ラン・ラン・ラン！　｜リアクション

ラン・ラン・ラン！　

　夜が深まり、もう明け方が近くなっても、寝子島警察は灯が煌々と照っている。
　ひっきりなしに警察が行き来し、情報を伝えあっている。
　
　その様子を、さゆるはじっと観察していた。
　彼女が潜むのは、警察の駐車場。
　おそらく出動のなさそうな緊急車両の傍に、身をひそめていた。
　近場が盲点。

　権力を忌み嫌い、権力に反抗する彼女。
　だが彼女の聡明さは、それを利用することも知っていた。
　意外と、官僚でも狙えば、いいところまで自分はいけるかもしれない。
　権力を持つ者のばかなふるまいを、少し真似ればいいのだ。

　埒もない空想にひたる。

　その時、懐中電灯が彼女を照らし出した。
　身をすくめる彼女。

　人影が、そっと顔を出す。

　――このあたりの車両も、使われる可能性がある。
　――近辺でもいいけど、場所を変えた方がいい。

　帽子の下から現れたのは、日暮ねむる。
　さゆるは目を見かわし、そのまま小走りに去る。
　面識はないが、格好からして寝子高の生徒だろう。

　ねむるは警官から衣服を奪い、変装していた。
　死中に活。あえて敵陣に踏み込み、偽装する。仲間のフォローも行う。
　つかまったら、その時のこと。大胆不敵な戦略だった。
　