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クリスマスイリュージョンライブ!
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【それぞれの岐路を行く】
会場はなんといっても、屋外。爽やかに澄んだ空の下で素晴らしい音楽に触れられることは、大変に気持ちが良い……というのは良いとしまして、実のところそこにはいくつかの、ちょっとした問題がありました。
楽器、ことに周囲へと目いっぱいに大きな音を響かせることができるようなものは、どうしてもなかなかに、かさばるのです。演奏中はまだしも、出番を待つ間、あるいは終えた後に楽器を抱えたまま観覧するなんていうのも、正直大変でありまして……それに会場には屋根も無いことから、急な天候の変化で雨に降られたりして、演奏者さんたちの大切な楽器がダメになったら、あかんやん!
といった次第で、演奏者たちの出番の前後に、一括して楽器の保管、管理を行うという、ありがたくかつ重要な役割を申し出たのが、
マリベル・ロイス
でありました。
「演奏される皆さーん。良かったらウチが、楽器、見ておきますよー!」
マリベル自身も芸術科の音楽専攻、ティンパニを叩いたらなかなかのものですけれど、楽器の持ち込みはしてないもので、今回は裏方として頑張ることにしました。音楽には真摯なその瞳を信用してか、ステージ近くの裏っかわに広げたビニールシートの上には、すでにいくつもの楽器が預けられています。それぞれにきっちりとカバーをかけ、小さなものや持ち込みのエフェクターなんかは、ジップロックに収納! それに彼女、湿度計まで持ってきていて、その管理体制にはバッチリ抜かりナシ! といったところでありました。
それにしても。とは、そんな彼女が自ら買って出たお仕事に勤しみながらに、ステージを眺めつつのつぶやきです。
「はぁー。男の人が楽器弾くとこって、カッコええなー……」
ステージでは、しっとりとキーボードを弾き鳴らして歌う、
フィンレイ・ランカスター
。その姿ときたらもう、端正かつ甘いマスク、それに響く美声も相まって、もー惚れ惚れしちゃう! 少々面食いの気があるマリベルなどは、ぽわーっと見入ってしまうわけなのです。
そして同時に、世間はこれでもかとクリスマスムード一色。そこかしこをラブラブなカップルたちが闊歩して、人目はばからずイチャイチャを楽しんでいらっしゃるわけです。この会場だってもちろん、
「はいっ瓢さん、クッキー。あ~~~ん♪」
「あ~~~ん、むぐ、もぐもぐ。美味い! おや、これもオオカミかい?」
「あははっ、それはネコだよ~!」
とまぁ
骨削 瓢
、
天馬 ひびき
のご両名をはじめとして、あっちでイチャイチャ。こっちでもイチャイチャ! 中には、君たち音楽聞いてる? ってなカンジで、すっかりふたりの空間に閉じこもってる人々もおりまして……うらやましくなってしまうのです。マリベル的には、すっごく。
やっぱり思わず、ぽつり、つぶやいてしまいます。
「はぁー……ウチも素敵な彼氏、欲しいなぁー……」
「お疲れさまです。楽器、預かっていただけますか?」
「ひゃわぁ!?」
びっくん! 飛び跳ねたマリベルに声をかけたのは、出番を終えたフィンレイでありました。
(う、うわわわわ……! 間近で見たら、ますますカッコええなぁもうー……!)
「……? どうかしましたか?」
「いっいいえー何でも! キーボードですね、ウチがちゃーんと、管理しておきますからー!」
「そうですか? ありがとうございます、とても助かりますよ」
そんな彼女の過剰反応には、ちょっぴり不思議そうな表情を浮かべつつ。お仕事ぶりについては信用してもらえているようでして、フィンレイは柔らかい微笑み……それを見てまた、マリベルはドキドキ! 胸を高鳴らせてしまうのでした。
にっこり笑いかけてくれて、ステージ前の観客たちのほうへ歩いて行った彼の背中を見送りつつ。マリベルは、
「……っよーし! お仕事がんばろっ」
彼の期待を裏切らないためにも、大切な楽器たちの管理保管というこの責任重大な役割を、完っ璧にこなすべく。ぐぐっ! 握りこぶしで、気合を入れ直すのでした。
何か、足りないものがある。
仲村渠 鳴
はそう、自分を分析します。
会場には同級生や部活仲間、見知った顔などもいて、彼らの奏でる音へ耳を傾けると、どこかぽっかりと胸に開いた穴を埋めてくれるような、そんな気がしました。
ことに、先ほどのフィンレイの歌には、文字通りに心を奪われてしまったようです。『Sandalphon』のCDは何度も聞いているのに、それとは違う、生の音。ダイレクトに伝わってくる、強く、そして熱い、『思い』。震えがくるほどの衝撃に、鳴は、
(これが……もしかして、あたしに一番、足りないもの……なのかな)
そんな風にしばし、物思いに耽ってしまっていたようです。
「はいこれ、キーボード……あれ、どうしたん?」
楽器を預かってくれていたマリベルが、ふと気づくと、怪訝そうに覗き込んでいます。
「あ。ううん、何でもないの。ありがと、じゃあ行ってくるね」
「……大丈夫!」
本番を前に、鳴が緊張しているのだと思ったのかもしれません。これからステージに立って演奏するのには、少々うつむきがちに見えた顔へと、マリベルは、
「ちゃんとしたイベントちゅうわけやないし、思いっきり楽しんだらええんとちゃうかなぁ? そしたらきっと、みんなも喜んでくれると思う。ウチも応援してるから、頑張ってや!」
にっこり! なんともあたたかい笑顔でそう言って、見送ってくれました。
「……うん。そうだね」
クリスマスライブ。今夜を、新しい道を歩き出すための、転機にしたい。そう思って重たい楽器や機材を背負って山の上までやってきたものの、少しばかり、気負いすぎていたのかもしれません。
フィンレイの素敵な歌。喪失の悲しみを乗り越えた、晴れやかに前を向いた顔……伝わる思い。鳴もまた、伝えなければならないのです。観客たちへ、自分の音楽を。思いを!
「ありがと、行ってくるわ!」
この胸のわだかまりは、きっと、歌でしか晴らせないのでしょう。
鳴は、駆け出しました。ステージへと。
事務所に所属して、メジャーデビューを果たして……一音楽人としてのスタートを切った鳴。けれどその道筋を支え、導いてくれた相棒の姿は、この場にはありません。
「……あたしのこと、違う形で知ってる、っていう人も……いるかもしれない」
『
狛猫
』としての活動はそれでも、胸の中、確かな礎として残されています。きっと、これからもずっとそこに立ち続け、鳴を心強く支えてくれるでしょう。
ひとりになってから、ずっと苛まれ続けていた孤独や不安を、今この場で歌う自分の歌が、取り払ってくれるかもしれない。そんな気がするのです。いつまでも停滞しているばかりではいられず、ひとりでも、歩き続けなければならないのです……今ならそれが、できるかもしれない。どこからか湧いてくる力の出所を、鳴はもちろん、ちゃんと分かっていました。
「だけど、今夜はそれを忘れて。ただ、ひとりの歌手……『ナル』としてのあたしの歌を」
このステージはまさしく、転換の時。
「聞いてください……『
夢の花
』」
鍵盤に指を滑らせ、そっと口を開き、歌います。
弾き語り、口ずさむメロディはマイナースケールで、どこか寂寥のような静けさを伴いながらも、その真芯には確かなあたたかさがありました。
この街の冬は 風がこんなに冷たい
季節を重ねるたびに 儚さもひとつ知っていく
「夢が欲しい」とあなたに願った 幼いあの日
素直な世界しか知らなかった あの頃が過ぎ去っても
居合わせた観客たちが幸運であったのは、ふたつ。
ひとつには、歌が、鳴の初めての作詞、作曲によるオリジナルであったこと。相棒のそうした役割を引き継いだ、今夜が初めてのお披露目となりました。
もうひとつには、歌手、『ナル』が踏み出す最初の一歩、図らずもその証人となることができたこと。複雑に絡み合う葛藤は鳴を大きく揺さぶりかき乱し……それでもひとり、彼女はこの場に立つことを決めました。
たったひとりで。いつも隣にいた存在の大きさを、今更になって噛み締めながら。
心に咲く儚い花 今もあたしの胸にあるよ
寒くても 痛くても 折れそうになっても
あなたが夢をくれたから ずっと枯れることはない
(大丈夫。心配しないでね)
友人であり、パートナーであり、姉のような存在でもあり。あのひねくれた、けれど親身であたたかみに満ちた彼女の思いを、受け取った全てを、鳴は、歌に乗せて。
(あたし、大丈夫。ひとりでだって……ちゃんと、歩いてみせるから)
静まり返った周囲の凛とした空気はきっと、どこまでも、繋がっているからと信じて。
遠くにまたひとつ 小さな明かりが灯る
それはきっと あなたが咲かせた───
夢の花だね
フルコーラスを歌い上げた鳴へと贈られたのは、歓声まじりにどっと沸くような盛大な拍手ではありません。誰しも、呑まれてしまったのでしょう……心からの、自然と手が動き出してしまったかのような、それは小川のさざめきのように心地良い拍手でした。
「……素晴らしかったわ。仲村渠さん……とっても」
「アリーセ……」
ステージ裏に戻ったところへ声をかけた
黒依 アリーセ
と、かつて
一緒に舞台へ立ち、歌った
日のことを思い出します。あの時は隣に、彼女がいました。その透き通る歌声や佇まい、彼女と並び立つことの安心感は、得難い経験ともなって、今も鳴の胸に息づいています。
つまりは、そういうことなのでしょう。いつまでだって、残り続けるのでしょう。
支えてくれるのでしょう。
「それから、伝えそびれていたけれど……メジャーデビュー、おめでとう。これからの活躍を、楽しみにしてるわね」
「……うん」
うなずいた鳴の顔にはもう、憂いはありませんでした。
「うん……! ありがとう、頑張るわ!」
それがきっと、伝えるということなのでしょう。鳴はにっこり、笑いました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月08日
参加申し込みの期限
2015年12月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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