変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～｜リアクション

変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～

　後木真央は絶望していた。
　お手製のピンクスーツ（非公式PECスーツ）姿で地面に伏せていた。
　それはまるで、栽培系戦闘生物に自爆攻撃を食らった伝説の噛ませ犬キャラのようだった。
「やべぇのだ……秘蔵と胸張れるエログッズがないのだ真央ちゃんはまだまだ甘かったのだ～！」
　後木は変態たちの勇猛果敢な行動になぜか憧れていた。
「ココロは準ＰＥＣ構成員でも現実は……っ！　かくなる上は存在自体が秘蔵である同寮の同人作家のあの子を燃やすしか……っ！　いやだめなのだもう打つ手なしなのだ……！」
　後木は危うく生きている人間を焚き火に放り込むところだった。
　だが彼女の理性がそれを押しとどめた。
　後木は号泣しながら床殴りを開始する。
「モテモテスターを手に入れることはできないのだだがしかし！　こうなったら大先輩の味方をして偉業をこの目に焼き付けるのみなのだ～！」
　後木は涙を流しながら、緑の唐草模様の風呂敷に緑の画用紙で切り取った大きな葉っぱを木工ボンドで何枚も貼り付けていく。
「造花もティッシュフラワーも花なのだ♪　葉の色して葉っぱ型さえしていれば全て葉なのだ真央ちゃんあったまいー」
　出来上がった葉っぱ風呂敷を前に、なんと後木は下着すら脱ぎ去った。
　全裸に葉っぱのついた風呂敷を被った後木の姿は、どう見たって変態だった。
「これで軽犯罪を誤魔化しつつ真なるエロ人のモテモテスターＧＥＴに貢献できるのだエロの片隅にちょこっと隠れて席を置かせていただいてる真央ちゃんも偉大なる先達の役に立てるのだ～！」
　その目に溢れる涙は、自分の健全さへの悔恨の証なのか。
　葉っぱ風呂敷を巻きつけ、スマホとデジカメと懐中電灯を入れたリュックを背負うと、後木は深夜の九夜山を自転車で下っていく。
「たくさんスマホで撮影するのだそしてねこったーで大先輩たちの勇姿をアップするのだ♪！」
　……冷静に考えてほしい。
　全裸の男女が騒いでいる画像がネットで世界中に配信されるという事実がどういう意味をもたらすのかということを。
　後木はその事実を完全に考慮していない。
　今、PECに社会的トドメを刺しそうな存在が動き出してしまった！！
　そして自身も完全にストリーキング行為を敢行しているという事案にそろそろ気が付いてくれ！！