空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～｜リアクション

空想サバイバル・バトル　～寝子島を奪還せよ～

【戦車を破壊せよ！】

・山道手前（F９付近）（１１：２０）
　
　今走っている地域は馴染みのあるものも居るだろう、なぜならば寝子高が見える位置に近いからである。
　市街地を突破した満月、荒太郎らは、修の狙撃の援護を受けつつ、敵兵とほとんど遭遇せずに、山道の手前まで来ていた。
「……という事だねぇ」
　壬生由貴奈はトラックの後ろに乗り、火炎瓶の確認とガトリングを組み立てつつ、作戦やものの使い方を初島優に説明していた。
　ビル奪還後、トラック出発から、さまざまな準備が行われた。
　現在、その仕上げとして神薙焔も準備に加わり、トラックの中で組み立てていた。
「……一か八かだけど、やってみる価値はありそうね」
　そもそもこのガトリングガン……GAU-8 Avengerは重く、運用に向いてない。そこで、トラックの中で直接くみ上げる事にしたのだ。
　幸いにもこのトラックはそれらをするのに十分な広さが不思議とあるようだ。
「……こういう仕掛けなんだねぇ」
　事前に聞いたアドヴァイスを思い出しつつ、優はぼそっとつぶやいた。
　出来すぎていたり、幸運だったり、突然のチートだったり……あるいは、仲間が死ななかったり、そういう幸運は、別の人のところから来ているのだ。
　優……そして他のメンバーここまで来てそれをさんざん思い知った。
　また、事前になにやら由貴奈に講習を受けていたエヴァ・ブランシェと蜂須賀ルドは、すでに先行している。
「……そろそろね」
　そう言って、焔が組み上がったガトリングガンをぽんっと軽く叩いた。
　時計では１１時３０分に作戦開始である。　
　由貴奈が狙いを定め、ワルサーGew43を構える。
「さん、に、いち……今！」
　焔の言葉のその瞬間、轟音が戦車の前で響き渡った。

　数分ほど前……。
　さて、先ほどから先行していたエヴァとルドの二人は、困惑していた。
「……どうして、戦車だけなのよ？」
「……とにかく、有利になったんだぜ？」
　道のど真ん中に戦車が二両どどーんと居座っている。
　そして奇妙な事に兵士がまったく見えない。
　戦車前に一人、後ろの方に３人といったところだ。
　そうこうしているうちに、実行時間が近づく。
「……まぁ、作戦は変わらず」
「……だぜ」
　エヴァとルドは頷き合うと、作戦を開始した。