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クリスマスイリュージョンライブ!
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【繋がり合う空】
喧噪は遠く、けれど届く音楽が擁する熱気は損なわれず。湧き返る会場からは少し離れたところ、メリーゴーランド脇のベンチに腰掛けて耳をすませていると、観客たちの興奮がこちらへも伝わってくるかのようです。そのおかげか、遊園地の廃墟に満ちた夜の冷気も、今はまったく気になりません。
そんな場所にありながら、
花厳 望春
は別に、賑やかな人ごみが苦手というわけではないのです。
(……みんなの演奏、こんなにレベル高いんだもんなぁ……)
望春もまた、音楽には深い造詣がありました。ピアノを始めて十年、今はオーボエも練習中で、今日のライブへの参加も当然、考えないでは無かったのです。けれど届く音色の精緻さや、聞き心地の良い歌声……音楽に触れて長い望春も、そのプロもかくやという巧みさや勢いには、圧倒されてしまいました。
望春の楽器の腕前は、彼自身による評価によれば、あくまで人並みといったところです。あんなにも盛り上がる観客たちの前で演奏するのは、どうしても躊躇われてしまうのです。
(十年続けたピアノですら、本番じゃ失敗することがあるからなぁ。ましてや、素人同然のオーボエなんて……)
楽器は手元に、ありました。傍らに、愛用のオーボエ。といっても、ここ最近はあまり触れる機会が無く、こうして持ち出したのも久しぶりのことです。
想像します。あのステージの上で、自分もまた、思うさま演奏することができたなら。どんなに気持ちが良いでしょう……。
「……あれ?」
そんな時でした。
冷たく凛とした風に乗って、会場から、届く音がありました。
「オーボエだ……」
音楽の、師匠! と
酒浸 朱蘭
が呼んではばからない、
冬月 詩歌
の上がり症ときたらもう、カッチカチにキンチョーしてしまうくらいなのです。人見知りの恥ずかしがり屋で、大勢のお客を前に、詩歌は真っ赤っか! ささっ、と朱蘭の背中へ隠れてしまいました。
「詩歌? おーい、大丈夫かー?」
「あぅ、あぅ……あぅ」
先日、
寝子祭
における詩歌のヴァイオリンとの共演は、最近フルートを始めた朱蘭にとって、大いに身になる経験でした。当日は諸々の紆余曲折もあったものの、ふたりはセクシー衣装に身を包み、大いに会場を沸かせることができたのです。
朱蘭はその後も練習を続けて、詩歌の教えもあって腕前はぐんぐんと上達……けれどあるところで、ぷっつりと手ごたえが途絶えてしまいました。何かを極めようと思ったなら、誰しも一度はぶつかることになる、いわゆるひとつの壁というやつでありましょう。
そんなものが目の前に立ちはだかったところへ、耳にしたクリスマスライブ開催の噂。朱蘭は思ったのでした……分厚い壁を打ち破り、次のステップへの足がかりをつかむには、これしかない!
(ってわけで、詩歌も誘って来てみたんだが……)
「はぅ、はぅ……はぅぅ」
もー、ガッチガチ!
(どうやら今回も、アレをやるしか無さそうだぜ)
師匠と仰ぐ詩歌との初共演、あの寝子祭の日にも、彼女はそうしてカチカチに身を縮み込ませていました。思えばその際に、彼女の上がり症を少しでも和らげる方法を伝授する、という条件のもと、朱蘭は彼女への弟子入りを取り付けたのでした。
すなわち朱蘭の十八番、ろっこん水の出番! 酔っぱらってしまえば、緊張なんて関係ナシ! おかげであの時は、どうにか大舞台を乗り切ることができました。
(……おっ? そうだ。ふふふ……良いことを思いついたんだぜ♪)
と、何やらほくそ笑みながらに。朱蘭の袖を掴んでぷるぷると震えている詩歌へ、
「師匠! ほら、あの時と同じ、あたしのろっこん水だぜ。こいつを飲めば、緊張なんて吹っ飛んじゃうんだぜ!」
「……? これ、ただの、缶コーヒーじゃ……ないの、です?」
確かに朱蘭が差し出したのは、単なるあったか~いのコーヒーに見えました。ちょこんと首をかしげた詩歌へ、けれど朱蘭は、にかっ!
「大丈夫、ちゃんと酔えるようにしてあるから! これを飲んで、一緒に頑張ろうぜ。な、詩歌!」
そんな彼女と、缶コーヒーと、詩歌は何度か比べたりしておりましたけれど。やがて意を決したのか、ちびちびと口をつけました。
「準備良いか、詩歌?」
尋ねた朱蘭の笑顔は頼もしくて、何だか力が湧いてくるような気がします。それに先ほどの缶コーヒー、ろっこんによる酩酊の効果……もあってのことでしょうか? 徐々にすうっと、あの落ち着かない感覚が薄れて、人前で得意の楽器を演奏するという、心地良い高揚だけが頭には残ります。
恥ずかしくって腰が引けてしまっても、やっぱり。彼女と一緒に楽器を奏でる喜びは、詩歌にとって、それにも勝るものなのでしょう。やがて詩歌は、応えました。
「……はい、なの!」
♪
♪
朱蘭はもちろん、フルート。まだまだ練習中、途上段階です。その技術はどこか拙くもありながら、透き通った音色を夜空へと……思いっきり! 吹き鳴らせば、まずは観客たちの間から、拍手が起こりました。
♪
さっそくの手ごたえに、にっ、と笑いかけた先には、詩歌。隣に立つ彼女が演奏するのは、寝子祭でも披露したヴァイオリン……ではなく、今回はオーボエでの参加です。吹奏楽器のお手本を見せて欲しい、という朱蘭のお願いによるもので、いくつもの楽器を弾きこなす詩歌は、オーボエもまたあっさりと吹いて見せてくれました。
笛の音が、響き渡ります。
♪
軽やかなフルートは、時折調子が外れてしまいそうに危なげなところもありながら、それでもほんのりと頬を上気させながらに息を吹き込む朱蘭の姿は、月明りの下で優雅に輝き、やけに艶めいて見えて……観客の中からは、ほうっ、とため息が漏れ聞こえてくるほどです。
ふたりの舞台が成り立っているのは、詩歌の支えによるところも大きかったことでしょう。朱蘭のフルートへぴたりと寄り添うように、オーボエは包み込むように広がって、まるで美しい女性の歌声にも聞こえてきます。別人のように演奏へのめり込む詩歌の白い肌も、星の光にきらめくよう。
♪
そして……最初に気が付いたのは、客席でステージを楽しむ
綾辻 綾花
でした。
「あら……? どこか、別の場所からも、オーボエの音色が……?」
♪
♪
♪
ステージからは距離があってなお、届く音。
どうしても、いてもたってもいられなかったのでしょう。その時、望春もまた自然とオーボエを取り出し、夜空へ向かって吹き鳴らしていたのです。
♪
誰かに聞かせるつもりは無く、ただ風に乗せて流れてくる音色に合わせて、気ままに吹いていただけ……周囲には人影も無くたったひとり、たとえ失敗したとしても、誰に取り繕う必要もありません。そのことが望春から、彼本来の自分らしい演奏を引き出してくれていたのでしょう……望春のオーボエもまた、心惹かれる素敵なものではあったのです。
♪
ステージの詩歌と朱蘭。廃墟にたたずむ望春……予想だにしないまま、両者の演奏はいつしか絡み合い、響き合って、劇的な演出効果となりました。
「……すごい……なんて、素敵」
♪
見つめる綾花の目にも、耳にも、彼らの演奏は、周囲がまるで瞬く間に色付き輝いていくかのように、神秘的な幻想の風景を思わせました。多くの観客たちもまた、同じ感覚を抱いたかもしれません。
♪
夜気へとしんと染み入るように、澄み渡るフルートとオーボエの音色は、しばし観客を魅了し続けました。
♪
♪
♪
「実は、言ってなかったことがあるんだぜ」
演奏を終え、ステージの脇へ下がった後になってから、朱蘭はそう切り出しました。
「さっき詩歌が飲んだアレ、ただの缶コーヒーだったんだぜ!」
飲めば酔うろっこん水と思って飲んだのは、実は何の変哲もない、フツウのコーヒー! 朱蘭の思いついた、ちょっとした悪戯でありました。
途端。シラフのまま、あんなにもたくさんの人々を前に演奏をしていたのだと思うと……詩歌は今さらながらに、真っ赤っか!
「……ううぅ。ひどい、の。だまされたの、です……!」
「あっはっは! そう怒るなよー、ちゃんと演奏できたんだし。さっすが、俺の師匠だぜ!」
頬っぺたをぷくーっと風船みたいに膨らませて、ぷりぷりと怒る詩歌を、朱蘭はがばっ、むぎゅーっ!
実のところ、そんな風にウソをついたのは、彼女なりに詩歌のことを思っての計らいでもあったのです。弟子入り志願の条件としてつけた約束、つまりは人前でアガりにアガってしまうこの性分を、どうにかしてやりたい! そんな、朱蘭の思いやりでもあったのです。
詩歌だって、その気持ちには気付いていたのでしょう。むぎゅむぎゅされながらに、じんわり潤んだ瞳で朱蘭を見上げて、
「……ずるい、の、です。でも……ありがとう、なの。酒浸さん……」
「へへ、気にしなくていいんだぜ! さぁ、ライブが終わったら、ふたりで宴会でもしようぜ!」
帰ったら、改めてろっこん水で大いに酔っぱらって、楽しくやろうぜ! なんて約束を交わしながら、ふたりは最後まで、ゆっくりとライブを観覧していくことにしました。
邪魔してしまったかな……と、少しばかり思いつつも。直後に巻き起こった歓声と拍手を聞けば、観客たちも楽しんでくれたことでしょう。望春はほっと胸を撫でおろしました。
ただじっと聴いているだけ、そんなのはどうやら、性に合わなかったようです。どうにも落ち着かず、促されているような、誘われているような感覚に導かれて、ついつい聞こえてきたメロディへと、自分の音を重ねてしまいました。けれどおかげで、望春の胸には今、ともすれば震えてしまいそうな寒気にも負けないほどの、あたたかな充足感が満ちています。
(……楽しかった。やっぱり、いいな。音楽って……)
未だ自分の腕前には、自信を持てないままです。けれど、いつか。あのフルートとオーボエの奏者たちと同じように、自分もステージへ立って……堂々と、演奏することができたら。
いつか自分の奏でる音が、誰かの心へと響いたなら。
(いつか……届くかな)
今夜のちょっぴり変わったセッションは、きっとそのためのステップアップとなってくれるでしょう。どこか晴れやかな気持ちのまま、望春は夜空で瞬く星と月を眺めて、ひとり、微笑みを浮かべました。
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墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月08日
参加申し込みの期限
2015年12月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月15日 11時00分
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