サンタクロースの贈り物～ニャンタクロース♪～｜リアクション

サンタクロースの贈り物～ニャンタクロース♪～

「うにゃにゃにゃにゃ、にゃーん♪」
「にゃごにゃ、にゃーごにゃごにゃ」
「にー？　にーにー、にー？」
　ジェレミア・ベルトーニの前で、飼い猫のすみ、こはく、るちるがこの上ない至福の表情で、床の上をころころ転げまわっていた。
「こんな風に一緒に遊べるのは、何ヶ月ぶりだったか」
　ジェレミアは少し記憶を遡ってみるが、途中で頭をふる。
　いま遊べることに感謝しよう。
　そう思う彼の目線には、ニャンタクロースが。
　ニャンタクロースもジェレミアの三匹の猫たちと一緒になって、床にころころ転がっていた。

『今日一日、動物たちが病気にならないように、魔法を使うニャ♪』

　そういって、ニャンタクロースが杖を振るったのは小一時間前だ。
　ジェレミアが飼い猫たちと十分遊べるように、ニャンタクロースがそうしたのだ。
　動物病院とはいえ休日はちゃんとあるのだが、それでも急患が入れば休みだろうとジェレミアは働いていたのだから。
「ねぇ、ニャンタ。ずっとずっと動物たちが病気にかからないようには出来ないのか？」
　一時的といわず、永遠に動物たちが病気にかからなかったら、どれほど素敵だろう。
　もちろん、そうなったらジェレミアの動物病院はつぶれてしまうけれど、動物が苦しまなくなるほうがいい。
「ニャンタクロースの力は大きいようで小さいのニャ……」
　しょぼーんと、肩を落とすニャンタクロース。
「仕方がないね。今日だけでも、苦しむ子がいないことを喜ばせてもらうよ」
　しょげたニャンタクロースを撫でて、ジェレミアは猫じゃらしを振る。
「ニャンタもうちの子たちと一緒に遊んでくれるかい？」
「仕事中なのニャ」
「ニャンタが一緒に遊んでくれたら、うちの子たちも喜ぶと思うんだけどな。それって、仕事のうちにはいらないか？」
「喜ぶなら、仕事になるのニャ♪」
「よし、決まりだね。ほーら、みんなおいで」
　ジェレミアが思いっきり猫じゃらしを上下に振る。
　ぴょーん、ぴょーん、ぴょーーーん♪
　３匹の飼い猫と、ニャンタクロースが空中にじゃーんぷ☆
「負けないニャ、もっと高く飛んで見せるニャ！」
　ニャンタクロースも気合が入りだして、マジ顔できりりっと目をを輝かす。
「そうか？　なら、この高さはどうだ」
　中腰になっていたジェレミアは、立ち上がって猫じゃらしを上下に揺らす。
「すみ、結構ジャンプできたんだな。こはくも届くね。るちるはまだまだかな。もう少し飛べるかい？」
　一番小さな雑種のるちるが、もう一回じゃーんぷっ。
　そのしてそのまま、ジェレミアの胸に飛びついた。
「ああ、元気一杯だね」
　しっかりと胸に抱きついているるちるを撫でて、ジェレミアはそのままソファーに腰掛ける。
　なんだろう。
　とても楽しく過ごしていて……。
　胸の中のるちると、すみとこはくが、３匹揃って、ジェレミアのソファにのってうとうとし始める。
「ニャンタ、今日は、ありがとう」
　上まぶたと下まぶたがくっつきそうになるのを頑張ってこらえて、ジェレミアはニャンタクロースにお礼を言うと、そのまま３匹と一緒に寝落ちていた。
「とっても、楽しかったのニャ♪」
　ニャンタクロースはそんな彼と３匹の猫の為に毛布をかけてあげると、そのまま、空に消え去った。　　