ラン・ラン・ラン！　｜リアクション

ラン・ラン・ラン！　

　まったく普通の、日常生活を送ってきた者が、急に殺人犯として追われる。
　単に神魂の影響とは思えぬ、異常事態が寝子島に巻きおこっていた。
　さらにここにも一人、無辜の人間が罪に陥れられようとしていた。

「夜中にヤタイのラーメンを食べると、美味しいって聞いたのデスヨ！」

　夜道をほてほてと歩くのは、キュルビス・ラムズイヤー。
　頭部に被ったカボチャ頭が、街灯に照らされて、存在感を持つ。
　ドイツはミュンヘン出身、常に被ったカボチャ以外はこれと言って不審な点はない。

　久しぶりに陽気のよい夜、屋台というものに行ってみようと、表に出たのだが……。

（場所が分かんねーデス……）
　なかなか本国と勝手の違う寝子島。
　屋台ラーメンは、どこにあるのか……。

（ひとまずあそこのオッサンに、聞いてみるデスよ……）

「グーテン・アーベント！
　ポリツァイのオッサン、ヤタイのラーメンはどこにあるデス？」

　　　※

　そして、お決まりの通り、キュルビスは追いかけられていた。
「ギャー！　オッサンがキュルビス捕まえようとしているデスよ！」
『カボチャ頭のコロシヤ』を見つけた、とか言っている。
　何のことだろう。全く不審な点はないのに。
「よく分かんネーデスケドー、オッサン、目の医者に行った方がいいデスヨ！」
　余計な一言が、火に油を注いだようだ。

「キュルビス、親切で言ったデスヨー！」
　カボチャをくりぬいた目から、涙をあふれさせるキュルビス。
「こうなったら、逃げるデス！」