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滅びの呪文の夢現
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右足で地面を三回叩く。
背に広がる翼を頼りに、
音羽 紫鶴
はニャルタの空へ舞い上がる。最後にこの町を巨木のてっぺんから見たかった。
淡い光を放つ都市部分を離れる。星月の光に照らし出された大樹の一番梢に立つ。背の翼をそのまま、足元に広がる空飛ぶ城を見下ろせば、広がる景色に思わず息を呑む。
夢幻と言われても仕方のない景色が、淡く蒼白い光を宿したニャルタが、眼下に広がっている。
(神魂の影響だとしても悪くないね)
城の下に広がる海も、闇に沈んだままの寝子島も、全てを瞳に映して少年は微笑む。
(やっぱり僕は)
この島に来てよかった。
――と。
空の島が震えた。
木々がざわめく。梢に憩うていた鳥達が一斉に空へと飛び立つ。
飛び立つ先からふわり、雪が溶けるように鳥達が姿を消す。
身震いする大樹の根に抱え込こまれていた城塞部分が剥がれ落ちる。海へと墜ちながら、けれど海に崩落するよりも先、鳥達と同じように幻の如く空へと溶けて消えて行く。
例えば彼らは幻で、幻は幻として消えたのか、それともニャルタの存在する別の世界へと還ったのか、それも分からぬまま、紫鶴はただ消える鳥達を見守る。
消えゆく鳥達の中に、消えぬ雀と夜鷹を見つけ、紫鶴はそっと息を零した。あれが誰かは分からないけれど、寝子島から来た彼らもまた、崩壊する城から無事に逃げおおせたのだと安堵する。
紫鶴は翼を広げる。夢のようなひとときを過ごさせてくれた空の城に別れを告げ、空へと飛び立つ。
いつの瞬間だろう、島に眩しい光が戻っている。
島に灯る電気の光に薄まる夜を見渡せば、崩壊する城から飛び出す飛行部隊のリーダー、
鴇波 羽衣
が見えた。羽衣のろっこんの力を受けた布を纏い城が崩壊する最後の最後までをデジカメに納めようとシャッターを切り続ける亜麻色の髪の少年が見えた。
アホウドリのような大翼を広げる誰かと、その誰かに抱えられて脱出する少年が見えた。
空中に作り出した見えない足場に立ち、崩壊する城を呆然と眺める少年二人を見た。
ロボットの背に乗った大柄な黒髪の少年と黒髪長髪の青年が瓦礫と共に落ちて行く黒髪眼鏡の少年を空中に拾い助けるのを見た。
城を訪れた人々がそれぞれに脱出するさまを目の端に捉えつつ、紫鶴は寝子島の空に現れたニャルタの最後を静かに見届ける。
白砂に寄せては返す波に風が跳ねる。風に巻き上げられた波に星の光が宿る。
波打つ銀の髪が白い頬にまとわりつくまま、
ゼロ・シーアールシー
は星の光の銀色を写し取った瞳に天空の城を捉え続ける。
心にあるのは、未来にも思えるほどに遥かな過去への追憶。
(ゼロは、絶対の無限をも無限に超越する大きさのゼロだったのです)
見上げ続けるうちに落ちて行きそうにも思える星の海に、ゼロは小さな指を伸ばす。
(そのゼロの脳裏から、ふとした拍子に零れ落ちた、大きなゼロにとっては無限に小さな夢の欠片)
風に巻き上げられた銀の髪が伸ばした指にまとわりつく。
(それは更に無限数の欠片になり、その欠片にとって更に無限に小さな無限の数の欠片になり、……無限に繰り返しを繰り返すうち、その一つ一つが、そして絶対の無限を超越するだけ繰り返した果ての、)
指先に触れる風の冷たさに瞬き、空に輝く星の眩しさにも瞬く。
(一番小さな夢の欠片となる。その一番小さな夢の欠片ですら、世界を無限個内包できる大きさ)
ゼロは静かに瞼を閉ざして開く。小さなゼロが瞬きひとつするうちにも、幾億もの星々が幾億と煌き、幾億と消えてゆく。
(その一番小さな夢の欠片から、無限の数の世界が生まれていく)
ゼロは己を思う。己を生み出した無限の彼方の己を思う。それはとても壮大なお話で、とても小さなお話。
波飛沫が上がる。その一粒一粒に光が宿る。世界が宿り、砕けて消える。消えながら、目にも見えぬ数多の世界に分かれて行く。
宇宙の外側で聞いた音を立てながら、数多の宇宙が生まれて死ぬ。
数多の宇宙の中の、無限に広がる世界の中の、そのうちのたったひとつの世界に立って、小さなゼロはたったひとつの小さい世界を見つめ続ける。小さな小さな世界であるのに、その小さな世界は小さなゼロに無限に思えるお話を見せてくれる。聞かせてくれる。
永遠に続く無限のうちのほんの刹那である今も、ゼロの目前には数え切れぬ物語が紡がれ続けている。
星月輝く空に浮かんでいた空の町が、悲しげに身震いしたようにも見えて、ゼロは目を瞠る。
城が、崩れる。
大樹が抱いていた要塞部分が、梢を縦横に走っていた石の道が、幹に貼りついてた白い町並みが、雲母が剥がれるように落ちて行く。海に落ちるよりも先、魔法が解けて消えるように、ふわり、掻き消える。
要塞部分の剥げ落ちた大樹の根に抱かれる鮮烈な蒼白い光を見て、
桜 月
は白い吐息を零した。
大樹の梢にほんの僅かな箱庭を残し、重い荷を振るい落として解き放たれたが如く、天空の城が遥かな空高くへ昇ろうとしている。
海に落ちる前に掻き消える要塞の残骸が白い光を放って見えて、月は背後の己の住む町を振り返る。
「……光が」
消えていた街の光が、元通りに夜空を照らしている。いつもは気にせぬ、けれど闇に慣れた瞳を刺す眩しい光に、月は血色の瞳を細めた。
空に消えようとする空の城から、ろっこんの力借りて空の城へと登った人々が次々に降りて来る。
白鶴の翼持つ少年、人の意志持つような雀と夜鷹、まるで天女の羽衣のような布を纏うた少年と少女、目に見えぬ足場を頼りに楽し気に跳ねる少年達。
空飛んで海岸に降り立ち、優雅な礼をしながら消えゆくロボットに手を伸ばし口々に礼を言う少年達。
空から帰り来る彼らを瞳に捉えて、翼持たぬ月はほんの微か、笑う。
(次は天使や悪魔、翼を持つものをイメージしたデザインを考えよう)
空行く翼は持たぬまでも、心を空に舞わせることはできる。空に舞う心を描き留め、衣装に縫いつけることはできる――
「っと、とと」
「うお?!」
白い大翼で風を切り、少年を連れた女性が空から舞い降りる。着陸直前にパージされ、
ナイト・レイヴン
は波打ち際にたたらを踏んだ。踏みこたえられずに砂浜に受け身をとるはめになる。
「おーい、大丈夫かいー?」
街の光がうっすらと届く海岸の砂を跳ね上げ、こちらは見事に両足での着地を成功させた
三夜 茜
が闊達な笑い声をあげる。爪先を波に洗われながら砂浜に仰向けになる少年の傍らに立ち、ひょいとかがみこむ。
「はいよ」
当然の顔して携帯を差し出す。怪訝そうに見上げられても怯まず、
「メアド交換。赤外線でぴこーん、ってね。昨今は便利だよな」
なし崩し的にメールアドレスを交換した挙句、ひらひらと手を振って軽い足取りで去ってしまう茜の背を緋色の目に映し、ナイトは唇を歪める。
「……なんだったんだ」
不機嫌に歪んだ唇は、空に消えゆく城を仰けば、案外すぐに淡い笑みへと変わった。
「茜、か」
空仰ぐナイトの瞳に映るは、消えゆく空の城を背に、纏った布をまるで天女の羽衣のようにひらめかせて海岸に降り立つ、亜麻色の髪の少女と少年。少年の首に巻かれた赤いスカーフと、スカーフにしがみつく黒猫が目を惹いた。
「ブラック」
猫の名を呼び、
八神 修
は首に抱きつく愛猫を片手にかかえる。猫の体温を夜風に冷えた頬に感じながら、地上に戻った光に照らされつつ消えようとしている空の城を仰ぐ。
「崩壊、止まったね」
傍らに立って同じように空を仰ぐ
鴇波 羽衣
が白い息を吐き出して囁く。
「ああ、……皆、無事だといいな」
空よりも海よりも鮮やかに青い、巨大な宝石が大樹の根に絡めとられて残っている。
魔導科学の粋たるあの宝石に続く鍵となる魔法の石を持たぬが故か、あの城の正統後継者たる王族の血を持たぬが故か、あの場所に辿り着くことはできなかった。
(だけど、……)
消えゆく城を見つめるまま、ポケットに指を入れる。ポケットいっぱいに詰めたはずの宝石もロボットの部品も、何もかもが夢のように消え失せている。
(だけど、)
「確かにニャルタは在ったよ」
崩れゆく先から月光煌く宙に溶けて消える、夢とも現とも知れぬ空の城。
その城から地上に降り立ってはまるで夢追うが如く空を仰ぐ人々をその瞳に映し、ゼロは夢見るように淡く微笑む。
「お帰りなさいなのですー」
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
滅びの呪文の夢現、お届けにあがりました。
……できごころと言いますか、はやりものに乗っかりたかったと言いますか。
『ニャルス!』
なのです。
みなさまのお話、とても楽しく書かせて頂きました。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加くださいまして、読んでくださいまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年01月20日
参加申し込みの期限
2016年01月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年01月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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