変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～｜リアクション

変態の軍隊 Revolution ～葉っぱ１枚でも寒くない～

　その書き込みの数秒後。
「……情報をくれ、ねぇ？」
　赤銅色の長い髪をかきあげ、彼女は気怠げに呟いた。
「別に自己顕示欲の強い莫迦じゃないけど、情報欲しがるそっちも大概よね？」
　緑のコートを着込んだ二十歳前後の女性は、シガレットチョコを加えながらディスプレイに視線を落とす。
「ま、もとよりこちらは冷静に情報を分析しつつ裏生徒会や追跡者にりーくするつもりだったけど♪」
　彼女もまた対変態の抑止力になるべく、情報戦を仕掛けているのだ。
　彼女の名前はデネボラ。大田原いいなが、自身のろっこんで大人化した姿である。
「裏生徒会のあかうんとらしきものは見付からず……うまくかもふらーじゅしていると見たわ。でもこんな時こそ仇敵……いや、今回は緑のこーと着てるし、ろっこん発動しっぱなしだから、だーりんって言うことにしよっと♪」
　デネボラは“だーりん”の言葉を思い浮かべる。
「たしか『情報戦は常に冷静に……。淡々と情報の分析を行って、騒ぎの現場に向かうことが重要だ。書き込みの内容が矛盾しているときは、書き込んだ人間のクセを考えることだ……』だったわね♪」
　デネボラは偽のアカウントを作成し、ニャースブックに登録する。
　そこで『寝子島の変態は滅べ！』『葉っぱ１枚とか頭がおかしい』などとネガティブキャンペーンを開始。
　すると、１件のフォローワー通知が。
　デネボラはそれを見てほくそ笑む。
「……釣れたわ」
　フォローしてきたアカウント自体は、ただの飲食店の公式アカウント。
　だが、付随しているメッセージに、こう書かれていた。
『その怒り、寝子高裏生徒会粛清部で発散しないか？』
　デネボラは相互フォローを完了すると、早速、協力をする態度を相手方に見せた。
　するといとも簡単に情報が手に入るではないか。
「ちょろいわね♪　おっと、さっき情報が欲しがってた輩がいたわね……」
　デネボラは受け取った情報をそのまま匿名巨大掲示板に横流しする。
「さぁて、忙しくなるわね。すまほはいつでもかめら機動おーけー。『にゃっぷるうぉっち』でねこったーも見られるようにしたし、これでいつでも情報を拾えるねっ♪」
　やけにテンションが高めのデネボラは、緑のコートを一度脱ぐと、それを愛おしそうに抱きしめた。
「……だーりん、悪いけど、だーりんのいた組織は、このデネボラが潰すよ」
　デネボラは気持ちを切り替え、コートを翻すように着込んだ。