THE　FUTON　～猫鳴館防寒大作戦、決行せよ～｜リアクション

THE　FUTON　～猫鳴館防寒大作戦、決行せよ～

　ようやく道が開通した。
　買出し部隊が一斉に猫鳴館を飛び出していく。
　サキリは圧縮した羽毛布団をリアカーに乗せて山を降りていった。
　日暮も大量の布団を回収できてホクホクだ。
「いやぁ中々重労働だったねぇ、今夜は久々にぐっすり寝れそうだよ」
「日暮のアイデアは良案だな。トラックにも積めば量は充分か？」
「充分すぎるよ、ありがとね八神くん」
　八神のトラックは帰りも積載量は限度いっぱいだ。
　中身は資材から布団に変わったが。
「おお、ようやく終わったか」
　いままでずっと布団干しに専念していた虚金俊通が戻ってきた。
「……なんで布団が焦げてるんだ？」
「それを聞いてはいけない」
　旅鴉は虚金を戒めた。
　虚金は見慣れぬ少女からの言葉に凄みを感じ、ただ黙するしかなかった。
「あっ、そういえばお礼を言ってませんでしたね」
　綾辻は空に向かって大声で叫んだ。
「サンタさん、布団有り難う御座います！　鍋するので一緒にどうですかー？」
「案外、どこかで見ているかもしれないぞ」
　八神も空に向かって叫んだ。
「ＭＣ★３ＴＡ！　ありがとう！　一緒に鍋を食べよう！」
　２人に感化され、その場にいた面々がお礼を告げる。
　……だが、ＭＣ★３ＴＡは現れなかった。
　その代わり、天から１枚のカードが雪とともに舞い降りる。
　カードにはメッセージが書かれていた。

『ＹＯＭＥＮ　俺シャイガイ　間違い　起こしたくない　グッバイ★』

　……つまり、サンタの正体はヒミツということらしい。
　それにしても……。
「「やっぱりダサッ！！」」
　ラップの出来はイマイチだった。