空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～｜リアクション

空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～

【突撃隊VS抜刀隊】

・敵見ゆ（１３：００）

「ふんはっ！」
　グキッ！　という音とともに、折れたものが綺麗にくっつく。
「ぎゃぁ！」
　尾鎌蛇那伊は衛生兵の格好をして治療をしていた。
　森の中で兵士の襲撃があったのだが、その兵士撃退後、運悪くバランスを崩して、左手がおかしな方向を向いた握利平の治療だ。
「シャンティ…、一回だけで良い。お前の事、モフりたかったぜ」
「雰囲気だしたって、速効性で治らないわよ」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ！」
　ついでに、他の怪我もあったのでマッサージをされる。
「Молчать (黙れ) ！　敵に気づかれる」
　ナタリア・シシロヴァが本来激励のはずの言葉を言う。
　利平はニュアンスで理解したのか、ぐぅと色々とこらえる表情をした。
「ロベルトを見ると良いわ」
　そう言ってロベルト・エメリヤノフの方をあごで指す。
（敵にかわいい少年兵でも居ればもうちょっと殺る気出るんだけどな……そうも言ってられないか、ここを突破すれば勝てるんだね）
　そんな心の中など知られず、赤い髪をなびかせて、ロベルトは静かにしている。
　そして、治療が終わった。
　治療ついでに、小休止となっていたので、終わったらまた歩く。
　そろそろ落神神社が見えてくる手前といったところだ。
「……見えた」
　御剣刀がゆっくりと近づく……。
「……あれは、天幕かなー？」
　ちょうど時代劇に出てくるような天幕があり、真ん中に寝子島の模型があるのが分かる。
　桜庭円は敵の気配を探りつつ、手に持った手榴弾を意識する。
　……突入組は２つのグループがある。
　一つは、ナタリアを中心としたグループ。
　もう一つは、刀と円のチーム【にゃー】である。
　それぞれのチームが、一直線に実理を目指す事になっていた……。
「……っ！」
　円が天幕に向けて手榴弾を投げる。
　ドォン！　と音がすると同時に、銃声が神社の至る所から、発射される。
「Огонь！(撃て)」
　ナタリアらも負けじと撃ち返す。
　しかし、人数の少なさか、相手より総合的な火力は低い。
　それを理解してか、しばらくすると、カチャッという音が聞こえてきた。
「来るわよぉ？　抵抗する怪我人には力づくでもひん剥いて治療するわ」
　蛇那伊は、怪我の治療に専念するようだ。
　ナタリアは軽く頷く。
「約束よ……。血の味か、鉛の味か……土埃にまみれても、貴方達の死を”犬死に”にはしない」
　ナタリアはそう言って、利平らを叱咤する。
　言いつつもモシンナガンM1891/30を敵兵から奪っておいた突撃銃に切り替える。
　何の因果か、奪った装備は三八式歩兵銃である。
「だから、安心して死になさい……Умрите для победы(勝利の為に死ね)！」
　ナタリアのその号令とともに、突撃隊は、いっきに神社へと迫る。
「……いくぞ」
「わかった」
　刀は、相手の着剣の作業と同時に飛び出し、円が先に先行する。
　円のろっこん【ブレイブハート】の効果をより高める為だ。
　彼らも瞬く間に境内を通り過ぎようとしていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ！　くっそぉぉぉ！　くそっ、くそぉぉっ！」
「こういうときは同郷の志が一番信頼できるよ……だから、Ураааааа！！」
　ナタリアに続き、利平が、ロベルトが走る。
　その瞬間、敵も一斉に飛び出してくる。
「あらぁ？　３人居るわね？」
　後ろから、援護行動を取る蛇那伊はすぐに気がついたが、すでに乱戦は始まっていた。