Xmasの奇跡☆　物語の素敵な１日 in 寝子島！｜リアクション

Xmasの奇跡☆　物語の素敵な１日 in 寝子島！

●寝子温泉

「はぁぁ～、極楽だ！」
　七峯亨は寝子温泉の露天風呂でふぃ～と手足を伸ばした。側には一寸法師の入ったお湯入りの風呂桶が浮かんでいる。と、その桶を一寸法師がよじよじと登って顔を出した。
「どうした？　何、女湯？　そりゃあるが……っくく、お前さん意外と助平だな？」
　一寸法師はお姫様以外の女性を久しく見てないと亨に訴えたのだ。そういう話なら亨は嫌いではない。いや、むしろ大好きだ。
「しょうがねぇなあ！」
と言いながらノリノリで『縮身』を使い、一寸法師と同サイズになった。

　露天風呂の柵は割といい加減な作りが多い。一寸サイズの亨達はいとも簡単に通り抜け、女風呂への侵入に成功した。
　湯煙の中、人影が見える。うお、マジか！　めくるめく１８歳未満お断りの世界へ、いざ！
　逸る気持ちを抑えもせず、その後ろ姿に駆け寄る。艶めかしい白い脚。少し背の低い子だな。健康的な太腿をあがると、そこには可愛いお尻。うん、可愛いお尻に……布？　が挟まってる？　……おい、嘘だろ、何で女湯に。
　亨は絶叫した。
「褌姿の奴が居るんだーーーー！！！」
「褌は正義なのだ！」
　晒しを巻いた水褌姿の後木真央が見えぬ亨に得意げに答えた。

「って思わず答えちゃったけど、一体誰なのだ？！」
　今の声は確かに男の人の声だった。けれどここは女湯。辺りにカトレア以外人もいない。
　すると、バタン！　と内風呂に繋がるドアが開いて、女の子と少年が飛び出してきた。
「叫び声が足湯まで聞こえたけど、どうしたの？！　美少女戦士きゅあ☆ペガサスの出番？！」
「あ、ひびきちゃんなのだ！　こんな所で奇遇なのだ！」
　真央は天馬ひびきに水褌姿でぶんぶんと手を振った。ひびきも真央に気付き、驚きながらも駆け寄ってくる。
「真央ちゃん、今の叫び声は何？」
「わからないのだ。男の人の声だったんだけど、ここは女湯だし、おかしいのだ」
「それは、覗きがいるからです」
　また新たな声がして、露天風呂が大きく波打ち、そこからザバーッと姿を現したのは。
　キレイな骨削瓢だった。

「瓢さん？！」
「瓢ちゃんなのだ？！」
　女性陣の驚きをよそに、キレイな瓢はカッと目を見開いた。
「そこです！」
　謎の怪光線が瓢の目から迸る！　と、「まじか！」という声と共に、腰にタオルを巻いた男と、褌姿の男が急に現れた。真央が叫ぶ。
「褌わんだふぉ！　タオルなんて邪道！」
「言うとこはそこか！」
　思わず亨がツッコむ。そこにキレイな瓢が近付いてきた。
「いけません、覗きなど。破廉恥な。これはお仕置きが必要ですね」
　むんずと亨達を抱き上げた瓢に鋭い声が上がる。
「あなた、瓢さんじゃない！　瓢さんはどこ？！」
　ひびきが涙目で睨みつける。
「何を言ってるのですか。こんなに善行を行う私に向かって」
　その時背後のお湯がまたもや波打ち、ザバリと人影が出現する。
「……ひびき嬢に当てて貰えるたぁ、嬉しいねえ」
「瓢さんだ！！」
　露天風呂から突如現れた、歯茎が見えるほどの怪しい笑みを浮かべる人物に、ひびきは迷わず飛びついた。瓢は優しい目でひびきを見ると、キレイな自分に向き直った。
「あっしのスコップを奪うばかりか、ひびき嬢まで混乱に陥れるたぁ、もう許す訳にゃあいかないねぃ」
　カッカッカッ！　瓢が手にしたスコップが目にも留まらぬ速さで舞う！
　同時にキレイな瓢が宙を舞い、ザッパーンと露天風呂に落ちる。それを背後に瓢が溜息混じりに呟いた。
「つまらぬ物を殴ってしまった……」
　パチパチパチ！　ひびきの惜しみない拍手が露天風呂に響いた。

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