ピピッ、とロボットの頭部に赤い小さな光が瞬いた。不思議な駆動音を立て、ロボットには見えない滑らかな動きで手をつきぐっと身を起こす。
千早が言葉失い見守るうちに、ロボットの腕に淡紫色した素材も知れぬ被膜が張り出す。
(ニャルタに帰る、のか……?)
普段なら、見ているくらいしか出来ない。けれど今は、
(行ってみたい……!)
物静かな顔つきのまま、内心に強く思う。
こんな機会は二度とないかもしれない。
(そうだ)
思い切って眼鏡を外す。途端にぼやける視界に唇が笑む。こうしてしまえば、怖いものもぼやけて見え辛くなる。思い切れそうな気がする。
こんな機会にさえ怖気づいてしまう己の気持ちを変えたい。
(『変わりたい』)
その言葉が、千早の身に宿ったろっこんを発動させる鍵。
鍵を鍵とも知らず、強固な自己催眠となるろっこんが発動したとも知らず、千早はまるで人格が変わったかのように強く微笑む。
赤い光瞬かせる頭をくるくると回して周囲窺うロボットの巨躯の前に両手を広げて立ち塞がる。
「僕も連れて行ってくれないか」
「あああ! 私も! 私も是非に行きたいデース!」
露草が砂に足を取られてこけつまろびつしながら必死の形相で駆けて来る。
「ああ、行こう」
瞳を前髪の下に隠したまま、千早は露草のもとに足早に近寄る。ほとんど強引に手を引き、ふたりでロボットの前に立つ。
「頼む」
ラジオから何十年か前に流行ったラブソングが流れている。
バスルームの鏡に残されたルージュの伝言を、ふと違う方向に暴走させて思い浮かべて、
(エロいかも)
七峯 亨
は不埒な笑みを唇に滲ませた。
海岸に吹く風の音にラジオの音が紛れて聞こえ辛くなるのも味のうち、と星空を仰ぐ。不意の停電に、諦めて寝ているのも気が乗らず、ラジオ片手に寒空の海岸へと散歩に出た。人通りの少ない通りを選んで歩けば、わざわざこんな停電時に出てきて夜歩きを引き留めるような人も居ない。
凍えるような風に衣服の裾が翻る。それが逆に楽しくも思えてきて、くすりと笑んで、
「……何だってこんなところに?」
停電するまでテレビで見ていたアニメ映画の一場面とそっくり同じな、空飛ぶ城を瞳に捉えた。
首を傾げて固まりつつ、
(また変なことに巻き込まれたかな)
同時に少し慣れたような感覚も覚える。アニメ映画のままに、あの空の城が本物になってしまうなんて、思ってもいなかった。
音もなく上空に浮く、けれど確かにそこに在るニャルタに、亨は視線を釘づけにさせられる。
とは言え、寒い海の空に浮かぶ城に自分の力で行ける気はしない。
(でも、)
やっぱり気になった。どうにかして行ってみたかった。
あの城には、一体何があるだろう。
空の城を見つめたまま、少年は天空の城に行くべく考えを巡らせる。
(ろっこん『縮身』は)
己に宿る不思議の力を思う。この力を遣えば、己が身を一センチまで縮めることができる。
例えば、紙製のグライダーを作り、小さくなってそこに乗り込めば。
(NO。飛ぶ以前に暗くて操縦出来ない)
例えば、自分をゴムか何かで発射してみれば。
(NO。そんなに飛ばないし帰れない)
例えば、飛べるものにくっついて行けば。
(OK!)
会心の笑みを浮かべ、暗い海岸を見回す。空にはあんなに目立つものが浮いている。見物人が居ないわけがない。そうして、この島には飛べるろっこんを持つもれいびが多々居る。
「っし!」
見回した末、少し離れた場所に立ち上がる巨大なロボットを見つけて、亨は己の運に快哉を叫ぶ。長い両腕に紫色した有機的な被膜を広げ、今しも飛び立とうとしているロボットの背にしがみつくようにして、ロボットの半分ほどの背丈の男がふたり。
「待ってくれ!」
躊躇なく声を上げる。何事かと三角の頭を巡らせる土色したロボットの前、亨は躍り出る。
お願いをするときは紳士的に、礼儀正しくが定石。
「ちょっとした冒険心であそこへ飛びたくて。よければ御一緒させて貰えないかな」
ロボットの背に居た黒髪の少年が迷いのない動作で飛び降りる。同い年か一学年上くらいか、と亨が目星をつける間に、前髪で目の隠れた少年はロボットと向き合う。
「皆で行けないだろうか」
目にあたる部分らしい赤い光を明滅させるロボットに頼み込んでくれる少年に、亨は笑いかける。
「君が空を飛べるように此方にはとても軽くなる手があるんだ」
運んで貰えるととても助かるが、と亨は丁寧に頭を下げる。
「……往復でね」
そうしながら付け足すことも忘れない。
実際にろっこんを使って小さくなってみせると、黒髪の少年は快活な笑み浮かべて両手に亨をすくい上げた。これなら、とロボットに言いながら小さな亨をダウンジャケットのポケットに納め、再度その背に乗り込む。
「さあ行こうデース!」
大学生らしい青年が心底はしゃいだ歓声を上げて空の城を指し示す。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年01月20日
参加申し込みの期限
2016年01月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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