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【冬のイリュージョン】
「そうか。このピアノは、使えないのか……」
ちょっぴり残念そうに言った
八神 修
へ、
呉井 陽太
は、申し訳なさそうに眉を下げました。
「そうなんだよぅ。修理が終わってなくてねぃ……ごめんねー?」
「いえ。ピアノの生音には叶わなくとも、キーボードを用意してありますから。何とかなりますよ」
寝子島イリュージョンランドには、地下道があります。この場所が放棄された後、誰も足を踏み入れずに荒れ放題だった通路をどうにか通れるように片付け、野外音楽堂の下部にあたる地下の控室を見つけたのは、他ならない陽太でした。
以前は野外へ安置されていたグランドピアノは、今はこの控室へと移動してありました。雨ざらしの吹きっさらしはさすがに気が引けるもので、秋ごろに苦労して、ここへと
運び込んでおいた
のです。
礼を言って去っていく修を、手を振って見送りながら、
「演奏楽しみにしてるよぅ、頑張ってねー!」
声をかけた後、陽太はひとつ息をついてから、再び作業を再開します。
目の前に置かれたこのピアノの製作者でもある、とある元ピアノ職人の仮弟子となることができたのは、陽太にとって大きな幸運だったと言えるでしょう。彼の息子とも呼ぶべきこのピアノの修理と調律を引き受けることには、それ以上の重い責任もまた感じるにしろ……光栄で、実にやりがいのある仕事です。ピアノは古めかしくて、大仰で、未だ荘厳で、色褪せない輝きを放っています。山積みの困難を乗り越えて、無事に修理を終えることができたその暁には、艶めくような味わい深い音色を奏でてくれることでしょう。
陽太は自ら堪能するその瞬間のためにも、階上から届くライブの音に耳を傾けながら、今日もまた一心に修理を続けます。
(あー……オレもこのピアノで、参加したかったなぁ)
地下にまで聞こえてくる歌やギター、トロンボーン、キーボードの音……それらはどれもが陽太の胸へと染み入って、時に揺さぶり、時に全身を熱くして、彼を楽しませてくれました。細い目をますます細めながら、ついつい鼻歌まじり、良い気分。何だかこのまま、ずっと聴いていたくなってしまうほどの心地良さ。
自分もまた、このピアノを野外音楽堂で思うさま弾き奏でることができたなら……そんな狂おしい欲求にも苛まれるほどです。けれど残念ながら、作業は一朝一夕で終わるようなものではなく、今夜のステージには到底間に合いそうもありません。
(でも、まぁ……いっかぁ♪)
とうに忘れられたはずのこの場所へ、今日はこんなにも多くの人々が集まって、大いに盛り上がっているようです。一緒になって参加することはできなくても、こんな風に遠くからその賑わいや心躍る音楽に触れるのもまた、悪くは無いかもしれません。その証拠に……いつのまにか、たん、たん。つま先は勝手にリズムを刻みました。
観客たちは誰もが、このイリュージョンランドで共有する感動を、忘れることはないでしょう。きっと、こんな機会はまたいつか、巡ってくるはず。その時にこそ、陽太は彼らの前で、ピアノの音を存分に響かせることができるはず。
(そのためにも、気合を入れて周囲を頑張らないと……に、しても)
くしゅん! くしゃみをひとつ。地下の控室はしんと冷えて、手元はかじかんでおぼつかず。
「……寒ぅっ! 冬は辛いなぁ……でも、頑張るっ」
つぶやいて、取り出したカイロで手のひらと指先を温め、音楽に包まれながら陽太はピアノと向き合い、次第に作業へと没頭していきました。
聞き慣れたクラシックのみならず、こんな激しいロックもまた良いものだと、
斑鳩 遙
はステージの上に立つふたりの女性を眺めて嘆息します。ちょうど
白浜 渚
の歌声や
樋口 弥生
のギターが響いていた頃合いで、燃えるようにアツい彼女らの音楽は、普段の遙には少々遠いものではありながらも、底知れないパワーには圧倒されるものがありました。
(陽太君や……ひょっとしたら、彼女も。どこかで聞いているだろうか)
何とはなしに思い浮かべたのは、一緒にピアノを運んだ彼の顔。
あるいは……このところ親しく時を過ごすことも多い、彼女の顔。
以前までの遙なら、出所も分からない噂に振り回されてやってきた、酔狂な観客たちへと皮肉のひとつも向けていたことでしょう。遙を絡め取っていた呪縛が、きっといつものように、シニカルな感情を抱かせていたはずです。
こんなにも純粋に物事を楽しめることを、自身が少しずつ変わり始めていることを、遙は改めて自覚します。彼らとの出会いは、沈み込んで曇りがちだった遙の価値観を、徐々に浮かび上がらせてくれているようです……それが何だか心地良いと感じることが、遙には少し、不思議に思えました。
(……俺はずっと、お前の死によって呪縛され続けていたのだろう。時任……だが、もう。俺は)
親友の死という衝撃が、遙を足元からぐらつかせるものであったのは確かです。その衝撃の大きさが、今となっては、より自分という存在を知らしめてくれているような気がします。あるいは、陽太に少しずつ習い始めたピアノ、鍵盤の並びに向き合うことが、どこか自分自身と向き合うことにも似ているからかもしれません。
時任 彼方。卓越した技術を持つ天才ピアニスト。悪魔的に遙を支配した男。誰にも真似ることのできない、あの美しいピアノの音色。
親友。そう、彼は紛れもない、親友でした。いかに自分が引き立て役に過ぎずとも、彼の自尊心を満たすための存在でしか無かったとしても……彼が演奏するその後ろ姿は、どうしようもなく孤独に見えたのです。
まるでたったひとり、ピアノと愛を語らうかのように。
(そこに、俺の居場所は無い。割り込む余地は無い。そう、思っていたが……)
わぁ……! と周囲で歓声が上がり、舞台の上では渚と弥生先生のボルテージが最高潮へと突入し、感じる熱は遙の奥底までも、かっかとあたためていくかのようです。愚直なまでに真っ直ぐで、純粋で、ただ音楽を楽しむその姿に、揺り動かされるようです。
そんな音楽人たちを、遙は今さらながらに、好ましく思います。愛おしく思います。
(聞こえているか? 届いているか? 時任。お前のところへも、この音楽が)
遠く、輝く星空を見上げて、遙は願いました。届きますように。この素晴らしいひと時を、この瞬間に、彼もまた共有していますように。そう、儚く願いました。
曇り空が晴れてこそ、星は見えるのです。遙はここ最近でずいぶんと見えやすくなった心に、あの頃は気付けなかった感情を見つけました。
(俺は……お前が好きだったよ。時任。それがたとえ、お前の望んだ好意ではなかったとしても……かけがえのない、友人として)
あのピアノが直ったら、彼の曲を弾いてみよう。遙は思います。彼の技術、音楽の造詣には到底及ばずとも、拙くとも、彼の作ったあの曲を。
いつかそうすることで、記憶の中の親友が重く連なる呪縛などではなく、本当の意味で、在りし日の懐かしい思い出へと変わっていくのでしょう……彼にはそんな、確信がありました。
ステージ上のふたりが演奏を終え、湧き上がった歓声と拍手の渦へ、遙もまた惜しみない、心からの拍手を添えました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月08日
参加申し込みの期限
2015年12月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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