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おうちに帰る前に
秋風が運ぶ予兆
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手伝ってほしいとお願いした訳ではなかった。
野外音楽堂のピアノを控え室に移そうと思っている。何かの話題の折にそうメールで送ったところ、向こうから手助けを申し出てくれたのだ。
嬉しいなあ、そのぶん頑張らないと――心のうちにそう思いながら、
呉井 陽太
は頭をさげた。
「ありがとうございます、遙さん。ホント助かります」
礼を言いつつ、額にじんわりとにじんだ汗を手の甲でぬぐう。
ピアノの運搬は思った以上に重労働だった。年上の知人、
斑鳩 遙
の手助けがなければ運べなかったかもしれない。
「いや、いいよこれくらい。それに地下道ってなんだかワクワクするしね」
そう言うと、斑鳩は懐中電灯の明かりを先に続く道の暗がりに向けた。光の経がそこまで大きくないせいか、その明かりはさほど遠くまでは照らしてくれない。
自分よりずっと年上であるはずの斑鳩だったが、彼は時折こうした飄々とした様子を見せる。もっとも、暗がりの地下道なんて冒険めいた状況、男子なら誰しも多少は心を躍らせるものではあるが。
「にしてもここの地下道、運搬以外で使う機会はないんだろうね。ガラクタだらけだ」
懐中電灯であちこちを照らしながら斑鳩がいう。
しかしその口調に、退廃した乱雑さへの呆れや嫌悪はない。
こうした廃墟めいた空間にはどこか心惹かれるものがあった。朽ち果てていくだけの用品、朽ち果ててしまったガラクタ。それはまるで、遠い記憶の向こうの、瓦礫で埋まった忘却の跡地のようだった。忘れられるだけの場所。忘れ去られても留まり続ける残骸。消えてしまってもなお――
「少し休もうか」
瓦礫から目を離すと、斑鳩は一息つくような、ため息をつくような短い息をはいた。地下道はもう半ばほどまで来ている。一度休みを挟めばもうすぐにたどり着けるだろう。
運んできたグランドピアノに軽くもたれかかると、呉井はカバンの中からペットボトルの水を取り出した。これどうぞ、と2本目を斑鳩に手渡す。
「ありがとう、いただくよ」
「なに、手伝ってもらってるお礼ですよ。ずいぶん安いお礼になっちゃいましたけど」
冗談めかして笑うと、呉井はペットボトルの水を口に含んだ。
乾いた唇に潤いが戻る。しゃべりやすい口になったところで、
「そういえば」
呉井は斑鳩の方を見た。といっても、懐中電灯のおぼろげな明かりの中、彼の顔はほとんど見えないけれど――
「……あれから時任さんの死の真相について何か分かりましたか?」
きっとその話だろうなと斑鳩は思っていた。
斑鳩は、小さく首を振った。
「逆に君はどうなんだ? もし察しがついているのなら、教えてほしい」
どんなに残酷な真実でも、俺は受け止める。
その決意を胸に、呉井の言葉を待つ。
しばしの沈黙の後――呉井はゆっくりと口を開いた。
「そうですね……オレだって何も考えていなかったワケじゃあありませんし」
けど、と続いた呉井の言葉は逆接のものだった。
「たぶんですけど、オレの考察を伝えたとしても、今の遙さんだったら……ああそうなのか、そういう考え方もあるのか、って、ただ受け止めるだけになりそうな気がするんです」
予想していなかった呉井の言葉に、斑鳩は軽く首を傾げた。
受け止める。たしかに彼はつい先ほど自分の胸の中でそう決意をした。
「そう、か……たしかにな。俺はどんな事実でも受け止める覚悟で君に尋ねたんだ」
「もう本当は受け止めているんじゃないですか?」
呉井は何か言いたいようだった。が、斑鳩への目上の者としての敬意や彼との間の友情がそれを妨げているようだった。
「言いたいことがあるのなら、遠慮せず聞かせてほしい」
そう促す斑鳩の声音は、自分でも意外だと思うほど優しげだった。
斑鳩の言葉に、呉井は「生意気だったらすみません」と前置きをして言葉を続けた。
「受け止めてるっていうか、本当はもう行き着いてるんじゃないですか? 遙さんの頭の中では、真実に」
「……」
呉井のまっすぐな言葉を、斑鳩は黙って聞いている。
「それなのに、認めようとはせず自分から迷宮入りにしているように見えるんです。あくまで、オレには……ですけど」
オレの考えはこれで終わりです。
閉じきった地下道に余韻を残したまま、呉井はそう締め括った。
しばらく斑鳩は黙ったままだったが、ややあって口を開く。
「呉井くん……もしよかったら、ピアノを教えてくれないか?」
それは唐突な申し出だった。ともすればこれまでの会話とかみ合っていないような言葉であったが、呉井は小さく笑って首を縦に振る。
「それくらいお安い御用です。今日、手伝ってくれたお礼もちゃんとしたいですし」
「ありがとう。なんだかな――君に言われて、レクイエムの一つでも弾いてあいつを見返してやりたい気分になったんだ」
今更だけどな、と斑鳩もつられるように笑顔を見せた。
たどり着いていた真実。自ら封印していた真実――きっと自らの奏でる彼へのレクイエムが、その鎖を断ち切ってくれるような予感がしたのだ。
ピアノの音色が心から時任を弔うとき、すべてが分かるような予感が。
「オレでよければ、いくらでも教えますから……だからどうか、本当の意味から目を背けないでください」
呉井の言葉に、斑鳩は目をつぶり――ああ、と短く返事をした。
そういうことなら、とそれまでの重苦しい空気をぱんと断ち切るように、呉井が明るい声音で言った。
「とりあえず、このピアノを早く運んでしまいましょうか。あとオレ、こう見えてけっこうスパルタかもですよ?」
「……お手柔らかにな、先生」
呉井の冗談めかした言葉に小さく笑いながら、斑鳩は置きっぱなしにしていた懐中電灯を手に取った。
闇の先を光が照らしている。
これから自分が向かうべき迷宮のような道――しかし、いつかきっとたどり着けるだろう。
照らしてくれる光がそばにあるのだから。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
花村翠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月02日
参加申し込みの期限
2015年02月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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